はじめに
先日 Re:VIEW で技術同人誌を執筆した際に、フォントを Noto に統一するために試行錯誤しました。
この記事では、Re:VIEW で作成する PDF に埋め込まれるフォントをすべて Noto 系のフォントに変更する方法を紹介します。
環境
Docker 上に Re:VIEW の環境を構築しました。
vvakame/review:5.9
を使用しています。
この環境では、デフォルトでは、和文は原ノ味フォント、欧文は Latin Modern フォントが埋め込まれるようになっていました。(あと Nimbus Sans も)
和文は HaranoAji (= 原ノ味) | 欧文は LM (= Latin Modern) |
---|---|
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フォントを Noto に統一する
下記のドキュメントにフォントに関する説明が記載されていて、とても参考になりました。
使用書体の変更(upLaTeX 編) — Re:VIEW knowledge ドキュメント
今回の場合は和文と欧文でそれぞれ変更する必要がありそうです。
和文フォントを変更する方法
和文フォントの変更方法は、Docker イメージのリポジトリに記載されていました。
- Notoフォントを使いたいとき
apt-get install fonts-not-cjk-extra
およびkanji-config-updmap noto-otc
を実行する
上記に従い Dockerfile でビルド時に実行されるようにしようとしたのですが、エラーになりました。
RUN kanji-config-updmap noto-otc
------
> [dev 2/2] RUN kanji-config-updmap noto-otc:
0.229 Either -user or -sys mode is required. at /usr/bin/kanji-config-updmap line 98.
------
エラーに従い -sys
をつけたらビルドに成功しました。
RUN kanji-config-updmap-sys noto-otc
これで、和文フォントとして Noto のフォントが埋め込まれるようになりました!
原ノ味フォントは、源ノ明朝・源ノ角ゴシック (= Noto Serif, Noto Sans) をベースに作られたフォントなので、見た目はほとんど変わらないです。Adobe Acrobat Reader などでフォントが埋め込まれているか確認しましょう。
欧文フォントを変更する方法
欧文は noto
パッケージでフォントを変更しました。
vvakame/docker-review には texlive がインストールされているので、texlive-fonts-extra
をインストールすると noto
パッケージが使用できるようになります。
RUN apt-get update && apt-get install -y texlive-fonts-extra
sty/review-custom.sty
に以下を追加すると、欧文が Noto になります。
\usepackage{noto}
これですべて Noto になった...と思いきや、本のタイトルだけ Numbus Sans です。
これは、 sty/review-base.sty
で以下のようにフォントが指定されているのが原因です。
\newcommand{\reviewtitlefont}[0]{\usefont{T1}{phv}{b}{n}\gtfamily}
sty/review-custom.sty
で Noto になるように上書きしました。
\usepackage{noto}
+ \renewcommand{\reviewtitlefont}[0]{\bfseries\sffamily}
これで、埋め込まれているフォントのすべてが Noto になりました
まとめ
最終的な Dockerfile
と sty/review-custom.sty
は以下のようになっています。
FROM vvakame/review:5.9
RUN apt-get update && apt-get install -y texlive-fonts-extra
RUN kanji-config-updmap-sys noto-otc
\usepackage{noto}
\renewcommand{\reviewtitlefont}[0]{\bfseries\sffamily}
ちなみに、完成した技術同人誌「Qiita Tech Book vol.1」は「RubyKaigi 2025」という Ruby のカンファレンスで配布しました!
今後のイベントでも配布していく予定です。その際には Qiita 公式 X (Twitter) で告知するのでフォローしてもらえると嬉しいです!
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