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Claude Haiku 5.5が0.0%→39.2%、料金は10分の1に。Claude Opus 5.5との使い分けとAPI移行の落とし穴

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公式ベンチマーク、料金表、そして10万トークンの価格段差まで。移行を担当する人向けに、2つのモデルの守備範囲を整理します。

Claude Opus 5.5とClaude Haiku 5.5の比較カバー画像

カバー画像はAIで生成したものです。製品のスクリーンショットではありません。

Anthropicが3週間のあいだに2つのモデルを出しました。9月22日のClaude Opus 5.5(claude-opus-5-5)と、10月7日のClaude Haiku 5.5(claude-haiku-5-5)です。

話題は値下げに集まりがちですが、公式ドキュメントを突き合わせてみて私が気になったのは、価格そのものよりも次の2点でした。

  • Haiku 5.5がTerminal-Bench 4.0で39.2%を記録したこと。前世代のHaiku 4.5は 0.0% です。
  • Haiku 5.5だけが、プロンプト長で料金段階が変わること。 入力が10万トークンを超えると、そのリクエスト全体が5倍になります。

後者は、まさにこのモデルが想定している用途——エージェントのサブタスク実行——で踏みやすい段差です。この記事では、2つのモデルがそれぞれ何をできるのか、接続確認をどう書くのか、移行で何にハマるのか、そして実際に月いくらになるのかを順に整理します。


1. 前提:スペック表はほぼ同じです

「安いモデルはコンテキストが短く機能も少ない」という前提は、この世代では成り立ちません。

項目 Opus 5.5 Haiku 5.5
コンテキストウィンドウ 1Mトークン 1Mトークン
最大出力 128Kトークン 128Kトークン
知識カットオフ 2026年6月 2026年6月
思考モード 適応型(無効化不可) 適応型
デフォルトeffort medium medium
画像入力/ツール呼び出し 対応 対応
レイテンシ区分 Moderate Fastest
入力/出力料金 $4/$20 $0.10/$0.50(10万トークン以下)

数値はAnthropic公式のモデルドキュメントで2026-10-14に突き合わせたものです。

前世代のHaiku 4.5は200Kコンテキスト・64K出力でしたので、ここは実質的な変化です。安いほうを選んでも容量とマルチモーダルは犠牲になりません。 ただし、容量が同じでも推論能力やタスクの成功率が同じとは限りません。

2. Haiku 5.5で何が変わったか

世代間の差は、公式が出している対照値で見るのが早いです。

ベンチマーク Haiku 5.5 Haiku 4.5
OSWorld 2.1(コンピュータ操作、オフライン部分集合) 72.4% 15.7%
Terminal-Bench 4.0(ターミナル課題) 39.2% 0.0%
Humanity's Last Exam(ツールなし) 45.9% 10.2%
Chartography(ツールなし) 46.4% 6.4%

Terminal-Benchの行が、この表でいちばん立ち止まる価値のある箇所です。0.0%は「少し劣る」ではなく、この種の課題を前世代はそもそも完了できなかったという意味になります。39.2%は「できるようになった」という意味です。差が大きいというより、できる・できないの境界をまたいでいます。

OSWorldの72.4%には参照点があります。この評価の元論文が報告している人間のベースラインが72%です。

公式が名前を挙げている用途は、要約、コンテキスト圧縮、データベース照会、分類、そしてOpus 5.5やSonnet 5.5のサブエージェントとしての実行役。加えてリアルタイム接客やブラウザ操作のような、レイテンシが効く用途です。

顧客側の数値も出ています。Asanaはタスク完了のレイテンシが30%以上低下、Boxは Haiku 4.5より11ポイント高いスコアをおよそ半分のレイテンシで、HubSpotはCRM監査タスクで自社記録として最良のスイート結果(3回平均92.8%)を報告しています。

Terminal-Bench 4.0:世代間の変化

出典に基づく編集部作成図。料金は試算、ベンチマークは公式公表値です。

2つの「初めて」

実装面で押さえておきたい変更が2つあります。

  • Haiku系で初めてeffort段階の調節に対応しました(LowからMaxの5段階)。難易度に応じてコストを振れます。
  • PythonとTypeScriptのSDKで、Haiku系として初めてcomputer useとbrowser useのbeta対応が入りました。

3. Opus 5.5が高い理由は「手数の少なさ」

Opus 5.5の評価軸は、正答率よりも同じ仕事を何手で終えるかに寄っています。公式の一次実測で分かりやすいのは次のあたりです。

  • 20万行のコード監査を3時間以内に完了。Opus 5では20時間以上かかり、トークンも2.5倍消費していた
  • 68万行の移行を1日以内に完了
  • 研究レポート18本中16本が品質基準を通過。対照のFable 5.1とOpus 5は1本も通らなかった

顧客側も同じ形をしています。Optiverはおよそ半分のターン数・時間・出力トークンでOpus 5と同等の品質に到達し、当該ワークロードのコストを40〜50%削減。GitHubはVS Code上で解決したターミナル課題がOpus 5より多く、手数は半分以下。Quantiumは「38プロンプトで4日」だった作業が「11プロンプトで3時間」になったと報告しています。

公式のいう「実行コストがOpus 5比40%減」はここから来ています。単価の下げ幅は20%で、残りは手数とトークンの削減分です。

プランナーに求めるものとしては、これはかなり素直な性質です。4手で妥当な分解に到達するプランナーは、9手かかるプランナーより安いだけでなく、実行側を間違った方向に向ける機会がそれだけ少なくなります。

4. 接続確認と最小呼び出し

ここからは手を動かす部分です。確認した環境は次のとおりです。

項目 値
確認日 2026-10-14
エンドポイント https://api.crazyrouter.com/v1(OpenAI互換)
curl 8.13.0

モデルIDは日付なしの固定スナップショットです。まず、使う経路にその識別子が存在するかを確認します。

curl https://api.crazyrouter.com/v1/models \
  -H "Authorization: Bearer $API_KEY"

2026-10-14に実際に叩いたところ、claude-opus-5-5、claude-haiku-5-5、claude-haiku-4-5 の3つは一覧に含まれていました。確認できたら最小の呼び出しを通します。

curl https://api.crazyrouter.com/v1/chat/completions \
  -H "Authorization: Bearer $API_KEY" \
  -H "Content-Type: application/json" \
  -d '{
    "model": "claude-haiku-5-5",
    "messages": [{"role": "user", "content": "「接続OK」とだけ返してください"}]
  }'

経路ごとの対応状況はCrazyrouterのAnthropicモデルページのように経路側でも一覧化されていますが、自分が依存しているパラメータがその経路で通るかは別途確認が必要です。ベースURLとリクエスト形状が同じでも、通るパラメータまで同じとは限りません。

5. 移行でハマるポイント

私が読んでいていちばん事故になりそうだと思ったのはここです。

手動のextended thinkingはもう通りません。 これまでの thinking.type: "enabled" と budget_tokens を組み合わせる書き方は、Opus 4.6とSonnet 4.6で非推奨となり、それより新しいモデルでは受け付けられません。現在は適応型思考に統一され、effortパラメータで調節します。なお、Opus 5.5では思考モード自体を無効化できません。

あわせて3点。

  1. デフォルトeffortは両モデルとも medium です。変えたいなら明示的に渡します。
  2. モデルIDは日付がなくても固定スナップショットです(4.6世代以降)。勝手に新しい重みへ乗り換わることはない代わりに、上げるときは必ずコード側を変更します。
  3. Message Batches API に output-300k-2026-03-24 のbetaヘッダを付けると、両モデルとも出力上限を30万トークンまで引き上げられます。

6. 10万トークンの価格段差

公式料金(2026-10-14確認、USD/100万トークン)です。

計測項目 Opus 5.5 Haiku 5.5(≤100K) Haiku 5.5(>100K)
入力 $4.00 $0.10 $0.50
出力 $20.00 $0.50 $2.50
キャッシュ書き込み $5.00 $0.125 $0.625
キャッシュ読み出し $0.20 $0.01 $0.05

Haiku 5.5は、現行の料金表でプロンプト長によって段階が変わる唯一のClaudeモデルです。 境界は入力10万トークン。超えると入力・出力・キャッシュ書き込み・キャッシュ読み出しがまとめて5倍になります。判定はリクエスト単位です。10万トークンは第1段階、100,001トークンはリクエスト全体が第2段階に入ります。

公式の節約幅の説明もここに乗っています。10万以下ならHaiku 4.5比で90%減、超えると50%減。Haiku 4.5のリクエストの約90%は10万以下でした。公式は平均運用コスト約75%減も報告していますが、件数比だけではトークン量の重みが分からず、この平均値は算出できません。これは旧トラフィックの分布を説明した数字であって、これから作るエージェントループの分布ではありません。

手元で月額を計算してみる

段差の影響を数字で見ておきます。1日500件の資料整理タスク、1件あたり入力8万トークン・出力2,000トークン、月22営業日と仮定します。

  • 月間入力:500 × 80,000 × 22 = 8.8億トークン
  • 月間出力:500 × 2,000 × 22 = 2,200万トークン

Haiku 5.5の短プロンプト段階なら、入力 8.8億 × $0.10 ÷ 100万 = $88、出力 2,200万 × $0.50 ÷ 100万 = $11、合計およそ $99/月。

同じ量をOpus 5.5で回すと、入力 $3,520、出力 $440 で合計およそ $3,960/月。差は40倍です。

ここで入力を11万トークンに増やすと、Haiku側はおよそ $660/月。同じ11万トークン入力ではOpusは$5,280/月なので、同一負荷での価格差は8倍です。しかもレスポンスのどこにも、今どちらの段階で課金されたかは書かれていません。

つまりコスト最適化の実体は「安いモデルに替える」ではなく、コンテキスト管理です。各サブエージェントが持ち回る内容を削る、送信前に見積もる、上限に近づくタスクは分割する。ここをやって初めて40倍が維持されます。

ほかに請求額を動かす条件として、バッチ処理は両モデルとも半額、Opus 5.5にはfast mode($8/$40、最大2.5倍速)があります。キャッシュ読み出しの割引率はモデルごとに違い、Opus 5.5は基本入力価格の5%、Haiku 5.5は10%、Fable 5.1は2.5%です。長期の試算で同じ係数を当てないよう注意してください。

第三者経路の提示価格は公式とは別の数字です。CrazyrouterのHaiku 5.5料金ページは2026-10-13時点のスナップショットで公式と同額を示し、10万トークンの段階規則も同じく明記していました。ただし公式と経路の価格を混ぜて1つの予算にしないでください。

10万トークンの境界と月額試算

出典に基づく編集部作成図。料金は試算、ベンチマークは公式公表値です。

7. ベンチマークの読み方

表を貼る以上、読み方も書いておきます。この記事の表も含めての話です。

Anthropic自身がベンチマークの温度を下げています。 Opus 5.5の資料には、現在の能力水準ではベンチマークの差が実世界の違いを示す指標としてすでに信頼性を落としている、Fable 5.1との実際の差はスコアが示すより狭い、と明記されています。

条件も確認が必要です。特記がない限り結果は適応型思考のmax effortで、Terminal-BenchではOpus 5.5がxhigh、GPT-6 Astraがhighと、それぞれの最良設定が使われています。本番向けのセーフガードは有効のままで、公式はこれが測定性能を「おそらく下げている」としています。Terminal-Bench 4.0の標準誤差は±2.6ポイント、リーダーボード上のOpus 5の51.8%は52.3%として再現され、公式はこれを「ノイズの範囲」と呼んでいます。OSWorldの数値はオフライン部分集合です。

実用的な読み方は桁で読み、小数点では読まないことです。39.2%対0.0%は桁の差で、設計を変える根拠になります。54.4%対53.3%は誤差の内側で、何の根拠にもなりません。

8. 使い分けの整理

用途 推奨 根拠
分類、意図ルーティング、審査キュー Haiku 5.5 公式が挙げる用途。入力が短く件数が多いので最安段階に収まる
構造化フィールド抽出 Haiku 5.5 出力をプログラムで検証できる
要約・コンテキスト圧縮 Haiku 5.5 入力を10万トークン以下に切ることが前提
リアルタイム接客、ブラウザ操作 Haiku 5.5 レイテンシ区分がFastest、browser useに初対応
確定済みステップの実行役 Haiku 5.5 Cognitionが組み合わせのスコアとコスト改善を報告した
大規模な監査・移行 Opus 5.5 20万行監査を3時間以内、68万行移行を1日以内
出典が要る調査・分析 Opus 5.5 18本中16本が通過、対照群は0本
取り返しのつかない判断 Opus 5.5 誤りのコストがトークン差を大きく上回る

補足として、Cognitionの事例は単独で見る価値があります。Devin FusionでHaiku 5.5を実行側、Opus 5.5を主プランナーに置いたところ、FrontierCodeで66.2点——という結果を、タスクあたりのコストとレイテンシを下げながら達成しています。これはAnthropicが掲載したCognitionの報告です。同条件のOpus 5.5単独スコアがないため、両方の単独実行を上回るとは断定できません。

公式が引いている線は、Sonnet 5.5とOpus 5.5が複雑なエージェント的コーディングでは依然として良い選択であり、Haiku 5.5は「より範囲の狭いタスク」に向く、というものです。Terminal-Benchでの39.2%対70.6%(Sonnet 5.5)がその差を示しています。長丁場のコーディングはHaikuの主戦場ではありません。

まとめ

  • スペック表はほぼ同じです。安いほうを選んでも容量は落ちません
  • Haiku 5.5の0.0%→39.2%は、プランナーと実行役を分ける構成がようやく成立したという意味です
  • 移行では手動のextended thinkingが通らない点が最初の関門になります
  • 10万トークンの段差はリクエスト単位で、超えたことはレスポンスから分かりません。コンテキスト管理が実質のコスト対策です
  • 導入順序は先にOpus 5.5で通して受け入れ条件を決め、プログラムで検証できる工程から順に下ろすのが無難です。逆順にすると、判断基準がない状態で「失敗」を検知することになります

安いモデルの失敗の仕方は、拒否ではなく自信のある誤答です。人の目視チェックが最も取りこぼしやすい形なので、下ろす工程は「プログラムが誤りを指摘できるか」で選ぶことをおすすめします。

最後に前世代について。Haiku 4.5はlegacy扱いになり、料金は$1/$5でHaiku 5.5の短プロンプト段階の10倍、Terminal-Benchは0.0%対39.2%です。まだ4.5を使っているなら、今回のアップグレードは一度まとめて評価する価値があります。

出典

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