結論を先に書いておくと、入門書として薦められる本ではないと私は考えています。
初学者に薦められるSpring Boot入門本を探しています。
本書は2冊目。他の書籍についてはこちらを参照。
さて前回の書籍「Spring Boot 2 入門: 基礎から実演まで」では、
- ○ 公式リファレンスへ準拠しようという意志が感じられる。
というように書きましたが、この本は、まさに逆です。
つまり、一次情報を参照する意志が感じられず、二次情報を見たり自分の経験だけで語っているように感じます。
なので、用語の使い方を誤っていたり、概念を正しく理解できていなかったりしている箇所が散見されます。
また、前の方の章で概念の説明をしていて、後ろで実際に実装を行っているのですが、先に説明した概念が後ろのコードに反映されていなかったりして、書籍の中で自己矛盾していたりします。
例えば、依存性を排除するためにインタフェース経由でアクセスするんだ(4.2.1節)、説明しつつ後ろのコードではクラスを直接インジェクションしていたり(8.3.5節 UserService
)、@Scope
をつけないとsingleton-scopeになるのでインスタンスが1つしか生成されず大量のリクエストを捌けない(4.4.2節。ちなみにこの説明自体誤っている)と説明しているにも関わらずコード上には一切 @Scope
が表れなかったり。
一次情報をちゃんと確認する習慣がないと、まさにこれくらいで頭打ちになってしまうと思うので、入門者卒業試験として本書にツッコミを入れていく、みたいな使い方はできそうに思います。
が、冒頭に記載した通り、入門書としてはお薦めできません。