Windows 11 HomeでPandocによるMarkdown文書処理環境を構築する
はじめに
この記事では、Windows 11 Home環境で、Markdown文書をPandocで変換できる環境を構築します。特に日本語PDFの生成に焦点を当てています。
前提条件
- OS: Windows 11 Home
- エディタ: Cursor(VSCode互換の生成AI対応エディタ)
- 管理者権限でのインストールが可能なこと
環境構築の選択肢
A. ローカルインストール方式(推奨)
- Windows環境に直接インストール
- セットアップが容易
- リソース消費が少ない
B. Docker方式
- コンテナ化された環境
- 環境の独立性が高い
- WSL2とDockerDesktopが必要
- リソース消費が大きい
この記事では、より簡単で軽量なローカルインストール方式を採用します。
インストール手順
1. PowerShell 7のインストール
winget install Microsoft.PowerShell
- インストール後、PowerShell 7を起動して確認
pwsh -v
2. Cursorのインストール
- Cursor公式サイトからダウンロード
- インストーラーを実行
- 初回起動時の設定を完了
3. Pandocのインストール
winget install --id JohnMacFarlane.Pandoc
- インストール確認
pandoc -v
4. TeX Live(日本語環境)のインストール
-
TeX Live公式サイトから
install-tl-windows.exe
をダウンロード - インストーラーを実行(約2時間程度必要)
- インストール完了後、システムを再起動
5. Cursorの設定
- 拡張機能のインストール
-
vscode-pandoc
を検索してインストール
-
- Pandocの設定
-
Ctrl+,
で設定を開く - 以下の設定を追加:
-
{
"pandoc.pdfOptString": "--pdf-engine=lualatex -V documentclass=ltjsarticle -V luatexjapresetoption=ms"
}
動作確認
- 新規Markdownファイルを作成
- 以下のサンプルテキストを入力:
# テスト文書
これは日本語のテスト文書です。
-
Ctrl+Shift+P
でコマンドパレットを開く -
Pandoc Render
を選択 - 出力形式としてPDFを選択
トラブルシューティング
- Pandocコマンドが認識されない場合
- Cursorを再起動
- PATHが正しく設定されているか確認
- PDF生成でエラーが出る場合
- TeX Liveのインストール状態を確認
- 日本語フォントの設定を確認
補足:Docker方式への移行
後日Docker環境が必要になった場合は、以下の手順で移行可能です:
- WSL2のインストール
- Docker Desktopのインストール
- pandoc/latex イメージの取得
- vscode-pandocの設定変更
参考情報
- Pandoc公式ドキュメント
- TeX Live公式ドキュメント
- vscode-pandoc拡張機能のドキュメント