はじめに
今回は watsonx Orchestrate の「実装編①」です。
導入までの手順については、以下の記事をご覧ください。
本記事では、以下の3点を実際に試してみます。
- エージェントの作成
- 動作の確認
- 文章要約エージェントとしてのチューニング
エージェントの作成
watsonx Orchestrate のコンソール画面が開いているところからスタートです。
左上のメニューから、 「ビルド」→「エージェント・ビルダー」を選択します。
エージェントの名前と説明文を入力して、 作成
ボタンをクリックします。
名前 と 説明 はできるだけ具体的に入力しましょう。
後で他のエージェントと連携する際に、この内容が参照されます。
※詳しくは「良い説明とは何か?」をご覧ください
今回は以下の内容で指定しました。
- 名前:
sentence_summary_agent
- 説明:
このエージェントは、ユーザーが入力した文章を短くまとめ、重要なポイントをわかりやすく伝えます。
これでエージェントの作成は完了です!
動作の確認
画面右側には確認用のチャット画面があります。
まずは「こんにちは」と入力してみましょう。
初期状態では、まだ英語の定型文が返ってくることが確認できます。
ここから、エージェントの「動作内容」を調整していきます。
エージェントのチューニング
エージェントに「どう振る舞ってほしいか」を指示します。
画面を下にスクロールし、「動作」欄に以下を入力します。
会話は必ず日本語で行います。
文章の内容を要約し、テーブル形式でまとめて出力します。
「会話は必ず日本語で行います」と指示することで、応答も日本語になります。
入力した内容は自動保存されます。
明示的な「保存」ボタンはありません。
もう一度「こんにちは」と入力してみましょう。
今度は日本語で返答されることが確認できます!
要約エージェントとしての動作確認
次に、要約タスクを実行してみましょう。
以下の文章を入力します。
ここ数年、テレワークという働き方が一気に広まり、多くの企業がオフィス中心の働き方を見直すようになった。出社を前提としない働き方は、通勤時間の削減や柔軟な勤務スタイルの実現など、多くのメリットをもたらしている。一方で、社員同士のコミュニケーション不足や、チームとしての一体感の低下といった課題も浮き彫りになっている。特に新入社員や転職者など、会社に馴染む機会が少ない人にとっては、雑談や何気ない会話の機会が減ることで、孤立感を感じやすくなるという問題がある。
こうした状況を受け、多くの企業ではオンライン上でのコミュニケーション促進に取り組んでいる。例えば、定期的に雑談を目的としたミーティングを設けたり、バーチャルランチ会を開催したりといった工夫だ。また、チャットツール上でスタンプや絵文字を積極的に使うことで、感情を伝えやすくする工夫も見られる。さらに最近では、AIを活用してコミュニケーションの質を分析し、チームの心理的安全性を測定するようなツールも登場している。これらの取り組みは、単なる“オンラインの代替手段”ではなく、新しい組織文化を形づくる試みとして注目されている。
しかし、オンライン施策だけでは限界もある。実際のところ、偶発的な出会いや何気ない会話から生まれるアイデアや信頼関係は、完全には再現できない。そのため、オフラインとオンラインを組み合わせた「ハイブリッド型コミュニケーション」を模索する企業も増えている。オフィスを単なる作業場所ではなく、交流や創造の場として再設計する動きもあり、企業文化そのものの変革が求められている。テレワークの普及は働き方の自由をもたらしたが、人と人とのつながりをどう維持し、発展させていくかという課題は、今後も重要なテーマであり続けるだろう。
指示通り、要約結果がテーブル形式で出力されました!
自然言語の指示だけでここまで動作するのは非常に便利です。
まとめ
今回は、watsonx Orchestrate で
- エージェントを新規作成し、
- 日本語での動作を設定し、
- 要約タスクを実行できるようにした
という一連の流れを確認しました。
次回は、ツールを用いた外部サービスとの連携 や、 ADKを使用した複雑な設定 に挑戦してみたいと思います。
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