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「InDesignで修正された日本語翻訳」ページ公開にいたる経緯

Last updated at Posted at 2022-12-09

先月 Adobe InDesign バージョン 18.0 がリリースされましたが、アドビではそれと同時に「InDesign で修正された日本語翻訳」ページを公開しました。

InDeign で修正された日本語翻訳

当該ページには InDesign バージョン 12 から 18.0 までの間に InDesign の日本語版 UI 上で変更および修正を行なった用語をリストアップしました1。ユーザーの皆様のクリエイティブな活動の一助となれば幸いです。

この記事では「InDesign で修正された日本語翻訳」ページ (以降「修正された日本語翻訳」ページ) が掲載された経緯について紹介します。

「修正された日本語翻訳」ページには何が書かれているか

下の画像は実際に公開されている「修正された日本語翻訳」ページのスクリーンショットです。
fixed-japanese-translation-issues.png
「修正された日本語翻訳」ページは既存の「InDesign で修正済みの問題」ページ (以降「修正済みの問題」ページ) を参考に、日本語版 UI のパッチノートのような位置づけで作成しました。記載内容はおおむね次のように分類しています。

  • 名称の変更:使いやすさや分かりやすさを重視し、機能名や専門用語の訳語を変更したケース
    • 例:「ブックレット」を「小冊子」に変更
  • 名称の変更 (原文の変更):原語の変更にともない訳語を変更したケース
    • 例:「マスターページ」を「親ページ」に変更
  • 翻訳の修正:誤訳や、コンポーネント間・製品間で統一されていなかった翻訳を修正したケース
    • 例:スタイル画面で、「基本にリセット」を「基準にリセット」に修正

この分類は日本語版 UI 上での用語変更の基準にもおおよそ合致します。

  • 原文が変更された場合、それに合わせて訳語を変更する
    • 例:英語 - "Master Pages" → "Parent Pages" / 日本語 - 「マスターページ」 → 「親ページ」
  • 機能に対して訳語が不適切である場合、機能に沿うように訳語を変更する
    • 例:英語 - "Define" / 日本語 - 「定義」 → 「プリセットの管理」
  • 他コンポーネントや他製品と翻訳が揃っていない場合、揃うように訳語を変更する
    • 例:英語 - "Reset to Base" / 日本語 - 「基本にリセット」 → 「基準にリセット」
  • より馴染みのある日本語表現が存在する場合、そちらに訳語を変更する
    • 例:英語 - "Booklet" / 日本語 - 「ブックレット」 → 「小冊子」

インパクトの大きい原文変更や訳語変更は、マーケティング担当者やプレリリースユーザー (後述) に意見を仰いでいます。

ページ公開の背景

「日本語版 UI 上の用語の変更履歴が欲しい」という要望は、以前よりプレリリースユーザーから伝えられていました。

参考 (プレリリースプログラム):プレリリースプログラム起点の品質改善 - ドキュメントテスト編 - Qiita

基本的に「修正済みの問題」ページには機能の変更および修正のみ記載することになっており、各ローカライズ版での翻訳の変更や修正を併記していません。そのため業務で下位バージョンを使用している場合や、自身が使用しているものとは異なるバージョンを元に執筆された教本やハウツー記事を読みながら作業する場合2、「この用語はどんな用語に変更されているのか」「いつ変更されたのか」を知るのが難しい状態でした。

(下は実際の「修正済みの問題」ページのスクリーンショットです。ドットリリース毎に区切って機能やパフォーマンスについての変更および修正が記載されています)
fixed-issue.png
一方、先日リリースされた InDesign バージョン 18.0 では、ユーザーの皆様の要望を元に、いくつかの大きな翻訳変更および修正を行いました。その中でも、「プライマリテキストフレーム」から「テキストフレームの自動生成」への用語変更は、多くのユーザーが当該機能を使用している3ため、変更したことを広く、長期的に伝える方法が必要だという問題意識が強くなりました。
primarytextframe-comparing.png

ページ公開に向けたプロジェクト発足

これを機に社内の各部署に掛け合い、日本語版 UI 上の用語の変更履歴をまとめたページを公開できるよう小さなプロジェクトが発足しました。今回だけでなく今後も継続してページを更新していくためにルールを決め、関連作業フローの確認を行いました。以下はプロジェクト内で検討された内容の一部です。

  • 用語変更理由のパターン分け
  • いつまでさかのぼって記載するか
  • 全ての変更をドットリリースで区切って掲載するか否か
  • InDesign バージョン 18.0 リリースに合わせて公開するための作業スケジュール
  • 公開済みのページをユーザーに広く周知する方法

今回の作業の中で最も大変だったのは、実際に掲載する用語のリストアップでした。社内にも日本語版での用語変更および修正のみを集めたリストは無く、今回「修正済みの日本語翻訳」ページを公開するため、私たちも InDesign バージョン 12 がリリースされた 2016 年頃までバグチケットの内容をさかのぼる作業を行う必要がありました。

用語変更に伴う一部ヘルプドキュメントの修正

「修正済みの日本語翻訳」ページを公開した後、InDesign バージョン 18.0 リリースによる用語変更の影響を受けるヘルプドキュメントにも一部手を加えました。
layout-design-9.png
上の画像は現在公開されているヘルプドキュメントページのスクリーンショットです。今回の用語変更に大きく影響を受けるドキュメントに対して、変更前後の用語の情報をページ頭に挿入しています。これは単純に変更箇所が多いというのもありますが、検索エンジンを使用する際に「プライマリテキストフレーム」「テキストフレームの自動生成」のどちらで検索しても当該ページに辿り着けることを目的としています。

InDesign のユーザーコミュニティ

今回公開した「修正済みの日本語翻訳」ページには、ユーザーの皆様からご指摘いただいて修正した用語変更が多く含まれています。各ユーザーコミュニティでお寄せいただいた情報は、翻訳の変更だけでなく、機能バグの修正やパフォーマンス改善など、開発時に大変役立っています。

アドビでは皆様の疑問や要望を受け付けるためのユーザーコミュニティを複数設けています4。ぜひご意見をお寄せください。

  1. 全ての変更および修正が網羅されているわけではありません。

  2. 私が作業している机上にある、現在もしばしば参考にする Tips 本も InDesign CS 5.5 を元に執筆されたものです。

  3. 「プライマリテキストフレーム」(InDesign バージョン 17.4 まで。バージョン 18.x 系からは「テキストフレームの自動生成」)は、テキストを流し込むためのテキストフレームまたはレイアウトグリッドを自動的に生成および配置する機能です。

  4. 各コミュニティの活動状況は製品によって異なります。

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