Chrome, Edge バージョン128 getBoundingClientRectの返却値変更

事象

document.body.zoom=1.2など、プログラム的にブラウザの表示率を調整しています。
（様々なモニタ解像度から最適な表示をするための工夫）

最新版のChromeに更新されたら
JqueryUIのdatepicker、autocomplete
bootstrap-datetimepicker
のポップアップ（吹き出し）は呼出元のフォームコントロール（日付入力欄など）の直下から、かなりずれてた位置に表示されてしまっています。

JqueryUIの表示例

原因

Chromeバージョン128でgetBoundingClientRectのAPI戻り値は、プログラムで調整したzoom率を反映した情報となっています。
以前はオリジナルな値となっています。

最新のW3C標準仕様
https://drafts.csswg.org/css-viewport/#zoom-om

The getBoundingClientRect, getClientRects, and IntersectionObserver APIs must return rects with scaled lengths.

JqueryUIなどのJSフレームワークのoffset関数は、getBoundingClientRectにてLEFTやTOPの座標を計算しており、内部的に矛盾が出ているようです。

参考デバッグ情報（LEFT属性）

旧バージョンChrome
$( "#datepicker" ).offset().left
93.98436737060547

$( "#ui-datepicker-div" )のHTML上のSTYLE.LEFT
93.9844px

$( "#ui-datepicker-div" ).offset().left
93.98436737060547
➡三つともほぼ一緒で表示ズレはない

新バージョンChrome
$( "#datepicker" ).offset().left
112.78125

$( "#ui-datepicker-div" )のHTML上のSTYLE.LEFT
112.781px

$( "#ui-datepicker-div" ).offset().left
135.33334350585938
➡112.781の約1.2倍（bodyのzoom率通り）となるためズレる

暫時対処例

offsetに乗算されているzoom率を除算してオリジナル座標に戻させる

var originalOffset = $.fn.offset;
$.fn.offset = function() {
  var originalResult = originalOffset.apply(this, arguments);
  originalResult.top = originalResult.top / document.body.style.zoom;
  originalResult.left = originalResult.left / document.body.style.zoom;
  return originalResult;
｝

恒久対処

JqueryUIなど、JSフレームワーク側の対処が期待されますが動向不明