はじめに
5/18-5/19の東京渋谷で行われた2日間Management 3.0ワークショップをふりかえって、セミナーもまた 1.0/2.0/3.0と層別でき、その中で課題を整理できそうなことと、3.0なセミナーにするにはどうしたらよいか一定の考えに至ったので、述べてみる。
なお、以下は、あくまでも筆者個人の頭の整理をかねて書いたものである。当然、公式の見解とはまったく異なる可能性があることを予めご承知おきたい。
セミナー3.0とは、1.0/2.0/3.0の違い
セミナー3.0は Management3.0をもじって仮称したものである。定義のため Management3.0の背景と、Management1.0/2.0/3.0の違いを自分なりに整理してみたと同様、表にして整理してみる。横軸順に、セミナー終了時の状態、そのための構造、各々の役割 といった順にならべてみた。
セミナーの持ち帰り結果 | Memberの幸福 | Management構造 | セミナー主催者の役割 | Memberの役割 | |
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セミナー1.0 | ひたすらteachingで済む話なら多くのInputをいれればよい。 | Don't care.どうでもよい | 階層構造 | 権威主義前提(=Memberは生徒。先生は生徒より偉い)、MemberをManageする(ここ、Testにでます) | 言われたことを言われたとおりに |
セミナー2.0 | 変化が多く創造的な業務でも高いperformaceを発揮することをめざす。気づいたことをヒントに応用する。 | セミナー後アンケート調査で検証するなどMemberの満足は大事だが、一方でWorkshop温泉なことも | 状況に応じ最適なものを叫ばれているが、いざとなると実態は階層構造だったりする | Servent Leadershipが叫ばれているが、権威主義ものこっている。Member各々をManageし個々が高い成果を発揮すればよいと考える | あるときは言われたとおりに、あるときには自己組織化・Self Management |
セミナー3.0 | 変化が多く創造的な業務でも高いperformaceを発揮することをめざす。気づいたことをヒントに応用する。 | Memberが明日の仕事に対しても幸せになれるように目指す(その日限りのWorkshop温泉にしない) | 状況に応じて最適なものに | 持ち帰り結果の最大化とMemberの幸福をあげるためにSystem(仕掛け)をつくってManageする、これが唯一の役割。 | 自己組織化・Self Management |
セミナーの持ち帰り結果(即実践にうつれる)と 参加Memberの幸福 が目的、そのための構造・各々の役割が手段となる。すなわち、セミナー3.0とは、 セミナーを受けたMember(参加者)を幸せにし、セミナーでうけた結果を明日への実践にうつれるために、SystemをつくってManageすることにある。 | |||||
では、Management3.0ワークショップでは、どのように、セミナー3.0になるように Systemをつくって Manageしているのだろうか? | |||||
以下、みてみよう。 |
Management3.0ワークショップの進行
まず、Entory SurveyによりMemberの階層・スキルレベルを確認する。Personal mapなどを活用し、Ice breakなど場の構築をおこなう。
つぎに、Management1.0,2.0,3.0の歴史・説明をおこない、Managementそのものが複雑系であること、複雑系とはなにかを学習する。複雑系を制御するうえで、Management3.0で重要な6つのポイントを説明する。
Memberは予め用意してきた自らの組織の課題を付箋の形にまとめ上記6つの観点に整理し、自らの課題にむきあうようにしむける。
その上で以下の構成で、各章立て(セミナーではModuleといっている)を勉強していく。
- Motivation and Engagement
- Delegation and Empowerment
- Values and Culture
- Learning and Competencie
- Scaling Organizational Structure
各章は上記6つのポイントのうち「何事も改善」をのぞく各々に対応する。たとえば、Energize Pepole を実現するために、Motivation and Engagementについて勉強するという具合である。
各章では、exerciseをはさみ exerciseを通じて各章の説明と具体的に明日から試せる何かを持ち帰れる。exerciseも一種類ではなく、上記の6つのポイントのうちMemberが関心が特に高いもの・課題意識を高いものにあわせて手厚く対応できる仕掛けになっている。その際、Entory Surveyにより 予め事前に確認した Memberの階層・スキルレベルを考慮することももちろん可能である。
最後に、Celebration Grid によりこのセミナーが狙い通りの結果になったかの確認と、Happiness Doorにより Memberが今どのように感じているかを確認・検証することができる。
Management3.0ワークショップの構成
以上の進行を、いわゆるV字の形であらわしてみよう。
こうやってあらためてみると Management3.0ワークショップの進行自体が System構成になっており、セミナーというSystem を Manageする仕掛けになっている。
まず Entory Surveyでどんな人がきているか見える化し、6つのポイントで課題を focus、Memberにも深くむきあってもらうように促す。再びセミナーの最後のほうで6つのポイントでふりかえり、明日から即実践できることを定着させることができる。
Entory Surveyの結果によっては、初めてのMember層と応対することもあるので、Celebration Gridでは初めての経験について「賢く失敗すべく」検証することができる。セミナー運営の仕方もここで Memberから適切なフィードバックがうけることができる。
最後に、Happiness Doorにより、Memberがまさしく幸せな状態で明日からの実践にうつれるように促せる。
従来のセミナーでは、セミナー後でもなかなか明らかにできなかった「バグ」を、こうやってシステム化することで可視化、できるだけセミナー時間の中で対策し改善することができるのである。
おわりに
以上、セミナー3.0の概念と Management3.0ワークショップの Systemについてのべてきた。
このSystemは、他のセミナーでも応用可能で、特に Entory Survey と Celebration Grid をうまく活用できれば、従来、セミナー担当者の出来・不出来といった評価に終始しがちなセミナー運営にたいし、「Systemを Manageする」という視点で一石を投じることができるかもしれない。
また、上記V字の図をみたソフトウェアエンジニアの方なら、アジャイル手法による運用を想起することだろう。たとえば、6つのポイントをストーリーに見立ててスパイラルにまわすといった運営方法である。その際、6つのポイントに分類し課題を明確化・検証する手法にもう一工夫必要になってくると思われる。
いずれにしても、Management3.0は今後の可能性を感じさせる魅力的な考え方だとおもわれる。