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新卒からの質問をソシャゲっぽい仕組みにしたら捗った話

ディップ Advent Calendar の4日目です。

はじめに :point_up:

こんにちは。
ディップでUXデザインや速度改善、潤滑油などをやっている@y-tsunaです。
今回は自分のチームに新メンバーを受け入れた時に発生した悩みと、それをソシャゲ風に解決した方法について書きます。

読んでほしい人 :raising_hand_tone1:

先輩として若手(特に新卒)の面倒を見る人

こんな話ありませんか? :sweat_smile:

仲間が増えた

僕らのチームに新たなデザイナーが参画しました。

:woman_tone1: :新卒ちゃん(デザイナ見習い)
:grinning: :僕(おっさん)

:woman_tone1: < 新しくチームに入りました! よろしくお願いします!
:grinning: < こちらこそよろしく。分からないことは何でも聞いてね!

:woman_tone1: < ありがとうございます! たくさん質問しますね!
:smile: < 遠慮なくどうぞ~。(素直そうで良い子だなぁ)

元気も良くチームにも馴染んでくれそうで安心していました。

質問してくれた

:woman_tone1: < すいません、ここについて分からないんですけど……
:grinning: < あー、コレはこういう風にすれば良いよ。

:woman_tone1: < ありがとうございます!
:smile: < 頑張ってね。(ちゃんと質問してきて偉いなぁ)

気兼ねなく声を掛けてくれて喜んでいました。

質問してくれた、質問してくれた、質問して……

:woman_tone1: < ちょっと教えてほしいことがあるんですけど~
:grinning: < これはまずxxxってキーワードで検索してみると良いよ。

:woman_tone1: < ありがとうございます! 次はこの件で考え方について教えてほしく……
:sweat_smile: < あー、これはまず仮説としてユーザがこういう行動を……

:woman_tone1: < なるほどー! あとこっちについても教えてほしいんですけど……
:sweat_smile: < え、それはデザインの話だから反対にいるデザイナの先輩に聞いた方が良いよ

:woman_tone1: < 分かりました、頑張って聞いてみます。
:thinking: (雲行きが怪しくなってきたぞ……早々に手を打たねば)

質問が多すぎる問題 :thought_balloon:

「遠慮なく質問してね」と言ったら、ホントに遠慮なく何でもかんでも質問されちゃったケースです。

先輩としては気軽に質問してほしい。
でも、質問の粒度は少し考慮してほしい。
とはいえ、変な遠慮はしないでほしい。

一言で表すと イイ感じに質問してほしい という感じですが、無理なく伝えるにはなかなか頭を悩ませます。

質問数に制限をかける?:no_entry:

質問が多い問題についてすぐ思い浮かぶ対処として「質問は1日xx回までね」みたいな制限があります。
この対処内容で果たして質問ちゃんは イイ感じに質問 してくれるでしょうか。

……答えは NO :no_good: です。
もし質問数に制限をかけた場合に、考えられる展開として挙げられるのが

  • xx回に根拠が無いので 単に質問できる機会が減った と思われてしまう
  • そう思われないように回数を増やしてしまうと最初と何も変わらない
  • 回数不足となった質問は翌日へ先送りしがちになり、質問の精度が上がらない

という感じで、マイナスの結果しか与えられない可能性が高そうです。

満たすべき要件 :star:

そこで、まずはゴールを定めます。
今回のケースでは 粒度の細かい質問が多すぎたこと が問題でしたが、逆のケースだって当然ありえます。
(変に遠慮してしまい何も聞いてこないのも困っちゃいます)

それらを踏まえ、新卒ちゃんからの質問が前述の イイ感じ になるために必要な要件をまとめてみました。

  1. 先輩に対して気兼ねすることなく 安心して質問してほしい
  2. でも 考えなしに質問してほしくない
  3. 質問する前に 自分で考える力 を身に着けてほしい
  4. 何を質問すべきか精査 できるようになってほしい
  5. 質問への対応内容で 先輩力を見せて あげたい
  6. できれば言葉だけの指示にはせず 仕組み にしたい
  7. 仕組み自体はなるべく 面白く あってほしい

6、7について「できれば」とか「なるべく」とか書きましたが、自分の中では必須項目として考えてました。

スタミナ制はじめました :muscle:

なんか業務をゲームっぽくしたいと常々考えていた時に出てきたアイデアです。

今回の新卒ちゃんはたくさん質問をしてくれたので、まずは 質問を絞って精度を上げる ことから考えました。
質問はしてほしい、でも質問数は絞りたい、ただし無闇に制限がかかってる印象を持たせたくない……という内容から、単純な回数制限ではなく 質問回数を(上限付きで)ストックできる スタミナ制を思い付きました。

質問スタミナ制のルール

まず新卒ちゃんに付箋で作った「しつもんチケット」を渡します。

チケット_小.jpg
※ 画像では2枚ですが、実際は4枚 配布しました

新卒ちゃんが何か質問をしたい場合、僕にこのチケットを渡した上で質問します。
使用したチケットを自分が預かった上で質問に答えるというのが基本のルールです。

スタミナ回復のタイミング

毎朝、僕が出社したタイミングで(預かり中のものがあれば)新卒ちゃんにチケットを1枚返します。
預かり中のチケットがない(=新卒ちゃんが既に上限枚数もってる)場合は何も起きません。

つまり1日1枚ずつチケットが回復して、その上限が4枚ということです。
(1日1枚という回復量には「えー、たった1枚?!」と反発されました 笑)

質問がスタミナ制になった世界

:woman_tone1: < 先輩! 質問があります!
:grinning: < お、チケット切ってきたね! どんな内容かな? あー、これはね……

:woman_tone1: < ありがとうございます! 丁寧に教えてくださって助かりました!
:smile: < ふふふ、チケットの効果は絶大なのだよ。覚えておきたまえ。

……

:woman_tone1: < 先輩! ここが分からないんですけど
:grinning: < おやおや、どうしたの? えー、この内容でチケット使っちゃう? 笑

:woman_tone1: < !!! あ、えっと、もう少し自分で調べます!
:smile: < うむ、精進せぇよ。

……

:woman_tone1: < 先輩! 質問があります!
:grinning: < あらー、今日2枚目のチケットだけど大丈夫? 減っちゃうよ?

:woman_tone1: < う、チケットは大事だけどピンチだから使います……
:grinning: < ほう、決断したね。良いぞ、後は任せなさい。

……

:woman_tone1: < ありがとうございます! やっぱりチケットの効果って凄い!
:grinning: < でも残り 2枚になっちゃったねー、大丈夫?

:woman_tone1: < う……たぶん、大丈夫、です
:smile: < 何かあればじゃぶじゃぶチケット使って良いからね? 無くなっちゃうけど 笑
:woman_tone1: < (ぐぬぬ……)大丈夫です!
:smile: < 何なら課金してくれても良いからね~
:woman_tone1: < 大丈夫です!!!

質問スタミナ制の狙い

僕が今回の内容を実施した狙いについて書きます。
もちろん前述の要件を満たすことが狙いですが、一つずつ見ていきましょう。

安心して質問させる

1. 先輩に対して気兼ねすることなく 安心して質問してほしい

質問者に物理的なチケットを所有させることで、自身が質問する権利を持っている ことを自覚させます。
またチケットを消費するという行為を介すことで、あたかも 質問する対価を払っている ような印象を与え、質問する大義名分があるように感じさせられます。
この2点から新卒ちゃんは気兼ねなく安心して質問ができるようになります。

質問の精度を高める

2. でも 考えなしに質問してほしくない
3. 質問する前に 自分で考える力 を身に着けてほしい
4. 何を質問すべきか精査 できるようになってほしい

チケットの上限数を4枚と少なめに定めているため、無闇には質問ができません。
回復も1日に1枚とスローペースです。
そのため、自分でよく考えた上で質問をしてくるようになります。

また、チケットは上限数が決まっているため、上限まで保有したまま1日を終えると回復分のチケットが無駄になってしまいます。
それを無駄にしないためには……質問をするしかないわけですね。
以上から、質問の回数は抑えつつも質問をさせるという2点の解決を狙いました。

先輩ってスゲー

5. 質問への対応内容で 先輩力を見せて あげたい

チケットを消費して得られる内容を単なる質問に対する回答ではなく、新卒ちゃんが抱える課題を解決する ところまでサポートするようにしました。
これはつまり、新卒ちゃんの質問内容からその質問に至った背景を読み取り、課題を明確化して認識させた上で、その課題の解決につながる回答をするということです。

せっかく4枚しかない大切なチケットを使わせるわけですから、相応のリターンが受けられる印象にしつつ、質問回数に制限があるデメリットを感じさせない ようにしました。
また、ここまでサポートすることで先輩としての考え方のお手本を見せつつ、先輩は頼りになる という認識を与えることを意識しました。

モノを混ぜて仕組みに

6. できれば言葉だけの指示にはせず 仕組み にしたい

物理チケットを使うことで、より仕組み感が出たと思っています。
仕組みとして何かを運用する場合、ちょっとした事なら実際のモノを使うの最高ですね。
すぐに目に見える、触れられるって体験の影響力は大きいです。

ちなみに自分が離席中の場合、こんな感じでディスプレイに貼ってもらうようにしました。

チケット起票_小.jpg

こうすることで、新卒ちゃんは 一言も発することなくアラートが上げられる わけですね。
あとは僕がチケットに気付いた後、良きタイミングで新卒ちゃんに声を掛ける流れです。

これにより(質問したいけど先輩忙しそう……)みたいな不安感を排除しつつアラートを上げさせられます。
加えて回答者は都合の良いタイミングで対応できるため、質問時の心理的負担がさらに減らせます。

面白くする

7. 仕組み自体はなるべく 面白く あってほしい

保有できるチケット枚数が決まっているため、新卒ちゃんは いつ、どの質問でチケットを切るのか という点をゲームの戦略のように考えるようになります。
安心して質問をするを超え、質問ひいては業務における 課題解決そのものに戦略性を持たせる イメージで楽しんでもらいました。
これは単純な回数制限では実現できないことです。

また、ある日のこと……

スタミナ制から3日目くらい

:smiley: < おはよー。はいこれ、今日のチケット回復分ね。
:woman_tone1: < おはようございます、ありがとうございます。

:thinking: ……(うーん何か違うんだよな)
:rolling_eyes: (あ、もしかしてコレか……!?)

翌日

:smiley: < おはよー。はいこれ、今日のチケット回復分ね。
:woman_tone1: < おはようございます、あ……

ログボ_小.jpg

:woman_tone1: < チョコだ! え、なんで?!
:grinning:ログインボーナス だよ。

:woman_tone1: < やったー! ログインボーナス嬉しい! ありがとうございます!
:smile: < はーい、今日も頑張ってね。(これこれ、コレだよ)

めでたしめでたし。

こんな感じで単なるチケットのやりとりだけじゃなく、別の遊び心も加えてみました。
チケットの受け渡しだけだとどうしても無機質になりがちなので、+αによってコミュニケーションのきっかけにしました。
新卒ちゃんも毎日お菓子が貰えて喜んでいるようです。

緊急手段もあるよ

もしどうしてもチケットが足りなくなった場合を考え、:sparkles:課金チケット:sparkles: 制度を用意しました。
緊急時とはいえ単純な特例措置として対処した場合に、それが常態化することを懸念しました。
そのため、スタミナ制の延長上で且つ、目に見える形で緊急対応を表現できることから :sparkles:課金チケット:sparkles: としました。

ちなみに会話の節々には出てくるものの、実際に :sparkles:課金チケット:sparkles: が使われることはありませんでした。
(良い事ですね)

まとめ:pencil:

ということで、業務におけるUX改善の一例として、スタミナ制 + ログインボーナス で新卒をフォローする話でした。
新卒ちゃんが良い子だったこともあり、変なイメージを持たれることもなく運用できてホッとしています。

まだ運用し始めて2か月程度ですが、気付いた点をまとめとして本稿を終わります。

良かったこと

  • 概ね狙い通りの結果が得られた
    • 無闇な質問は減った
    • ちゃんと自分で一通り考えてから質問するようになった
    • 考えてから質問するから、質問の精度も上がった
  • 質問を通して新卒ちゃんの成長が感じられた
    • 単に回答を聞くだけじゃなく、自身で咀嚼して理解を深めていた
  • ログインボーナスあげる方も楽しい
    • 人に何かをあげるシチュエーションって意外に少ない
    • そしてチョコは安い! 1か月あたり500円程度でログインボーナスが運用できる!

気になったこと

  • 座席が近くないと運用し辛い
    • 物理的なチケットを伴う関係で、隣同士くらいの距離感じゃないと難しそう
  • 本当に些細な質問の場合のルールを明確にすべきだった
    • 直接の業務外(例えば会社の制度など)に関する質問はチケット未消費、など
    • 正直そこまで細かく考えきれてなかった
  • チケット枚数の適正値が不明
    • ゴールを課題解決としたことから、多くても1日2枚程度の消費だった
    • でも2枚が適正かといわれると……
  • 長期間運用するものではなさそう
    • 初めの方にある質問を気兼ねしちゃう、という関係性を打破する手段
    • 質問の精度が上がれば必要ない手段
  • ログインボーナスに悩む
    • お菓子が手軽だけど太っちゃいそう
    • 美容を意識して高カカオなチョコにしてみたが…

最後まで読んでいただきありがとうございました。
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