東京ゲームショウ(TGS)2023のVR会場を見てきました。
そこでメタバースのコンテンツを考える時に参考になりそうな体験があったので、忘れないうちに書いておこうと思います。
目次
1.何処のプラットフォームの会場なのか?
2.対応機器ごとのUIの違い
3.メタバース空間内のコンテンツ配置
4.最後に
何処のプラットフォームの会場なのか?
詳しい人はすでにご存じの事と思いますが、メタバースと一言で言っても プラットフォーム 毎に独立しています。
なので『メタバース上で公開』という類の記事があった時は 『何処のメタバースプラットフォームの話なのか』 という部分が重要になります。
今回は 『xambr』 というプラットフォームの話です。
このプラットフォームは、以前はambrという会社が手掛けていたメタバース基盤システムでしたが、そこに電通グループが関わってバージョンアップをしたものになる様です。
これは2023.09.20の日付で電通グループのサイトでも発表されているので気になる方はそちらも参照してみてください。
対応機器ごとのUIの違い
マルチプラットフォームなので、スマートフォンでも、PCでもメタバース内に入れます。
とはいえ、利用する機器によって違う部分もあります。
結論から書くと、臨場感ならVR機器を用いた方が良いのですが 情報を得るために見て回るだけならスマートフォンでも用は満たせる と思いました。自宅からぱっと見に行けるのが良いですね。
ただし3Dゲームに支障がない性能のスマートフォンでもけっこう発熱したため、 マシンパワーがそれなりに要求される様子です。
そして マルチプラットフォームとして興味深いのがUIの差 でした。
考えると当然ではあるのですが、 対応機器毎に入力インターフェースをデザインして実装する必要がある ことを改めて思わされて、面白かったです。
通常のVR機器を用いたメタバースはだいたいこんな感じです。
UIも操作感もVRChatに寄せられていると感じました。
では スマートフォン はどうかというと……。
スマートフォンのゲームに親しんでいる人はピンとくるUI です。
画面の左側に指を置いてスライドすると移動のキーが出てきて移動が出来て、右側でスライドすると視点移動が可能になるゲームでよくあるUIです。
では PC はどうかというと……。
PCのゲームに親しんでいる人はピンとくるUI です。
キーボードの「W」で前進、「S」で後退。「A」と「D」で左右移動です。マウスを動かすとカーソルが出て来るので選択の類はクリックで行います。視点の移動はマウスor矢印キーでした。
メタバース空間内のコンテンツ配置
スマートフォン、PC、VR機器の三種類で歩き回ってそれぞれ感じ方の違いを比較しました。
その結果、違う機器で同じ体験を得る事は非常に困難だと感じました。
1.コンテンツの密度について
特に画面の小さいスマートフォンとVR機器で比較するとはっきり感じたのですが、小さな画面だと所狭しとコンテンツがある方がワクワクします。 ですがその状態は視界が広い画面ではゴチャゴチャした印象が強くなり、特にVR機器だと酔います。
感覚はほぼ乗り物酔いです。移動しながら近くのモノを見ていると、車の中で本を読む時の様な感覚になって酔ってきます。
恐らく、視界と三半規管とで加速度や振動にズレがあるためでしょう。
また、PCだと画面が広く俯瞰した観察ができる ので上方に広告があっても気づき易いのですが、PC以外の機器だと当てはまりません。
スマートフォンだと画面が小さく、VR機器だと実際の観光の様にあまり上を見上げない ので上方の空間の情報は見逃し易くなります。
最適な密度や広さが機器ごとに違うため、同じ体験ができないことはマルチプラットフォームのメタバースのコンテンツを考える時の課題だと感じました。
2.メタバース空間内の導線の問題
導線や配置自体は移動しながら見て回るのに非常に最適だったと思います。視界に常に次のコンテンツが遠目に見えて、常にワクワクしました。
現実のアミューズメントやイベント会場を彷彿とさせる、視界を広く取れる曲線の導線だったと思います。
しかし、曲線の経路の多さはメタバース空間だと厳しいと感じました。
PC、スマートフォン、VR機器ともに曲線での移動が困難でほぼ直線移動になるため、円に沿った導線はストレスがどうしても高くなります。
特にVR機器だと曲線の移動はすごく酔います。
曲線での移動が困難な事から操作の習熟度によって体験に差が出来てしまう事 もマルチプラットフォームのメタバースの課題だと感じました。
3.VR機器でしか味わえないものがある
とても単純な、臨場感による差です。
メタバース内は消防法や建築基準法を気にすることなく大胆な空間を構築できます。
ですがこれらは、スマートフォンやPCといった画面越しだと迫力がいまいちになってしまいます。
ゲーム内のキャラクターがゲームの中の姿のまま現れるのも魅力です。ですが、PCやスマートフォンだとどうしても『画面の向こう』の存在のままです。
VR機器の利用と入手の敷居がこれからも下がっていく事を願っています。
最後に
こんにちは、休日にこんなことをやっているLAMP(Linux+Apache+MySQL+PHP)エンジニアです。
今年はVR機器を購入してメタバースのコンテンツにも触れられるようになったため、VRに慣れる前の今だから感じられることを書いてみました。
近年はメタバース空間で開催されるイベントも増えつつあり、2023年はガンダムメタバースプロジェクトも発表されて、少しずつながら確実にVRが広がってきているのを感じています。
やがてメタバース内で利用できるWEBサービスも増えて、何かしらの形でメタバースのコンテンツの仕事に関わる機会も出て来るかもしれません。
さて、この東京ゲームショウ(TGS)は実は2021年からメタバース上の会場を設けていました。
マルチプラットフォームなので見ようと思えばスマートフォンやPCでも見られたのですが、なかなか時間が取れず……私は2023年でようやく体験できたという次第です。
イベントの記念品としてクエストをこなすとアバターがもらえる(他でも使えるかは不明)のは良いですね。デジタルなので嵩張りませんし。
最後に、ここまでお読み頂きありがとうございました。