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(レポート)Scrum Fest Osaka 2021 keynote『誰も嫌な思いをしない変化』

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Scrum Fest Osaka 2021 Day 1

2021/06/25に開催されたScrum Fest Osaka 2021 Day 1のイベントレポートです。
しーばさん(@bufferings)さんのキーノート誰も嫌な思いをしない変化の内容を・感想を記事化しています。

チーム参加してきました

aslead Agile のチーム「オキザリス」にて参加してきました。
チーム4人で参加して、その場で実況しつつ、記事も作っています。
この記事では、お話をきいたうえで筆者が感じたことをまとめていきたいと思います。

誰も嫌な思いをしない変化

スクラムやってる?

これまではチームで完結できずちゃんとしたスクラムをやってきたことがなかった。

スクラムをしてる、と言える基準は?

前に進む選択をし続けているのであれば「スクラムをやっている」といっていいのではないか?

発表者

椎葉 光行さん
エンジニア・テックリード→内側から改善のサポート
組織開発や育成なども

前に進むための選択

去年の7月からサポートしているチーム

マネージャーから言われたこと。
「エンジニアのスキルアップのため力を貸してほしい」
「自分たちで改善していこうとしているが、うまくいっていない。サポートしてほしい。」

声掛けをきっかけに観察を開始した。

  • 開発者個人個人にタスクを割り当て
  • テックリードとエンジニアがレビュー
  • 遅れちゃうので残業でカバーしたりも

私は、マネージャーに「いいチームですね」と伝えた。

マネージャー含め、チームが全力で前に進めようとしていた。
ただ、今はうまく噛み合っていないだけ。
仕組みさえ整えればいいんだ。

全員が「なにをすればいいか?」考えて自走している
スキルアップの仕組みが開発プロセスに組み込まれている

今はどうなったか?

  • 自分たちで何をするか考えている
  • どう開発するかはエンジニアに任せる
  • 2名のスクラムマスター体制

朝にデイリースクラム、「今日なにする?」をみんなで計画
ペアでやったり、難しいので全員でモブしたり。

先に全員で認識を合わせているので、少し確認する程度。
マネージャーはコードレビュー不要に。

前に進むための選択

ある日突然変わったわけではない。少しずつの変化の積み重ねた結果。
悩みながらも選択を繰り返して前進してきた

サービスを良くしていきたいという共通の元、選択をし続けている。
そもそもちゃんとスクラムにはなっていないけれど、「これはスクラムだ」と思いながら見ている。

『誰も嫌な思いをしない変化』を目指して

彼らをサポートするにあたって、今までとは違うミッションがあった。
それが「誰も嫌な思いをしないこと」。
これまでは、変えていくときに誰かに嫌な思いをさせていたと思う。
でも、それって違うんじゃないかな?というのを1年間考えながら実践してきた。

みんなからのコメントをたくさんもらった

みんなからたくさんのコメントを貰ったし、満足度アンケートでも満足度がかなり上がった。

スクラムって難しい

スクラムはシンプルだけど難しくて、小学生のほうがうまくできるかもしれない。

変化が求められるからスクラムをやっているけれど、変化って難しい。
スクラムをやれば問題を解決してくれるのではなく、問題をテーブルに載せて見える化してくれるだけ。

現状は「これまでのやりかた」に最適化されている。
前に向き合うということは、「これまでのやりかた」にも向き合わなければならない。

現状を変えるためにできることを考えると、自分には「目の前の誰か一人の行動を変えること」ができる。
でも、そううまくはいかない。
一歩進んで、振出しに戻って。
マネージャーには「スクラムやらなくていい」と言われたり、チームを抜けたらもとの状態に戻ったり。

「なんでわかってくれないんだろう」
「自分のやっていることはムダなんじゃないか?」

そう思っていた。

でも、今は違う。

**「そっかー」「それは面白いな」**と思えるようになった。

変わったこと

相手に期待をしなくなった。
そして、相手の気持ちを考えなくなった。

言葉にすると「人としてどうなの?」と思うけど、この二つが自分の中で大きな軸になっている。

何年か前に、娘がかけざんを聞いたとき、「小学3年生なら掛け算知っててほしい」と思って言おうとしてしまったけれど、そこをグッとこらえて、「掛け算九九で勝負してみる?」を通してできるようになった。
途中で自分が期待していたことができないとイラッとしてしまう。当初の「教えたい」という気持ちがどこかに行ってしまう。

同じようなことが仕事の中でも起きてくる。
期待は次のことにつながる。

  • 残念な気持ちになる
  • 相手に問題があると考えてしまう

「うまく行かなかったのはその人のせい」って考えても前進はできないことに気づいた。
その代わりに、「今どこまでできるのか?」を見るようになった。

相手の気持ちを考えなくなった

  1. 相手の気持ちを想像しなくなった

もともとは相手にどう思われているかを気にしていた。
相手の気持ちを想像するのも前に進まない要因になる。
なぜなら「相手にどう思われるか?」が先行するから。
海外の人と仕事をする中で気づいた。
相手の言葉や行動を見るのが大事だと気づいた。

  1. 相手の気持ちに向き合わなくなった

向き合うには、答えをもってたり導かないといけない意識につながる。
これでは自分がしっかり答えられるか、に意識がいってしまう。
相手が前に進むことをサポートしたいが、自分がうまくできるかに目が行ってしまう。
一緒に悩むのが大事

誰かを変える

自分の行動→相手→相手の行動
相手の行動を変える際に、相手を変えるのではなく、
自分の行動を変えることで相手を変えていく(相手の行動が変わらなかったら、自分の行動を見直す)

もともとその人が持っている力を引き出すこと

誰も嫌な思いをしない変化のために

観察、考察、選択のループを回す。

観察

事実を見ること

海外の同僚が怒っているので、「なんで怒っているの?」と聞いた
「怒っていないよ」という回答だった。単純に知りたいことを聞いているだけだった。
相手の言葉をそのまま受け止めて、分からないことは行間を読まずに、相手に確認すること。そうして事実を見る。

できていることを見る

できていることをみることで、「じゃあ何をしていこうか」を隣で一緒に考えていける。

現状を観察したら、次は考察する。

考察

流れを見る

変化を起こすときは、「一歩行きましょう」や「背中を押す」のでは、元の流れに押し戻されて、戻ってしまう。
流れに従って前に進むのはとても頑張らないといけない。
でも、僕は、できるだけ楽をしたい。
だから、流れを見る。

例えば、娘に「宿題をしなさい」といってもやらない。
「めんどくさがってたらダメでしょ」と否定するでもない。

一緒にやろう、って言ったり、プログラミングを横で始めたりすると、「めんどくさい」という流れがなくなってきて、宿題をやってくれるようになる。

ここから分かるのは「頭の流れ」と「心の流れ」が違うということ。
頭の中では「やらなきゃいけない」というのはわかっているけれど、心には直結しない。
大人なら頭に従うことはできるけれど、心を無にしているだけ。

流れを見て、みんなが行きたい方向に自然といけるようにしていきたい。

視野を広げる

ただ、流れを見ていても分からないことがある。
そんなときには、自分には見えていない流れがあるということ。

プロダクトの流れ、業界の流れ。
こうした外側の流れの影響を受けている可能性もある。

僕らが見えていない、他の流れを見るために、視野を広げる。

選択

前に進む?

次は選択していくけど、そこも難しい。
「ほんとうに前に進んでいくのか?」
「過去の自分の選択が間違ってなかった」
「相手を論破したい・指摘したい」
「嫌いな人の思っているようにはなりたくない」
そんな嫌な思いが自分にもある。

これらが選択の時に自分の中に入り込んできて、選択がうまくいかない。

会話の中でかっとなっているときは、そういうものが出てきやすい。そんなときは甘いものを食べて一呼吸置く。
ネガティブな選択をするときは一晩寝たりする。

「ほんとうにその選択をするの?」という問いを自分に立てて、yesのときだけ選択するようにしている。

観察・考察・選択

事実を観察して、流れを観察して、流れを変えるようにして、自分の行動を選択する。

自分の行動の結果、想定とは違った場合、自分の見えていない流れがあるはずだ、とか、流れを観察しに行くようにしている。
よろー

意識していることはわかった。ならどう実践していく?

改善のための流れ

始まりは「スキルアップのために力を貸してほしい」ということだった。
だが、それが忙しくてできていない。
マネージャーの細かい進捗管理とかがうまくいってなくて、忙しくなっていた。

そこが根本的な問題なので、今のやり方を変える必要があるな、と感じた。

ただ、このやり方を変えると、残りの半年の計画を変えないといけない
なので、選択してもらった。

  1. 今のまま、薄く長く少しずつ伸ばしていく。
  2. 成長の為に計画を見直す。

事業部に説明したら、怒られたりもしたが、理解してもらえた。

サポートに入って一か月ぐらいだったけど、これが山場だった。

勇気ある決断によって流れが作れた。
エンジニアにも、ペアプロとかモブプロやったり。他にも変化が生まれた。

できていることを見る

今まではみんな、疲れてて、自信がなくなっていた。

1on1 をして、メンバーのできることを見つめ直す場を作って、
出来ていること/感謝している点を話す。

そのうえで次のステップどうしようかを話す。
足りない部分を見るのではなくて、次のステップどうしようかを見ていく。

苦手なことは苦手でいい。チームとして補い合えていればいい。
苦手なタスク管理は得意な人に任せたり。

# 誰も一人にしない仕組み

POやSMはチームに一人の場合が多く、相談できないことが多い。
頑張れば相談できるけど、頑張らなくてもできるようにしたい。
POもSMも二人にした。
二人で何でも相談できるし、一人が忙しければもうひとりが拾える。
一人が休みであれば、もうひとりが回す。

よくSMは「自分がいなくても大丈夫する」と言われたりするが、このチームでは二人のSMが中心になって、チームというプロダクトをどんどん良くしている。

いいチームですね

謙虚さ、敬意、信頼があり、マネージャーがサービスを良くしたい思いを持っていた。
僕は、彼らがどうやって最大限動けるかサポートした。
彼らは、仕組みを改善する仕組みをすでに取り入れているので、どんどん改善しながら前進している。

QAチームやデザイナーチームとうまく協力しながら早く動けるようになっていっている。

今月でチームのサポートを離れるが、きっと今後もどんどん良くなっていってくれると信じている。

そして、もうひとり嫌な思いをしてほしくない人

それは自分

残念な気持ちが自分の中に出てくることがあるが、表に出ないように仕組み化している。
自分の気持を変えるのではなく、仕組みをつくって、自分からでる行動を変える。
チョコを食べるとか。相手が娘だったらどう伝えるか?を考えてみたり。

中の実装がぐちゃぐちゃでも、外から見て「いい人」ならいいのではないだろうか

前に進むための選択

何かを変えたいときは、相手を変えるのではなく、自分の行動や流れを変える。
それにより、自然と相手が持っていることを引き出す。
そうすると誰も嫌な思いをせず変化をしていける。

変化はつながっている。ある日突然新しいことができるようになるわけではない。

変わりたいのに変われない、なにから変えればいいかわからない。と感じている人
一歩踏み出してくれたら嬉しい。

前進しょうとしているのであれば、それはきっとスクラム

どうしてスクラムって呼びたいの?

コミュニティへの恩送り。

10年前にスクラムを知って、踏み出すことができたフレームワーク。
コミュニティに支えなられながら頑張ってこれた。
先輩たちから受け取ったものを次の人達に贈りたい。

「10年間ずっとうまくスクラムをできていない人もいるよ」。
自分はこれもずっとスクラムと呼んでいきたい。

感想

  • しーばさんの優しさが溢れるセッションでした。「頭では分かっている、けど心で動けていない」ということも自分にとってあるんだな、んだなって再認識できました。無理せず、少しずつ、自分だけではなくみんなが楽しいほうへ。そんな動き方が自分の中でもできると、素敵な組織がきっと出来上がっていくだろうな、と思います。(森)
  • ところどころ自分の日々の行動をふりかえる部分がありました。すごい刺さる内容でした。まずは自分の行動を変えるところからだ、と勇気をもらえる内容でした。(島田)
  • 誰もいやな思いをしない、自己満足に陥らない、すごく重要!今あるものをみて、そこに一つつけ足していく。人と仕事をしていく中でいろいろと大切なマインドにあふれた発表でした
  • 「相手の行動を変える際、相手を変えるのではなく、自分の行動を変えることで相手を変えていく」という部分が自分の中になかったので、講演を聞いて「はっ」としました。今までの自分になかった視点で物事を見る重要性を再認識することができました。(中川)
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