主成分分析の軸の解釈を、生成AIにやらせると、専門分野の知識を引っ張ってきて、それなりの解釈ができることが判ってきた。
その中で、以下の疑問が湧いてきた。
1.軸の+/-で、物理的に違う概念を当て嵌めていいのか?
例
軸の+が、「ライフタイムバリュー(LTV)潜在力」
軸の- 「プレミアム消費志向」
確かに、変数名の寄与率から考えると納得できるが、結合すると違和感がある。
この疑問をとくため、解釈の制約化について、生成AIと対話してみる。
仮説1. 概念は「軸(連続量)」であること
主成分は、元の変数の線形結合によって形成される連続的な軸です。したがって、その軸を解釈する概念も、二値的な分類(例:男性/女性)や離散的なカテゴリ(例:A型/B型/O型/AB型)ではなく、「程度の差」を表せる連続量である必要があります。
- 良い例: 活動性(高い~低い)、積極性(強い~弱い)、サイズ(大きい~小さい)、複雑性(高い~低い)
- 避けるべき例: 性別、職業、地域(これらは主成分によって説明される可能性はありますが、主成分そのものがこれらのカテゴリになるわけではありません)
仮説2. 概念は「元の変数」によって裏付けられること
解釈する概念は、その主成分に高い負荷量を持つ元の変数群によって明確に支持されなければなりません。
- 制約: 自分の思い込みや、データにはない外部の知識だけで概念を決めつけないこと。
- 留意点: 負荷量が低い変数や、プラスとマイナスで一貫性のない変数(例:プラスにもマイナスにも中途半端な負荷量を持つ)は、その軸の解釈にはあまり寄与しないと考えるべきです。解釈の根拠は、常に「どの変数が、どの程度の重みで、どちらの方向に寄与しているか」にあります。
仮説3. プラス側とマイナス側は「対極」であること(原則)
主成分は分散を最大化する軸であるため、そのプラス側とマイナス側は、ほとんどの場合、ある概念の「正反対」または「程度の対極」を表します。
- 制約: プラス側で「A」という概念が強く示唆され、マイナス側で「B」という概念が強く示唆される場合、「A」と「B」は互いに相反するか、あるいは連続するスケールの両端であるべきです。
- 留意点: 「積極性」の軸であれば、プラスが「積極的」、マイナスが「消極的」となります。「攻撃的」と「温和」のように、概念が完全に独立してしまわず、何らかの対義性があるかを検討します。ただし、前述の通り、極端なケースでは「ある/なし」の二項対立に近い解釈になることもあります。
仮説4. 概念は「単純」かつ「説明的」であること(弱制約かな?)
解釈に用いる概念は、その主成分が何を意味するのかを簡潔に、しかし的確に表現できるものであるべきです。
- 制約: 複雑すぎる、曖昧すぎる、あるいは複数の意味合いを含む概念は避ける。専門用語の乱用も、第三者への説明には不向きです。
- 留意点: 「第1主成分」や「PC1」といった名称ではなく、「活動性」「協調性」「経済状況」のように、具体的な意味合いを持つラベルを付けることが推奨されます。
仮説5. 概念は「独立」していること(異なる主成分間)
複数の主成分を抽出した場合、それぞれの主成分に与える概念は、互いに重複せず、独立した意味合いを持つことが理想です。
- 制約: 例えば、PC1を「活動性」と解釈した後に、PC2も「動きの多さ」のような非常に似た概念で解釈してしまうと、分析の有用性が損なわれます。
- 留意点: 主成分は互いに直交(無相関)するように算出されるため、それぞれの軸が異なる側面の情報を捉えているはずです。解釈もそれに沿って、それぞれの軸が独自の意味を持つように努めます。
仮説6. ドメイン知識との整合性(強すぎるか?)
最も重要な制約の一つは、統計的な結果が対象分野の専門知識(ドメイン知識)と矛盾しないことです。
- 制約: 数値上は最も妥当に見えても、その分野の専門家から見て「ありえない」「理解できない」ような概念は、解釈として不適切である可能性が高いです。
- 留意点: 分析者は、統計モデルの理解だけでなく、分析対象のデータがどのような現実世界を表しているのかを深く理解し、専門家と連携しながら解釈を進める必要があります。
これらの制約や留意点を意識することで、主成分分析の軸の解釈がより堅固で、意味のあるものになるでしょう。軸の解釈は、主成分分析の最も創造的であり、かつ難しい部分でもあります。
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軸の+と-の解釈の概念が合わない場合の対処法の提案(まだ、実証できていない)
『-側の一番遠い変数』を除いて、再度、主成分分析してみる。
まだ、解釈の概念が合わない場合は、2回目の主成分分析で、『-側の一番遠い変数』を除く。
解釈の概念が一致した場合は、もう一度、変数をもどす。どの変数を戻すと、概念の線上にあるか?は、やってみないと判らない。