Spring Boot 入門者に対して何か参考文献を提示してあげたい、と思い調べ始めているのですが、最初の調査対象として選んだ表題の「Spring Boot 2 入門: 基礎から実演まで Kindle版」がめちゃめちゃよくて、もうこれで良いんじゃないの!?という感想になりました。
ちゃんとした書評は調査対象全部見終わった後にまとめようと思っているのですが1、取り敢えず簡単に特徴を記録しておくとこんな感じです。
- ○ とにもかくにも、著者がちゃんとSpring Bootを理解している、というのが文章を読んでいて分かるので安心できる。
- ○ 公式リファレンスへ準拠しようという意志が感じられる。
- (槍玉に挙げて申し訳ないですが)ここQiitaでのSpring Boot記事なんかを見ていると、一次情報を確認せずどこの馬の骨が書いたかわからない記事を根拠にして「こうすればできます!」みたいなことをやってる人が一定数いますが、この書籍はちゃんと一次情報に当たった上で書いている、というのが読み取れます。
- ○ Spring Boot 2.3 対応、というのがタイトル詐欺ではなく、本当にSpring Boot 2.3での変更点も取り入れられています。
- ○ 章の構成がうまい。「この章でやること」を最初に説明した上で内容に入っていって、最後に「振り返り」でまとめが書かれているので、初見のときも再読するときも、自分はこの章に書かれていることに関心があるのか(注意して読むべきなのか)の判断がすぐつきます。
- ○ JPA(Spring Data JPA)について中立。
- ぶっちゃけ、Qiitaの記事とか読んでて思うんですけど、Spring Boot使ってる人、JPAに対してコンプレックス持ち過ぎじゃないですかね…?そういうのを読んで学んじゃうのはマイナスでしか無いと私は考えています。
- ☓ 一方、実際のプロジェクトでJPAでなくMyBatisを使ってるんだ、ということも当然あり得ますが、MyBatisに関しては一切言及がないのでこの書籍以外で学ぶ必要があります。
- ☓ もうちょっと公式リファレンスへのリンクなどがあると良かったかなと思います。Spring Bootで開発する際はSpring Bootのリファレンス以外にも、例えばSpring Data JPAだったりThymeleafだったりのリファレンスを参照する必要が出てきますが、「参照すべきリファレンスは色々あるんだよ」と読者が理解できるような内容が含まれているとより良かったかなと思います。
- ☓ Spring Bootマジックの根幹であるところのauto-configurationに対する言及がない。
- 本書ではSpring AOPの章があるのですが、Spring AOPよりはauto-configurationの方が優先度は高いかなと考えます。
- ☓ テストに関する話が全く出てこない
内容もちゃんとしてるし、書籍としての構成もちゃんとしてる。
正直、Kindle Unlimitedの個人出版のものに期待はしてなかったのですが、予想を大きく裏切られました。
(界隈の事情には詳しくないのですが、著者は有名な方なんですかね…?ググっても情報が全然出てこなかった。)
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Qiitaにまとめるとは言っていない。 ↩