エージェンシーでSNSマーケティングを担当している。担当しているクライアントのTikTokアカウントが現在5つ。それぞれジャンルもフォロワー規模も違う。月に一度、全アカウントのフォロワー分析レポートを提出するのが私の仕事だ。先月、そのレポート作成に要した時間が38時間だった。ほぼ一週間分。このままでは持たないと思った。
フォロワーデータを集めるだけで一週間が消える
5つのアカウント、5つの地獄
各アカウントのフォロワー数は3万から12万不等。合計で約30万人。この30万人のデータを、アカウントごとに整理して分析する。インサイトで見られるのは全体の傾向だけ。個別のアカウント名やバイオを見るには、アプリでフォロワー一覧をスクロールするしかない。3万フォロワーのアカウントを全件スクロールするのに、体感で5時間。5つのアカウントだから25時間。それを記録に残しながらだから、実質38時間になる。
しかもスクロール中にアプリが落ちる。途中でトップに戻る。読み込みが止まる。これらのトラブルのたびに、どこまで進んだか確認して、その位置から再開する。地味だが精神を削られる作業だ。クライアントに「フォロワー分析レポート」として提出しているが、中身は半分手作業のスクロール記録だ。プロの仕事とは言い難い。
スクレイピングツールは使えなかった
もちろん自動化も考えた。プログラミングができる同僚に相談して、スクレイピングツールを作ってもらったことがある。でもTikTokの仕様変更ですぐに動かなくなる。仕様が変わるたびにコードを書き直す手間がかかる。しかもスクレイピングは規約違反のリスクがあり、クライアントのアカウントに影響が出たら困る。結局、手動スクロールに戻った。
この状況を同業者に話したら、「2024年になって手動でスクロールしてるの?」と笑われた。笑えない。笑いたくない。でも代替手段が見つからなかったから、仕方なく続けていただけだ。エージェンシー側は「効率化しろ」と言うし、クライアントは「もっと詳しい分析を」と言う。板挟みで潰れかけていた。
ブラウザ一つで30万人のデータが出た
同業者が教えてくれたツール
ある勉強会で知り合ったフリーランスのマーケターにこの話をしたら、tiktok follower exporter を教えてくれた。「私もクライアントのアカウントを複数持ってるけど、これで月に一回エクスポートしてる。ブラウザで開くだけだよ」と。プラグインもソフトも不要という点に、まず惹かれた。会社のパソコンに勝手にソフトを入れるわけにはいかないからだ。
その夜、自宅で EasyComment を開いて試した。まずは一番小さいアカウント、3万フォロワーで試した。アカウント名を入力してエクスポートボタンを押す。数分でファイルが落ちてきた。開くと、3万人のフォロワーデータが整理された状態で並んでいる。ユーザー名、バイオ、フォロワー数、全部揃っている。スクロール5時間が3分になった。椅子に座ったまま、しばらく動けなかった。
5つのアカウントを続けてエクスポートした
次に残りの4つのアカウントも同じようにエクスポートした。12万フォロワーの一番大きいアカウントでも、10分弱で完了した。合計30万人分のデータが、1時間も経たないうちに揃った。しかも一度もエラーが出なかった。大容量のエクスポートでも安定して動く。これが一番大きい。スクレイピングツールみたいに途中で落ちたり、仕様変更で使えなくなったりする心配がない。
翌朝、会社のパソコンでも同じようにブラウザで開いて試した。インストール不要だから、会社の環境でも問題なく動く。上司に「これからこの方法でレポート作成の時間を短縮します」と報告したら、「何を今さら」という顔をされた。彼は知っていたらしい。なぜ教えてくれなかったのか。
レポートの質が劇的に変わった
分析に時間を使えるようになった
最大の変化は、データ収集にかけていた時間を分析に回せるようになったことだ。以前は集めるだけで38時間使い、分析には残りの時間を細切れでやっていた。今はデータ収集が1時間で終わる。残りの37時間を、データをどう読み解くかに使える。
具体的には、フォロワーのバイオから興味カテゴリを分類し、アカウントごとにフォロワーの傾向を比較できるようになった。A社のフォロワーには美容系が多く、B社のフォロワーにはライフスタイル系が多い。この比較が以前はできなかった。データがないから。今はスプレッドシート上でフィルタをかけるだけで、瞬時に分類が見える。クライアントへの提案の精度が明らかに上がった。
履歴が残るから月次比較が楽になった
このツールにはエクスポート履歴が保存される機能がある。これが月次レポートに最適だ。先月のエクスポートデータと今月のデータを並べて比較できる。どのカテゴリのフォロワーが増えたか、どの層が離脱したか。月ごとの変化が見えるから、クライアントにも「今月は美容系のフォロワーが800人増えました。先月のキャンペーンが効いたと思われます」という具体的な報告ができる。
以前は「先月比でフォロワーが2,000人増えました」という数字の報告しかできなかった。クライアントは「で、その2,000人はどんな人?」と聞いてくる。答えられなかった。今は「うち800人が美容系、500人がライフスタイル系、残りは一般ユーザーです」と答えられる。この違いが、エージェンシーとしての信頼に直結している。
残された課題と、これからやること
分析のスキルを上げる必要がある
データが手に入るようになって、次の課題が見えた。分析スキルだ。30万人のデータがあっても、それをどう読むかが分からなければ宝の持ち腐れだ。今は単純なカテゴリ分類とソートくらいしかできていない。もっと深い分析、たとえばフォロワーの重なり具合を調べたり、エンゲージメントとの相関を見たりしたい。
でもそれは、時間ができたからこそ考えられるようになったことだ。38時間かけてデータを集めていた頃は、分析のことまで頭が回らなかった。ツールが時間をくれた。その時間を、次はスキルを上げるために使う。プロのマーケターとして一つ上の段階に登るために。データは道具だ。使いこなすのは人間だ。やっと、その準備ができた。