はじめに
以前に以下の投稿を行ったものです。Rの入門書については特に閲覧数が増えるでもなく、私が一番読んでいるという、今までと変わらない状態で運用しております。
誰にも見てもらえないとは言え、教科書を書き、デプロイすることには大きなメリットがあります。以下にQuartoを用いて文書を作成する方法についてまとめましたので、内容を参考に、(Rの偉い人にも偉くない人にも、Rに興味がない人にも)教科書を書いてもらえると私の勉強にもなってうれしいです1。
私が作成した上記のページに記載した内容のほとんどについては、Quartoのガイドに記載があります。
他にも、以下のリンクがQuartoを利用する際に有用ですので、是非一読いただければと思います。
Qiitaの最近の記事では以下も参考となります。
また、Quartoで作成した文の例として、以下のようなものを作成しています。
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源氏物語の若紫をQuarto Bookにしたもの。源氏物語に自分勝手な注釈をつけるのはとても楽しいので、作成をおススメします。Quarto Pubでデプロイしています。
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奈良の個人的な観光マップ。.qmdには10行ぐらいコードを書いています。なぜかleafletに埋め込んだ写真が表示されたり、されなかったりしていますが…2。Github Pagesでデプロイしています。
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Observableを用いて作成した日本の人口に関するダッシュボード。ObservableはJupiter notebook風のノートのJavascript版で、このような形で静的なHTML上でインタラクティブなノートを作成できます3。
ソースコードは以下に保存しています。
教科書をデプロイすることによる利点
自分で書いた自分専用の教科書を、いつでもどこでも読めるということには、思っていた以上にメリットがありました。
1.文章の修正
Github Pagesにデプロイする前には、文書をローカルでしか見ることができなかったため、修正があまりはかどっていませんでした。デプロイしたことで移動中にも読めるようになり、間違いを見つけやすくなりました。
2. Github Pagesの仕様
Github Pagesは無料でhtmlをデプロイし、インターネット上で閲覧できるようにすることができる、非常に良いサービスですが、デプロイしただけではGoogleのクローラーが全然来ない、という特徴があります。
上の記事の通り、サイトマップを作ればよいのですが、作ったらサイトマップをすぐに読んで検索に引っ掛けてくれるわけではなく、時間がかかります。自分で書いた本を読んでほしいのであれば困った特徴ではありますが、間違いだらけの文をデプロイしても自分以外誰も読まない、という利点もあります。だれも見ていないうちにこっそり修正ができます。
こっそり修正ができるので、間違っていてもWeb上のエライ人に絡まれることもありません。間違ったことを書いて、たくさんの人に見られてしまうと怒られることがありますが、人に見られなければそのようなこともありません。
素人だから教科書なんて…、というためらいを持つ必要はありません。自分で何度も読み直して、間違いに気づき、修正し、ゆっくり素人から玄人になればよいのです。素人から玄人に変わりつつあるときが、最も素人にわかりやすく、間違い過ぎていない教科書を作成できるのではないかと思います。
3. Webを利用できる
教科書を書くにしても、読むにしても、Webとつながっていることには大きな利点があります。リンクは貼りたい放題ですし、他の人が書いてくれた知見にも簡単にアクセスすることができます。グラフや図の表示をワンクリックで切り替えるのも簡単ですし、Webアプリを活用して説明することもできます。文中の分からない単語はGoogleで簡単に調べることができます。紙やPDFの本とは根本的に違う方法で教科書を表現することができます。
4. 自分自身のための、いつでも読める教科書
一番大きいメリットは、自分で書いているからどこに何が書いてあるのか、大体理解している点です。他人が書いた教科書では、何かを調べたいとき、例えばある働きをする関数について記載を探すとなると、検索するにしても、索引を引くにしても大変です。しかし、自分が書いた教科書では、なんとなくどこに何を書いたか覚えているので、特に迷うことなく、いつでもどこでも欲しい情報にすぐにたどり着けます。
自分で書いているため、自分が読みやすい文になっているのもよいところです。自分にとって難しすぎず、簡単すぎないように調整して書けば、(教科書にはよくある)難しすぎて読むのがつらい、簡単すぎて読む価値がない、といったことも起こりません。
表題について
表題は寺山修司の本(書を捨てよ、町へ出よう)からの引用です。
寺山修司が活躍した時代には、書を持って町に出る、というのは、紙の本を手に町に出ることでした。現代では、Web上に本があれば、紙を持たなくても町に出ることができます。まさに(紙の)書を捨てて町に出ることができるようになったわけです(寺山修司が言いたいことはこういうことではありませんが)。
Quartoで書を書き、書を捨てて町に出ることができるようになったメリットを享受しましょう。
お詫び
前回の記事で、RjpWikiが終了した、と書いておりましたが、アクセスできるようになっていました。どうもChromeに特有の不具合であったようで、Microsoft Edgeではアクセスできていたようです。詳細はコメントに記載されています。