はじめに
インボイス制度になってから、適格請求書の要件や会計 SaaS の月額、請求データを外部に預けることに不安を感じている中小企業は少なくありません。
NeNe Invoice は、見積・請求・入金を 自社サーバー上 でまとめられるオープンソース(MIT)です。Docker でも共有ホスティングでも動かせます。適格請求書形式の PDF をサーバー側で生成し、マルチテナント対応の管理画面(日本語 / 英語)から操作できます。
誰向けの記事か — 経理・総務の方が「自社で置けるか」を試したいとき、またはエンジニアが社内検証するときの ハンズオン です。フレームワークの設計論や MCP の深掘りは別記事に譲ります(基盤は NENE2)。
リリース状況(2026年7月時点) — NeNe Invoice は v1.0.0 を正式リリース済み です(GitHub Releases・2026-07-16 公開)。本記事のハンズオンは Docker での試用・評価向けですが、共有ホスト ZIP を含む本番導入も v1.0.0 で可能になりました。実際の適格請求書発行や本番運用の判断は、自社要件と税理士等の確認のうえで行ってください。MIT ライセンスですが 無保証 です(ログイン画面の免責と同趣旨)。
NeNe Invoice でできること(この記事の範囲)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 見積・請求 | 取引先マスタ、明細、税率(標準 10% / 軽減 8%) |
| 適格請求書 PDF | 登録番号・税率別合計など、制度上の項目をサーバー生成 |
| 入金管理 | 一部入金・完済・期限超過ステータス |
| データの置き場所 | 自社 MySQL(本記事は Docker 上の MySQL) |
| 英語 UI | 日本国内で事業する外国人オペレーター向け(法定 PDF は日本語のまま) |
しないこと — 総勘定元帳、給与、在庫 POS など本格会計ソフトの代替ではありません(Non-goals)。
1. Docker で起動する
ホストに PHP や Node を入れなくてよい方法です(README の Option A)。
git clone https://github.com/hideyukiMORI/nene-invoice.git
cd nene-invoice
docker compose up -d --build
起動後:
| 用途 | URL |
|---|---|
| 管理画面 + API | http://localhost:8510/admin/ |
| API ヘルスチェック | http://localhost:8510/health |
| Mailpit(送信メール確認) | http://localhost:8585 |
| phpMyAdmin(任意) | http://localhost:8581 |
ヘルスチェック:
curl -sS http://localhost:8510/health
"status":"ok" と "database":"ok" が返れば準備完了です。
初回起動時、コンテナ内でマイグレーションと 開発用サンプルデータ(取引先・見積・請求・入金)が自動投入されます。ログイン情報は次のとおりです。
| 項目 | 値 |
|---|---|
| メール | admin@example.com |
| パスワード | password123 |
本番では必ず強いパスワードと
NENE2_LOCAL_JWT_SECRETを設定してください(運用ガイド)。
2. 管理画面にログインする
- ブラウザで http://localhost:8510/admin/ を開く
- 上記アカウントでサインイン
- ダッシュボードに 未収・期限超過・今月の入金 などのサマリーが表示されます
画面右上の言語切替で English にできます。これはグローバル向け多言語化ではなく、日本に拠点を置きながら英語 UI を好む担当者向けです。発行する適格請求書 PDF の法定記載は 日本語 です(ADR 0005)。
3. サンプルの適格請求書 PDF を確認する
サンプルデータにはすでに 発行済みの適格請求書 が入っています。新規作成の前に、制度対応 PDF の見え方を確認するのが早いです。
- 左ナビの 「請求書」 を開く
- 一覧から INV-2026-106(適格請求書・標準 10% と軽減 8% の混在)を開く
- 「PDF をダウンロード」 をクリック
PDF には次が含まれます(抜粋):
- 発行者名・住所(会社設定)
-
登録番号(サンプル:
T1234567890123) - 税率ごとの 課税対象額・消費税額(本例は 10% と 8%)
- 取引先情報・ご請求金額(本例: ¥218,000)
登録番号は 会社設定 で変更できます(設定 → 登録番号・振込先)。本番では国税庁に登録した番号を入力してください。アプリは形式チェックまでで、番号の実在確認は行いません。
4. 見積から請求書を発行する(新規フロー)
ゼロから1件通す最短ルートです。詳細は 運用ガイド(日本語) と同じ手順です。
4-1. 取引先(既存で足りる場合はスキップ可)
- 「取引先」→「取引先を作成」
- 社名・メール・請求先住所を入力して保存
4-2. 見積書
- 「見積書」→「見積書を作成」
- 取引先・明細(品目・数量・単価・税率)を入力
- 「作成する」 で下書き保存
4-3. 請求書へ変換 → 適格請求書として発行
- 見積詳細で 「送付する」 → 「承認する」 → 「請求書に変換する」
- 生成された請求書を開き、内容を確認
- 「発行する(適格請求書)」 → 確認ダイアログで確定
発行後は請求書番号(INV-YYYY-NNN)が採番され、内容は変更不可 になります(会計上の意図的な制約)。PDF の再ダウンロードや、クライアント向け共有 URL の発行が可能です。
4-4. 入金を記録する(任意)
発行済み請求書の詳細から、入金額・日付・方法を記録できます。ダッシュボードの未収・超過表示に反映されます。
5. セキュリティについて(要約)
NeNe Invoice では、リリース前に 複数ラウンドのセキュリティ自己診断(OWASP 観点・テナント分離・認可・フロントエンド・レッドチーム)を実施し、指摘は修正済みです。レポート概要はリポジトリ内に公開しています。
自己診断は品質向上のためのものです。税務・会計の適合性は別途、自社の業務要件と専門家の判断で確認してください(コンプライアンス方針)。
6. 共有ホスティング(Tier A)について
Docker 以外に、エックスサーバー等の共有ホスト 向け ZIP インストーラーも用意しています(v1.0.0 の Release で配布中)。install.php から DB と管理者を作成し、同じオリジンで管理画面を配信する構成です。手順は 運用ガイド(日本語) を参照してください。v1.0.0 で本番導入が可能 です。
NeNe ファミリーとの関係
請求の正本は NeNe Invoice です。入金消込は兄弟アプリ NeNe Clear が Invoice API を参照します。別 DB・HTTP 連携のみで、1つの巨大 SaaS にはしません。
まとめ
- 1 コマンド で API + 管理 UI + DB が立ち上がる
- 適格請求書 PDF(税率混在含む)を自社サーバーから発行できる
- 日本語 UI が主、英語 UI は国内ビジネスの補助
- 共有ホスト ZIP も v1.0.0 Release で配布中(本番導入可)
まずは Docker で触って、自社に置けるかどうかを 試す のがおすすめです。正式版 v1.0.0 は GitHub Releases からどうぞ。
リンク
フィードバックは GitHub Issues へ歓迎します。
NeNe Invoice を試す
NeNe Invoice は、この記事で触れた「自己ホストで適格請求書を発行する」を実際に動かせる
OSS(MIT)です。見積 → 請求 → 入金までを自分のサーバで管理できます。
- 🚀 リリース / ソース: https://github.com/hideyukiMORI/nene-invoice/releases/tag/v1.0.0
- 🌐 プロダクト紹介(LP): https://ayane.co.jp/invoice-lp/
- ▶️ すぐ試す:
docker compose up -d --build→ http://localhost:8510
(ログイン:admin@example.com/password123)
── 筆者: 森 秀之(彩音インターナショナル)— 自己ホストの業務ツール群を実運用中。
中小企業向けの業務システムを料金公開・固定価格で開発しています。
🔗 ayane.co.jp




