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組織運営に生物統計学を使おう!

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組織運営に生物統計学を使おう!

こんにちは、YUVR の heron です。YUVRでは電游会で大学間交流の企画など、unity PJ ではゲーム開発をしています!

突然ですが、サークルなどの組織改革をしたときに、どのように効果を判定していますか?

  • 肌感覚?
  • とりあえずアンケート?
  • そもそも効果判定していない?(YUVRで効果判定しなかったら許さん)

この記事では、生物統計学を使って客観的に組織改革の効果判定を行う方法を余談まじりで解説します。
ただし本記事はあくまで「軽めの実務的入門」なので、厳密な統計学を学びたい方は成書を読むことをおすすめします。


統計を取る前に:設計(PICO/PECO)を決める

医学論文や疫学研究では PICO/PECO というフレームワークを使います。これをパクるのを勧めます。

  • P (Population):比較する集団
  • I/E (Intervention / Exposure):介入・曝露
  • C (Comparison):比較群
  • O (Outcomes):アウトカム

例として、サークルに入部した学生の離脱率を知りたいとしたら、PICO は以下のようになります。

  • P:20XX 年度新入部員
  • I/E:参加したプロジェクト*
  • C:プロジェクト間の「離脱までの期間」
  • O:横のつながりが強いプロジェクトの方が離脱率が低いのでは?

*山形大学VR部ではプロジェクト制といい、活動内容ごとにプロジェクトを分けています

もっと詳しく知りたい方向けに:Morgan RL, Whaley P, Thayer KA, Schünemann HJ. Identifying the PECO: A framework for formulating good questions to explore the association of environmental and other exposures with health outcomes. Environ Int. 2018;121(Pt 1):1027-1031. doi:10.1016/j.envint.2018.07.015


フレームワークができたら:研究デザインを決める

組織内データの解析でも、医学や疫学と同じ「研究デザイン」の考え方が役に立ちます。解析したい対象に合わせてデザインを選んでください。

  • Randomized Controlled Trial(RCT)

    介入の因果関係を調べる理想的な方法だが、実務ではまず難しいだろう。大体RCTができないこともあるので*

  • コホート研究(前向き / 後ろ向き)

    ある特徴(例:どのプロジェクトに所属したか)でグループに分け、その後の離脱の発生率や離脱までの期間を追跡する方法

    今回のようなケース(参加プロジェクトを基準に離脱を比較)はコホート研究に該当します。

  • Case-control(症例対照)研究

    まず結果(例:離脱した人)を集め、その人たちがどのプロジェクトにいたか(過去の曝露)を遡って調べる研究。希少なイベント向き

  • 横断研究(Cross-sectional)

    ある時点での状態を調べる方法

*医学雑誌の中ではトップクラスで権威のあるBritish Medical JournalでRCTしなくても結果が分かりきってることもあるだろ!!っていうツッコミを入れてるペーパーが2003年(~20年前!)のChristmas Editionで出てて、その15年後にRCTも研究計画をいじればいくらでも嘘つけるよね!って返してるペーパーが出てるので、もし暇ならぜひ目を通してもらいたい
「パラシュートが墜落死を防ぐという根拠がない」
Smith GC, Pell JP. Parachute use to prevent death and major trauma related to gravitational challenge: systematic review of randomised controlled trials. BMJ. 2003;327(7429):1459-1461. doi:10.1136/bmj.327.7429.1459
「パラシュートの有無は飛行機から飛び降りた人の死亡や外傷といったアウトカムに影響を与えなかった」
Yeh RW, Valsdottir LR, Yeh MW, et al. Parachute use to prevent death and major trauma when jumping from aircraft: randomized controlled trial. BMJ. 2018;363:k5094. Published 2018 Dec 13. doi:10.1136/bmj.k5094


サンプルサイズと検出力(Power)

現実にはサンプル(人数)が足りないことも多いので、参考値としての解釈になることがあります。

可能であれば事前に 検出力(Power)解析 を行い、

「どの程度の差であれば検出できるのか」を確認しておくと、結果の解釈が楽になります。
pythonならstatsmodelを使うといいです。


データセットの性質の確認

解析の前に、まずデータが正規分布かどうかを確認しましょう。

  • Shapiro–Wilk 検定:小サンプルで特に有効(n<50の時)
  • 大サンプルでは検定が過敏なので、ヒストグラムや Q-Q プロットの併用を推奨(n >50の時)

これを確認してから、使う検定方法を選びます。


比べたい変数に合わせて検定方法を選ぶ

1. 量的(数値)変数

身長、体重、体温など、数値の変化として捉えられる変数のこと。

  • 正規分布 & 2 群比較

    Welch の t 検定(基本これで良い)

    ※分散が等しいことが保証できない実務では Welch が安全

  • 非正規分布

    Mann–Whitney U 検定

    ※中央値を直接比較する検定ではなく、分布全体(順位)を比較する点に注意

2. 質的(カテゴリー)変数

yes/noで分けられるような変数のこと。例えば何らかのイベントに参加した/していないなど

  • 2×2表で期待度数が十分
    χ²検定

  • 期待度数* が少ない

    Fisher の正確検定

*期待度数:データポイントがカテゴリーによって極端に少ないと期待度数が少なくなる、例えば表のセルに1人しか該当しないとかという場合は期待度数が少ない、と考えられます。

3. あるイベントまでの期間(離脱までの日数)

あるイベントは何でもよく、今回の例だと離脱に当たります。

  • Kaplan–Meier 生存曲線
  • 群間比較には log-rank 検定
  • 調整が必要な場合は Cox 比例ハザード回帰が有用

解釈

例えば、分析の結果、

  • 「入部後 2 ヶ月頃から離脱が増える」

などの傾向が見えたら、その前後に何か原因(学業、季節イベント、期末など)がないかを検討できます。

p 値について

p 値はよく誤解されるので、ここで定義を確認します

p 値=「帰無仮説が正しいと仮定したとき、観測したデータ(またはそれより極端なデータ)が得られる確率」

って言われてもわかんねーーーーー

厳密さを窓から放り投げるとつまり
「今回のデータが偶然による結果だった確率」
を示しています。
そう考えると、いかにp=0.05に執着するのが無意味かが見えてくると思います。実質的にはp=0.05とp=0.0499...ではほとんど意味がないのに、慣例的にp=0.05をカットオフ値にしているので後者に意味があって前者に意味がないと取られてしまっています。
最近はp=0.05に拘らず、その意味を考えましょうみたいな雰囲気になっているので、解釈の際には頭の片隅に置いてもらえると嬉しいです。

参考:Patel S, Green A. Death by p-value: the overreliance on p-values in critical care research. Crit Care. 2025;29(1):73. Published 2025 Feb 11. doi:10.1186/s13054-025-05307-9


まとめ

どうだったでしょうか?意外とマニュアル通りにやればそれっぽいグラフが書けるので、簡単じゃないでしょうか?

組織改革はたくさんの人の協力のもとで行うので、その仲間の協力を無駄にしないためにも、効果判定を行ってみるのはどうでしょうか?!

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