はじめに
Clawdbot(clawd.bot)は、海外のOSSコミュニティで急速に注目を集めている
Self-hosted / LocalLLM前提 のAIアシスタントです。
2025年12月に公開されたばかりですが、2026年1月時点でGitHubスター数は5,000超、Fork数は850以上と、わずか1ヶ月ほどで驚異的な成長を見せています。
公式では「The lobster way 🦞」というキャッチコピーを掲げ、ロブスターをマスコットにしているユニークなOSSです。
名称についての注意
「Clawdbot」という名称は、Anthropic社のAI「Claude」と発音が似ていますが、Anthropic社とは無関係の独立したOSSプロジェクトです。
本記事では、「Clawdbotが何をするツールなのか」「どのように使われているのか」について整理します。
Clawdbotの位置づけ
まず押さえておきたいのは、ClawdbotはAIモデルそのものではないという点です。
Clawdbotは以下の機能を統合する「AIアシスタントの実行基盤」に近い存在です。
- LLM(Local / Cloud)の呼び出し
- 会話コンテキストの管理
- ツール実行(ファイル操作、コマンド実行など)
つまり、チャットUI + LLM + オーケストレーションをSelf-hostedで提供するOSSがClawdbotです。
全体構成
Clawdbotの基本構成は以下のとおりです。
Chat UI(Telegram / Slack / Discord 等)
↓
Clawdbot Gateway(ローカルで動作)
↓
LLM(LocalLLM または 外部API)
中核となるのはGatewayです。Gatewayによって以下を制御できます。
- どのLLMを使うか
- どのツールを許可するか
- どのチャット入力を受け付けるか
技術スタック・動作要件
ClawdbotはTypeScript製のOSSで、以下の環境で動作します。
| 項目 | 要件 |
|---|---|
| ランタイム | Node.js 22以上 |
| パッケージマネージャ | npm / pnpm / bun |
| 対応OS | macOS, Linux, Windows(WSL2推奨) |
インストールは以下のコマンドで完了します。
# npmの場合
npm install -g clawdbot@latest
# pnpmの場合
pnpm add -g clawdbot@latest
Python製やGo製ではなく、Node.jsエコシステムで構築されている点は、技術選定時の重要な判断材料になるでしょう。
LocalLLM前提での利用
ClawdbotはLocalLLMと組み合わせて利用できます。代表的な選択肢としては以下があります。
- Ollama
- llama.cpp
- LM Studio
この構成では以下のような特徴があります。
- 会話内容がローカルで完結する
- 外部クラウドに送信されない
- 実行環境・データの所在が明確になる
OpenAIやAnthropicなどの外部APIを利用する構成も可能ですが、それは利用者が選択した場合のみです。公式ドキュメントでは、長いコンテキストやプロンプトインジェクション耐性の観点からAnthropic Claude Opus 4.5が推奨されています。
何ができるのか
Clawdbotを使うことで、たとえば以下のような用途が考えられます。
- チャット経由での質問応答(LocalLLM)
- ローカル情報を用いた補助(RAG的な利用)
- 定型作業の補助(設定次第)
- 個人・チーム向けAIアシスタントの運用
重要なのは、「何をさせるか」を利用者自身が設計する前提になっている点です。
実際の利用シーン・事例
ここからは、実際にClawdbotがどのように使われているか、コミュニティで共有されている事例を紹介します。
日常のタスク自動化
モーニングブリーフィング
毎朝7時に、メール・Slack・カレンダーの情報を自動集約し、Obsidianに保存。さらにElevenLabsのTTSで音声サマリーを送信する、という運用をしているユーザーがいます1。「Jarvisと名付けて、毎日のブリーフィング、カレンダーチェック、渋滞状況に応じた出発時間のリマインドをさせている」という声も2。
メール・カレンダー管理
Microsoft 365やGmailと連携し、「メールをチェックして」「明日の予定は?」といった自然言語での操作が可能です。不要なメールの一括購読解除を自動化しているユーザーもいます3。
家庭内タスクの管理
「妻と2人でトピックを随時投げておくと、日曜朝9時にClawdがリサーチ結果をまとめて送ってくれる」という、家庭内PMとしての活用事例も報告されています2。
スマートホーム連携
Home Assistant統合
Home Assistantと連携し、Telegramの1つのチャットから家電制御、買い物リスト管理、Apple Notesへのメモ追加などを一元管理している事例があります4。
IoTデバイス制御
空気清浄機のAPIを自動発見・制御させ、バイオマーカーに基づいた空気質管理を行っているユーザーや、3Dプリンター(BambuLab)のステータス確認・ジョブ管理・カメラ確認をチャット経由で行うスキルも公開されています5。
開発・エンジニアリング支援
リモート開発環境の操作
「Netflixを見ながらTelegram経由で個人サイトを全面リビルドした。Notion→Astro移行、18記事の移行、DNSのCloudflare移行まで、ラップトップを開かずに完了」という事例が報告されています6。
マルチエージェント構成
3台のマシン(GCP VM×2、自宅Raspberry Pi)で3つのAIエージェントを運用し、相互にSSHでデバッグさせる構成を組んでいるユーザーもいます。エージェント同士が問題を検知・修復し、手動の引き継ぎなしで連携動作します1。
CI/CDとの連携
「最新のPRのCIステータスを確認」「このブランチでPRを作成」「Vercelにフロントエンドをデプロイ」など、GitHub CLIやクラウドCLIと連携したワークフローも可能です7。
ブラウザ自動操作
定期購入・予約の自動化
週次の食事プランから、スーパーの常連商品を選択→配送スロット予約→注文確定まで、APIなしでブラウザ操作のみで完結させている事例があります6。テニスコートの空き状況チェック&予約を自動化するCLIも作成されています。
フォーム入力・ログイン操作
TradingViewにブラウザ自動操作でログインし、チャートのスクリーンショットを取得してテクニカル分析を行う、という使い方も報告されています6。
ユニークな活用例
パーソナライズド瞑想の生成
カスタム瞑想テキストを生成→TTS変換→アンビエント音楽と合成、という流れで、完全にパーソナライズされた瞑想音声を作成しているユーザーがいます8。
保険会社との交渉
「Clawdbotが私の返答を誤解して、保険会社(Lemonade)と勝手に交渉を始めてしまった。結果的に、即却下されていたケースが再調査されることになった」という予期せぬ成果も9。
音声通話
ElevenLabsと連携し、電話をかけてオーストラリア訛りで話しかけてくる、という機能を実装したユーザーもいます10。
学習・教育支援
語学学習
中国語学習エンジンとして、発音フィードバックや学習フローをClawdbot経由で提供するスキルが開発されています6。
プログラミング教育
「生徒にvibe codingを教えるのに、これは完全にゲームチェンジャーだ」という教育者からのフィードバックもあります10。
基本的な使い方(概要)
Clawdbotを使い始めるまでの流れを整理します。
1. Clawdbotをインストール
Node.js 22以上の環境で、npmまたはpnpmを使ってグローバルインストールします。
npm install -g clawdbot@latest
2. オンボーディングウィザードを実行
clawdbot onboard --install-daemon
ウィザードが起動し、Gateway、ワークスペース、チャンネル、スキルの設定を対話的に行えます。
3. LLMを用意する
LocalLLM(Ollamaなど)を起動するか、外部APIキーを設定します。
4. チャットUIと接続
Telegram / Slack / Discord / WhatsApp / iMessageなど、利用したいチャットツールのBotトークンを設定します。
5. Gatewayを起動
clawdbot gateway
この時点で、最低限のAIアシスタントとして利用可能になります。ダッシュボードは http://127.0.0.1:18789/ でアクセスできます。
OSSとしての特徴
ClawdbotはMIT LicenseのOSSです。
- ソースコードが公開されている
- 挙動やデータフローを確認できる
- fork・改変・再配布が可能
そのため、ブラックボックスなAIツールとして使う必要はありません。
また、コミュニティによるスキル(拡張機能)のエコシステムも形成されつつあり、ClawdHubというスキルレジストリで100以上のスキルが公開されています。
自作との比較
Clawdbotが提供する機能は、技術的には個別に自作可能な要素の集合です。Clawdbotの価値は主に以下の点にあります。
- 構成が整理されている
- すぐに動かせる
- 実運用を意識した設計になっている
| 観点 | Clawdbot | 自作 |
|---|---|---|
| 導入速度 | 速い | 時間がかかる |
| 自由度 | 高い | 非常に高い |
| 学習コスト | 低め | 高い |
想定される利用者
Clawdbotは以下のような利用者に向いています。
- LocalLLMを実運用したい人
- AIアシスタントに与える権限を設計できる人
- OSS前提でツールを選びたい人
- Node.js環境に馴染みがある人
一方で、設定や運用を意識せずにすぐ使いたい用途には向きません。
まとめ
Clawdbotは、2025年12月に登場して以来、海外のOSSコミュニティで急速に注目を集めているAIアシスタント構築用のOSSです。
完成されたAIというよりも、制御可能なAIアシスタントの基盤として捉えるのが適切でしょう。
上記の利用事例からもわかるように、「何をさせるか」は完全にユーザー次第です。日常のタスク自動化から、開発ワークフローの効率化、スマートホーム連携まで、アイデア次第で様々な活用が可能です。
「The lobster way 🦞」を掲げるこのユニークなOSSが、今後どのように発展していくか注目です。
参考
- Clawdbot公式サイト
- GitHub リポジトリ
- 公式ドキュメント
- Showcase(公式事例集)
- ClawdHub(スキルレジストリ)
- ClawdBot: The self-hosted AI that Siri should have been(VelvetShark)