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JAWS DAYS 2025『「一つのVPCを作る」徹底討論』セッション裏話

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はじめに

2025年3月1日に、JAWS DAYS 2025が行われました。
当日参加いただいたみなさん、お疲れさまでした!

その中で、『「一つのVPCを作る」徹底討論』というセッションをやらせていただきました。
本セッション登壇について、このような大役を任せていただいたこと、本当に感謝しております。

アウトプットまでがJAWS DAYSということで本セッションの組み立てにあたり、考えていたことをまとめたいとおもいます。
本記事は技術記事ではありませんが、今後オープン、クローズドにかかわらず勉強会をやる方のヒントになれば幸いです。

本セッションの資料は、すでにSpeakerDeckにアップ済みです。

CfX提出まで

CfXの提出にあたり、イベントのテーマである「Connecting the dots」というワードについて考えてみることにしました。
Connecting the dots自体はスティーブ・ジョブズがスタンフォード大学の卒業式でのスピーチで語ったワードになりますが、「過去の経験を振り返ってつなぐことだ」という文脈で語られた言葉になります。
このワードを見たときに、いろいろな人の経験をつなぐことで、新しい知見が得られるのでは?ということを考えました。
私一人の経験を伝えることもいいのですが、もし参加者の経験や知見をつなぐことができたらもっといいのではないか?ということを考えました。
その時に、3つのことを考えました。

  • 双方向型のセッションで何か面白い形式はないか?
  • re:Inventなど海外のカンファレンスでは行われているが、日本のエンジニア界隈ではなじみのない形式は何か?
  • 参加者全員がなじみのある技術テーマで、なんとなく決めていることでもWell-Architected Frameworkでもう少し深堀して考えたほうがいいことは何か?

このなかで、チョークトーク形式の採用を考えました。そして、AWSに触れていれば多くの方が使うであろう、Amazon VPCをテーマにしたら面白いのではないか?ということを考え、CfXを書き上げ、採用していただくことになりました。CfXにはセッション説明文のほとんどが埋め込まれていたと思います。実行委員へのアピールは「チョークトークなら参加者の経験をConnecting the dotsできる!」みたいなことを書いていたと思います。
チョークトークなので、議論内容をまとめるホワイトボードが必要になります。これも実行委員の方に無理を言って用意していただきました。ほかのワークショップでも使われていたようなので、これは無理を言ってよかったともいます。

余談ですが、Connecting the dotsのスピーチは見ておいた方がよいです。

セッション構成

見事採用いただいた後、セッション構成を考えることにしました。一般的に、チョークトークは大きく分けると二つの形式があります。

  • お題に対して、参加者が考えていることや疑問点を質問し、登壇者が答えるパターン
  • お題に対して、登壇者が論点を投げかけ、参加者が自分の考えを発表するパターン

re:Inventでは前者のパターンが多いと思いますが、私の経験だけではなく参加者の経験をつなげたいことから、後者の形式をとることにしました。

また、チョークトークの形式から、学校の授業をイメージする方も多いので、「間違えたことを言ったらどうしよう」という不安が当然あります。
なので、論点は絶対的な正解や不正解があるものではなく、すべての選択肢は正解だが、「なぜそれを選んだか?」ということを重視するようにしました。
また、海外と違い日本ではあまり発言に積極的ではないということが経験上わかっているため、オープンに質問してもあまり手が上がらないと考えていました。
そのため、最初に今回のセッションルールを定め、発言しやすいルールとすること、投票形式のものを準備し、手を挙げる心理的なハードルを下げた後、議論に入ることを心掛けるようにしました。

リスクヘッジ

それでも、当日の参加者が少なかったり、あまり議論が盛り上がらない、ということも想定していました。
その場合にも参加者の皆さんに「新しいことが分かった」と思ってもらえるように、解説スライドは用意することにしました。
したがって、私も過去の案件の経験を棚卸するとともに、最新のドキュメントやBlackbeltなどを読み込んで再度学習することにしました。

当日心掛けていたこと

基本は「手を挙げてくれて、発言してくれてありがとう」です。参加者の方は勇気を出して発言してくれます。
初めてJAWS DAYSに参加する方もいらっしゃると思います。
中にはAmbassadorのような方もいて、解説スライドの内容を先回りしたり、さらに詳細な内容を言ってくれるかもしれませんが、基本的には発言のハードルを下げていくことになります。
そのうえで新しい観点や視点を拡げながら、どうするのがいいのか?ということを考えてもらうことを心がけていました。

反響

当日の議論の結果は、こんなホワイトボードになりました。

20250301_171141.JPG

  • 当日議論できたもの
    1. リージョンの選択
    2. アベイラビリティゾーンの個数
    3. CIDRブロックの選択
    4. セキュリティグループ・ネットワークアクセスリストの利用

  • 時間の関係上、用意していたが議論できなかったもの
    5. ルートテーブルの設計
    6. ネットワーク監視・運用

時間が足りず、最後駆け足で解説したものもありました。当日の懇親会やXでの反響も下記のようなものがありました。

当日の懇親会での主な反応

  • 何気なく設定しているものに意味があることを知った
  • 一方的なセッションじゃなくて楽しかった
  • 2時間くらいやりたいセッションだった
  • 何を言ってもまとめてくれる安心感があった

Xでの反応

  • いろんな人の体験談、ハマった話が聞けてめっちゃ良セッションだ
  • ぜひ再演を求む
  • なんとなくではなく、それを選択した理由を考えましょう

反省点

とはいえ、反省点がなかったわけではありません。
いくつか反省ポイントを示しておきます。次回以降チョークトークをやられる方の参考になればと思います

  • 1議論につき1解説スライドにする
  • マイクの位置や場所を事前にスタッフの方と合わせておけばよかった。小さな会議室であれば、その場で発言でもよかった
  • 時間配分。前半スライドが少し長かったので、もっと議論に集中する

所感

チョークトーク形式は私にとっても初めてでしたが、ブレイクアウトセッションとは違ったインプットがあると思いました。ブレイクアウトセッションと違い、スライドを作りこむことはないのですが、議論がどう発散してもうまくまとめられるような事前の準備が必要なため、ブレイクアウトセッションと相対的な準備時間はあまり変わらないと思います。
チョークトークはオフラインならではの形式だと思います。
今後のJAWS-UGをはじめ、オフラインの勉強会ではぜひチョークトークにチャレンジしてみるのもよいと思います。もし日本でチョークトークが定着する日が来たとしたら、このJAWS DAYSが特異点だったよと、本セッションに参加してくださった方は語り継いでいただけると、あらたなConnecting the dotsになると思います。

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