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はじめに

AWS認定資格を全冠している、いちエンジニアです。

若手の頃、ずっと不思議だったことがあります。

タイピングも遅いし、コードを書くのも特別速くないのに、なぜか仕事が異常に速い先輩が、どの現場にも1人はいませんでしたか?

当時の私は「地頭の差か……」と諦めていました。ですが、いろんな現場でこのタイプの人を観察し続けた結果、共通点は地頭ではありませんでした。

彼らは、作業のスピードを上げているのではなく、「往復回数」を減らしていたのです。

  • 質問して、答えを待つ(1往復)
  • レビューに出して、差し戻される(1往復)
  • 依頼して、「これじゃなくて」と言われる(1往復)

1往復には、待ち時間・コンテキストスイッチ・相手の割り込みコストが乗ります。体感ですが、1往復減らすことは、作業を30分速くするより効きます。

この記事では、私が先輩たちから盗んで今も使っている「往復を減らす技術」を、コピペで使えるテンプレート付きで7つ紹介します。明日から使えるものだけに絞りました。

1. 質問には必ず「選択肢と自分の推し」を添える

一番効果が大きく、一番簡単なやつです。

NG:この場合どうすればいいですか?
    → 相手が選択肢を考えるところから始まる(往復増)

OK:この場合、A案とB案が考えられます。
    ・A案:〇〇(メリット:早い/デメリット:拡張性が低い)
    ・B案:△△(メリット:拡張性/デメリット:工数+2日)
    私はA案が良いと思っていますが、いかがでしょうか?

NGの聞き方だと、相手は「状況の把握 → 選択肢の洗い出し → 判断」をすべてやることになります。OKの聞き方なら、相手の仕事は「Yes/No/第三案」の判断だけ。

返答が「A案でOK」の4文字で済む質問は、5分で返ってきます。 返しやすい質問は往復が速い。これが本質です。

副次効果として、選択肢を作る過程で自分の理解の穴に気づけるので、そもそも質問自体が不要になることも多いです。

2. 依頼は「完成イメージ・締切・優先度」の3点セットで受ける

依頼を受けるときのやり直し(=往復)は、だいたいこの3つの認識ズレから生まれます。受けた瞬間に、この確認テンプレを返すようにしています。

承知しました。認識合わせさせてください。

- 完成イメージ:〇〇という理解で合っていますか?
  (例:Excelの一覧表レベルでOK? それとも報告書形式?)
- 締切:いつまでに必要ですか? また、それは
  「目安」ですか「絶対」ですか?
- 優先度:現在△△を対応中ですが、どちらを先にすべきですか?

特に効くのが**「締切は目安か絶対か」**の確認です。「なるはやで」の8割は目安で、2割は本当の緊急です。ここを聞かずに全部最優先で処理すると、本当の緊急のときに死にます。

そして地味に重要なのが3つ目。優先度の判断を自分で抱えず、依頼側に返す。 板挟みは新人が一人で解決していい問題ではありません。

3. たたき台は「6割の完成度で、構成だけ先に」出す

資料でも設計でもコードでも、100点を目指して3日抱えるより、6割を半日で出して方向確認するほうが圧倒的に速く終わります。

理由は単純で、手戻りの被害は「経過時間 × ズレ幅」で拡大するからです。3日後に方向性のズレが発覚したら3日分が吹き飛びますが、半日後なら半日分で済みます。

ポイントは出し方です。中途半端なものを黙って出すと「雑な人」と思われるので、必ずこの一言を添えます。

方向性の確認をさせてください。
まだ6割の段階ですが、構成と結論の方向性が
これで合っているか先に見ていただけますか?
細部はこの後詰めます。

「未完成品を出した」のではなく「方向確認という工程を踏んでいる」という見せ方に変わります。同じ行動でも、この一言があるかないかで評価は真逆になります。

4. 「言った言わない」往復は、議事メモ3行で消す

口頭やハドルで決まったことは、その場で3行だけチャットに残します。議事録を書くのではありません。3行です。

【いま話した件のメモ】
- 決定:ログ保持期間は90日にする
- 理由:監査要件が90日のため
- 宿題:私→設定変更のPR(明日中)/〇〇さん→顧客へ共有

これを打つのに1分かかりません。ですがこの1分が、1週間後の「あれ90日でしたっけ?180日でしたっけ?」という往復と、その確認のための関係者巻き込みをすべて消します。

しかも「決定・理由・宿題」を分けて書くクセがつくと、打ち合わせ中に「で、結局何が決まって誰が何をするんでしたっけ」を自然に確認するようになるので、会議そのものの質も上がります。

5. 同じ質問を2回受けたら、答えではなくリンクを作る

誰かに何かを2回聞かれたら、それは「3回目が来る」というシグナルです。2回目に答えるとき、チャットに直接答えを書くのではなく、Wikiやドキュメントに書いてからリンクを送るようにします。

ここにまとめました!
(同じ質問が来そうなのでページ化しておきました)
→ [社内Wikiのリンク]

未来の往復を先回りして潰す動きです。これを続けると、

  1. 自分への割り込みが減る(未来の自分の時間を守る)
  2. 「あの人のWikiを見ればわかる」という状態になり、チーム内での信頼が積み上がる

という二重の利益があります。ドキュメントは、未来の往復の前払いです。

6. 障害・トラブル報告は「第一報15分ルール」

トラブル時、真面目な人ほど「原因を特定してから報告しよう」と抱え込みます。これが最悪の往復(上司からの「あれどうなってる?」割り込み)を生みます。

原因がわからなくても、発覚から15分以内に第一報を入れます。テンプレはこれです。

【第一報】〇〇でエラーが発生しています

- 事象:△△画面で500エラー(10:32頃から)
- 影響:□□機能が利用不可。顧客影響は確認中
- 対応:ログ調査中。次報は 11:00 までに入れます
- 依頼:現時点でエスカレーション要否の判断をお願いします

重要なのは最終行の「次報の時刻を自分で宣言する」ことです。これがあるだけで、上司は11:00まで安心して待てます。宣言がないと、上司は不安になって10分おきに聞きに来ます。

報告とは、相手の不安を管理する技術です。原因究明より先に、まず相手の不安を止血する。

7. 1日の最後に「明日の最初の30分」だけ決めておく

最後は自分自身との往復を減らすハックです。

朝一番の「えーと、今日何からやるんだっけ」という助走に、人は平気で30分溶かします。前日の終業前に、付箋1枚分だけ書いて帰ります。

明日の最初の一手:
・PR #123 のレビュー指摘に返信するところから
・その次:バッチ処理の設計メモの続き(△△の分岐から)

コツは「タスク名」ではなく「再開地点」を書くことです。「設計メモ」ではなく「設計メモの△△の分岐から」。脳のキャッシュを付箋に退避させておくイメージです。翌朝はそれを読み込むだけで、即トップスピードに入れます。

まとめ:速さの正体は「相手が動きやすい球を投げること」

7つ並べましたが、根っこは全部同じです。

# ハック 減らせる往復
1 選択肢+推しを添えて質問 質問の再往復
2 依頼は3点セットで確認 成果物のやり直し
3 6割たたき台で方向確認 大規模な手戻り
4 決定事項を3行メモ 言った言わない
5 2回聞かれたらWiki化 未来の割り込み
6 第一報15分+次報宣言 「どうなってる?」
7 明日の再開地点を書いて帰る 自分の助走時間

作業を速くするのは才能や経験が要りますが、往復を減らすのは今日から誰でもできます。 そして周囲からは、なぜか「あの人は仕事が速い」と見えます。私はこれで随分得をしてきました。

「自分はこれで往復を減らしてる」という技があれば、ぜひコメントで教えてください。この記事自体を、みんなの往復削減Wikiにできたら嬉しいです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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