この記事はウェブクルー Advent Calendar 2025 の17日目の記事です。
昨日は @wc-kadowaki さんの「モーダル作成がこんなに楽になった!HTMLのdialog要素」でした。
📌 この記事でわかること
- 読書が続かない人でも試せる「なんとなく読書」のやり方
- バラバラな本が“知識の島”としてつながっていくプロセス
- デザイナーがシステム思考・ビジネスモデル・心理学などを実際のアウトプット(業務フローの可視化・PJTの進め方・デザインシステム)に落とし込んだ具体例
🏁 はじめに
生成AIのおかげで、「それっぽいデザイン」や「それっぽいUI」は、プロじゃなくても作れるようになってきました。正直、デザイナーとしてはちょっとゾワッとする現実です。
「じゃあ、デザイナーの価値ってどこにあるんだろう?」
WebCrewのデザイナーになって6年。ここ1〜2年は、そんなことばかり考えていました。
そこで始めたのが、ジャンルをあまり決めずに“なんとなく”本を読み続けることです。
体系的なカリキュラムでもなく、「この順番で読むべき!」みたいなものでもなく、気になった本を適当に拾っていくだけ。
最初はバラバラだった知識が、ある日「島」としてつながり始め、気づいたらアウトプットの質や、仕事の関わり方そのものが変わっていた──というのが今回のテーマです。
12月も下旬に差し掛かり、夜の時間が最も長い時期です。そんな静かな夜にもおすすめの読書。
せっかくなので、この1年で続けてきた“ゆるい読書習慣”が、どうやって自分のアウトプットを変えていったかをまとめてみます。
🥸 想定読者
- デザイナー / エンジニア / PM / マーケターなど、プロダクトづくりに関わる人
- 普段あまり読書していないけれど、インプットを増やしたいと思っている人
- 夜の時間をなんとなくSNSで眺めて終わらせがちな人
- AI時代に「自分の仕事の価値」をもう一度考えたい人
📍 補足
ここで言う「なんとなく読書」は、
- 読む時間は退勤前とランチタイムに限る
- ジャンルはあまり絞らず、そのとき気になった本を拾う
- 最後まで読めなくてもOK(積読も許容)
くらいの、かなりゆるいルールで続けているものです。
「ちゃんと勉強しなきゃ」ではなく、「とりあえず読む」くらいの温度感がポイントでした。
🧑🎨 これまでのデザイナーとしてのアウトプット
ざっくり言うと、私は「見た目を作るデザイン」をずっとやってきています。
「デザイン」という言葉は多様化し続けていますが、ウェブクルーでは「見た目を作る」ことは引き続き求められ続けています。
私の場合、主にバナーやLPなどの広告デザインや、WEBデザイン・UIデザインがアウトプット対象です。具体的には、AdobeソフトやFigmaを使って、グラフィックデザインや画面デザインをアウトプットします。もちろんこれらの仕事がデザイナーとして重要なのは言うまでもありません。
しかし、これらの 「表面的なデザイン」は、生成AIで誰でも簡単に作成できる時代になりつつあります。
こういった時代の中で、デザイナーとしてどうやって活躍の場を増やすべきなのか? が、
自分の中での大きなTopicsになりました。
📚 最近読んだ本=「知識の島」たち
そんな個人的Topicsを抱えながら、
ここ数ヶ月、わりと行き当たりばったりで読んでいた本がこちら。
- 『ジョナサン・アイブ 偉大な製品を生み出すアップルの天才デザイナー』
- 『決算分析の地図 財務3表だけではつかめないビジネスモデルを視る技術』
- 『ザ・ゴール 2 ― 思考プロセス』
- 『世界はシステムで動く ―― いま起きていることの本質をつかむ考え方』
- 『オブジェクト指向でなぜつくるのか 第3版 知っておきたいOOP、設計、アジャイル開発の基礎知識』
- 『イラスト図解式 この一冊で全部わかるサーバーの基本 第2版』
- 『IAシンキング Web制作者・担当者のためのIA思考術』
- 『ユーザビリティエンジニアリング(第2版) ―ユーザエクスペリエンスのための調査、設計、評価手法』
- 『マーケティング企画技術―マーケティング・マインド養成講座 (Best solution)』
- 『[買わせる]の心理学 消費者の心を動かすデザインの技法61』
- 『成功する企業アプリ』
一応、業務に関連しているとはいえ、テーマとしては結構バラバラですね。
こうみると全然デザイン系の本読んでいない…
でも、ここで大事にしたのは「体系的に学ぶ」ことではなく、そのとき気になった本を“適当に”つまんでいくことでした。
幅広く読んでいくにつれて、バラバラだった知識が徐々に線で繋がっていく感覚が生まれてきました。結果、自分のアウトプットがじわっと変わった感触があります。
では、その「知識が線で繋がった体験」と「アウトプットがどう変わったか」をまとめていきます。
🧩 「知識の島」を分類すると…
まず、読んだ本をざっくり分けるとこんな感じ。
読んだ順番は覚えていないので、記載順は適当です。
1. 🎨 クラフト・美意識の島
曲がりなりにもUI/UXデザインやってる身としてこれでいいのか…と思いますが、今回初めて読みました。
天才的なデザイナーのマインドは、パンピーの私でも参考にすべきものが多くありました。
とにかく久しぶりにこういったデザイン系の本を読んだので、めちゃくちゃ楽しかった…若かりし頃の気持ちを思い出しました。
📖 対象書籍
👉 個人的ポイント
- 「絵に描いた餅」ではなく、実際に作れるもの・使えるものをデザインすることの重要性がわかる
- 人がどうやって使うのか、そのストーリーを描くことからデザインは始まる、というデザインの本質を感じられる
- とにかく私のデザイナー心に刺さった
- 久しぶりに「デザイン言語」という分野を学び直すことにつながった
- Appleには徹底的なドキュメンテーションの文化があり、その重要性を学んだ
デザインを差別化の手段だと思っている人が多過ぎる…それは企業側の見方だ。
僕たちの目標は差別化じゃなくて、これか先も人に愛される製品を創ることだとわかってほしい。差別化はその結果なんだ
※本文引用
2. 📊 ビジネスモデル・お金の流れの島
なんとなく平積みされていたので手に取った本。現場レイヤーの私に取っては、経営レイヤーで物事を捉えられていないなと思って読み進めました。
📖 対象書籍
👉 個人的ポイント
- P/L、B/S、C/Sの基本的な役割を理解できる
- 経営視点で各企業の強みを分析する方法がざっくり理解できる
- 経営指標につながる「KPI」に対する解像度が上がる
- 具体的なSaaSサービスの事例がわかる
3. 💭 システム思考の島
どこかで目にした「システム思考」という言葉から、連続して2冊読破。これを読んでから、思考の散らばりが少なくなったような気がします。
📖 対象書籍
👉 個人的ポイント
- フィードバックループ、因果関係、ボトルネック、レバレッジポイントなど、全体を仕組みとして考える視点を得られる
- いろんな場面やいろんなレイヤーで活用できる思考法
4. 👀 人間の心理・コミュニケーションの島
UI/UX、マーケティングにおけるアウトプットを、より論理的なアプローチでできる方法はないか?ということで、行動心理学や認知心理学に立ち返ろうと思って手に取った一冊。Kindleで買ったので読みづらかったこと以外は良かったと思います。
📖 対象書籍
👉 個人的ポイント
- 市場分析・ターゲットセグメント・ポジショニングなど、マクロ視点のマーケティング戦略がわかる
- つい見ちゃう・やっちゃう人間心理の現象やメンタルモデルの分類がわかる
- メンタルモデルと具体的なデザインを関連づけているのでIndex性が高く、使いやすい
- 後者はインターフェースデザインの心理学よりはライトな感じで読みやすい
5. 🧑💻 設計・開発の島
UIデザインでもコンポーネントという言葉が使われ始めて早数年。今更ながら「…コンポーネントってなんだ??」という基本に立ち返るため、コンポーネントという言葉の歴史を辿ることに。たどり着いたのが「オブジェクト指向開発」。そこから「WEBプロダクトで出てくるネットワークとかサーバーって結局よくわかってないわ」と、素人のような思考でサーバーやネットワークに関しての初歩的な本を読む流れがあった。
📖 対象書籍
👉 個人的ポイント
- 専門用語の理解よりも、全体大筋の理解をすることが大事(という姿勢)
- 「とりあえず読む」だけでも、専門用語や概要が少し理解でき、特にエンジニアさんとのコミュニケーションがしやすくなった(と思う)
- UMLとの再会
6. ℹ️ 情報設計とユーザビリティの島
ここら辺については、抽象的で担当者の経験にも大きく影響するところ。しかし、担当者個人のスキルに依存すると、それだけリスクもあるので、組織的に体系化すべきポイントでもあります。
📖 対象書籍
- 情報設計における競合調査の具体例を確認できる
- ユーザ行動を起点にした情報設計の具体例を確認できる
- ユーザビリティに関する様々な評価手法を学ぶことができる
以上、ここまで直近読んできた本について超ざっくりご紹介してきました。読んでいる最中は「へ〜」「なるほど〜」で終わることが多いんですが、これが後々少しずつ自分の中で繋がっていきます。
💡 島と島が繋がりと実際のアウトプット
ここから実際に、自分の中で知識が繋がった瞬間と事例を紹介します。
A. 💭 システム思考の島 ✖️ 🧑💻 設計・開発の島
これらの島を経由することで、
- 不明瞭な仕組みを可視化すること
- その仕組みの問題点を解明し、さまざまな手段で改善方法を検討すること
- これらを関係者に共有すること
を、これまでよりも具体的にできるよう心がけるようになりました。
実例としては、既存・新規ワークフローの可視化というアウトプットにつながっています。
部分的な業務フローのアクティビティ図を作成し、業務フロー自体の見直し・再設計などに役立てています。これによって、プロダクト開発だけでなく、業務フローやチームや関係者のコミュニケーションを改善させるきっかけになることを期待しています。
「とにかく必ず図にしよう」とまでは思っていませんが、 「よくわからない仕組みは一度絵にしてみる」 というだけでも、会話の質がかなり変わるのを実感しています。
ex.とある業務フローの可視化例
B. 📊 ビジネスモデル・お金の流れの島 ✖️ 💭 システム思考の島 ✖️ ℹ️ 情報設計とユーザビリティの島
これらの島を経由することで、
- 何を目的に、どんな目標を目指すのか
- どうやったら、より効率的に行うことができるのか
- 誰もが使いやすいようにするためには、どのようなUIが必要なのか
を、明確にしながらプロジェクトを動かせるようになったように感じています。
実例としては、自身のプロジェクトにおいて、これまであまり意識してこなかったデザイン以外のアウトプットの質を意識する機会が増えました。
自分がPjMとして活動しているプロジェクトに対しては、事前にかつ明確に定量的な目標を設定したことで、それを実現するためには具体的にどうすべきか?を参加メンバーが積極的に考えて、行動できるようになっていると感じています。
また、アジャイル形式でのプロジェクトマネジメントを採用したり、Backlogの運用方法を提案したり、Slackの各種機能などを使用することで、参加している人たちの混乱を防ぎつつ、効率的な活動に繋げることができていると感じています。
ex.PJTで使ってるSlackの画面
目的や定量的な目標をしっかり設定
アジャイル型でPjM、各タスクの進捗・次AC管理を、定期的に実行
途中成果物をまとめ
途中経過、参加メンバーの感謝と賞賛は忘れずに
C. 🎨 クラフト・美意識の島 ✖️ 👀 人間の心理・コミュニケーションの島 ✖️ 🧑💻 設計・開発の島 ✖️ ℹ️ 情報設計とユーザビリティの島
これらの島を経由したことで、
- 提供される情報が少ない中で、新規ブランドコンセプトを設計するにはどうしたら良いか
- 品質を落とさず一貫性のあるデザインを、より高速で仕上げるにはどうしたら良いか
- 市場でどういった印象を狙ったデザインをするか
- その上で、実装・開発を効率的にするにはどうしたら良いか
という観点が得られ、ただ力任せにがむしゃらに頑張る、という昔ながらのデザインスタイルから、ようやく脱却できたように感じています。
実例としては、デザイン要件を自ら定義し、合意形成をとりながらアウトプットするという、デザイン周辺の一連のプロセスがブラッシュアップできたことが挙げられます。具体的には、新規サイトを立ち上げる際に、市場調査とポジショニングを経て、ライトなデザインシステムを組むことで、デザイン制作・開発効率を上げたアウトプットが挙げられます。
最近はデザインシステム不要論なども散見しますが、Yes or Noの二元論では片付けられないと思っています。
効果が期待できるもので、使えるものは使う、という姿勢になりました。
ex.当該デザインのアウトプット
🤔 これから「読書」してみたい人へのヒント
私が今回の記事で伝えたかったことは、「なんとなくの読書でも自分のアウトプットは変えられる」ということです。
そこで、自分なりにやっているルールを 「なんとなく読書 4か条」 としてまとめてみます。
- 退勤時間とランチタイムしか読まない
- できるだけ読むジャンルは選り好みしない
- 精読はしない
- 最悪、全部読まなくてOK
自分も、読書の時間を捻出することが最大の悩みでした。
家に帰ったら息子と遊ばないといけないので、家では読める時間が限られています。
逆に言うと、自分が読書を継続できているのは、こういった制限時間があるからかもしれません。
読書をあまりしてない人も、たまの夜に読書してみるのはいかがでしょうか??
まずは堅苦しく考えず、気軽に読むことから始めてみることをお勧めします。
🏁 さいごに
冒頭で、デザイナーとしてどうやって活躍の場を増やすべきなのか? がTopicsだったと述べていましたが、結論、読書を継続したことで視野が広がり、結果的にアウトプットが変わっていました。
昨今のAIの隆盛によって、今更読書しても…という方もいるかもしれません。
また、たったこれだけの読書だったとしても、読み終わるまでにそこそこ時間がかかるため、費用対効果の面でも非効率的と考える方もいるでしょう。
しかし、こういった読書体験が個人にもたらす変化は、デザイナーに関わらず、様々な職種で大きな効果が期待できるのではないでしょうか??「アウトプットが変わること」が良いこととは限りませんが、変化が早い現代だからこそ、自分を変える一つの手段として、誰でもできる「なんとなく読書」が良いのではないかと思います。
もしこの記事を読んで、
- 「この1冊から読んでみようかな」
- 「退勤前の15分だけ、本を開いてみようかな」
と思ってもらえたら、とても嬉しいです。
明日は @yagiyuuuu(Yu Yagishita) さんの投稿になります。お楽しみに!
















