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ふりかえりワークショップに関する質問と回答

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はじめに

はじめまして。こんにちは。森です。
チームファシリテーターとして色んなところでふりかえりやチームビルディングについて、アドバイザーや研修・ワークショップを実施させていただいております。

活動の一環として、社内外でふりかえりワークショップ(KPTまたはYWTによる紙飛行機ワークショップ)を実施させていただいています。
 ※公開中の資料は ふりかえりワークショップ~チームのカイゼンのはじめかた~ をご参照ください。

ワークショップ実施後のアンケートなどで、質問いただいた内容について、誰かの役に立つものもあるかと思いますので、こちらに記載・共有していきたいと思います。
皆様からのお悩みも、ぜひお聞かせください。

ふりかえりの導入に関する悩み

Q. ふりかえりによる改善のサイクルは理解できますが、(周りの)考え方を変えるのがなかなか難しいです。

ふりかえりを組織に広めるためのTIPSが参考になります。
「ふりかえり」と言わずに小さなカイゼンから初めたり、ふりかえりの目的をしっかりと伝えてやってみる、ことから始めるとよいと思います。

Q. 静かな人にも(ワーク内で)活躍してもらう方法はありますか。

  • ①場を作る
  • ②付箋をうまく使う
  • ③自分で考える時間を作る
  • ④ラウンドロビンで共有する

の3点です。
①アイスブレイクで簡単な質問をして、必ず1回以上発言して場に参加する意識を持たせます。全員が最初に発言しあう、というのがポイントで、チームのなかで話がしづらいという心理状態を打開するきっかけになります。
②③により、個人ワークで付箋に自分の意見を出す時間を設けます。「静かな人=意見がない」わけではなく、考えが発散してアウトプットに時間がかかったり、頭の中でまとまってから発言するタイプの人もいます。いきなり口頭での共有を始めるとそのような人は意見が言えなくなってしまいますので、付箋に書いてから共有することで、必ず意見を場に出すことができるようになります。付箋にアウトプットする行為に慣れてくると、意見を出すスピードも徐々に上がっていきます。
④意見を共有するときにラウンドロビンで共有を行います。
image.png
これにより、意見が強い人や年次などに引きずられず、意見を出すことができるようになります。

Q. カイゼンの第一歩である「立ち止まる」ですが、(本番運用による)日次業務が非常に多く、業務プロセスが止められません。定常作業をしながら、改善するしかないのですが、すぐ改善できない場合、何かいい対応方法はないでしょうか。

朝8:00~17:30までずっと本番ターミナルに貼り付き、であれば難しいかもしれません。
ただ、毎朝の朝礼や、定時報告があるのであれば、そのタイミングでもふりかえりは行えます。
また、運用の業務の中で起こったKeep, Problemなどを気がついた都度にメモして、上記のようなタイミングで共有をすることで、徐々にプロセス自体は改善されていくはずです。
抜本的なプロセスの改善を行う場合は、VSM(Value Stream Map)のような手法を用いるとよいでしょう。
ただし、VSMを行う場合は一定の時間立ち止まる必要がありますので、その間は業務の調整が必須となります。

ふりかえりの内容についての悩み

Q. 一年間に何回ものふりかえりを実施すると、同じ形式で、類似な内容を長くやるほど、参加者は内容に飽きる可能性があります。価値のあるアイディアが出てこない可能性も高まります。その場合は、何か良い解決方法があるのでしょうか。

ふりかえりのマンネリ化への対処はEffective Retrospective とにかく楽しいふりかえり (p.65~p.83)をご参照ください。
毎回場作りのアクティビティを変えたり、ふりかえりの観点や質問を変えることによって、さまざまな点からのカイゼンが行えるようになります。

ふりかえりのファシリテートについての悩み

Q. プロジェクトのふりかえりならメンバーは遠慮なく意見を述べますが、チームのふりかえりでは気を遣ったりして本当の気持ちを述べてくれません。どのように進めるとよいでしょうか。

気を遣ったり、批判を恐れたりして、意見が出てこなくなる、ということでしたら、まずは関係の質を高めることに注力します。
関係の質に関してはEffective Retrospective とにかく楽しいふりかえり (p.38~p.53)をご参照ください。
また、マネージャーがいて評価につながる、といった恐れを抱いているのであれば、評価に影響しないということをマネージャーから全員にコミットしてもらいます。こうした「心理的安全性」を高める取り組みをふりかえりや、普段の業務で続けることによって、意見を引き出しやすい状況をつくりあげます。

Q. チーム内で真逆な意見がでてきた場合どのように対応すればよいでしょうか。

真逆の意見が出る、というのはむしろいい状況です。
真逆の意見のそれぞれのよいところを分析し、そのいいところを両方得られるようなアイデアを生み出したり、またはどちらを取るのかを考えたりするとよいでしょう。
真逆の意見が出ることによってチーム内に対立が生じる状況なのであれば、そうした場にならないようにチームでルールを決めておきます。
相手の意見を防御せずに受容する、互いの意見を尊重したうえで、よりよいアイデアを考える、など。

なお、全員から同じ方向の意見ばかりが出る場合は、ファシリテーターはあえて真逆の方向に話を振ってみて、反応を得ることにより、新しいアイデアが生まれることもあります。

Q. 問題点への改善のモチベーションをどうあげていけばよいでしょうか。

問題は必ずしも解決しなければいけないわけではありません。
大きな問題であればあるほど、改善をするためのモチベーションは減衰していきます。
成功を続けるためのカイゼンをしていきながら、自分たちの成功を自覚してモチベーションを上げていくことと並行して、問題を「切り崩す」ためのActionを検討したり、時間を作ってVSM(Value Stream Map)やなぜなぜ分析など、問題の根本を探る手法を行い、チーム全体の課題・やるべきこととしてActionを業務タスクの中に組み込むことも重要です。
大きな問題を達成したときには、全員で乾杯しましょう!

ふりかえりの手法に関する悩み

Q. 「Aの原因はBだと思っていたが、実はCだった。」というようなことについて、誤って原因を判断してしまう場合、検知する方法があるでしょうか。問題解決策も原因によって異なり、効果が出ないことがあります。

なぜなぜ分析(5-Whys)を行って根本原因を探ったり、FMEAという手法によって原因と対策の影響を分析することで、原因の誤認の確率を減らすことはできます。
FMEAは、以下の順で問題を深堀りしていく手法です。

  • Failure: どんな失敗をしたか
  • Analysis: どんな理由で失敗したか
  • Evaluate: 重症度はどれほどか、再発率はどれほどか
  • Action: どう対策するか
  • Valiation: どのような効果が出るか

原因を誤認して対策に効果が出なかった場合は、その対策の効果をふりかえり、どうカイゼンするかを考えていきましょう。
細かな期間のふりかえりによって、早期に効果を検査でき、誤っていた場合の軌道修正が可能になります。

ふりかえりの結果に関する悩み

Q. ふりかえりのActionが成果を出せない場合もあります。その時、どう改善したらいいでしょうか。

成果が出なかった、ということはとてもよい情報です。
ふりかえりのActionは、当たる場合もあれば当たらない場合もあります。
むしろ、すべてのActionがうまくいっているのであれば、実験・チャレンジができていない状況にあるはずです。
当たらない場合は、そこから得られた学びをふりかえり、なぜうまくいかなかったのか、次もっとうまくいかせるためにはどうすればいいかを考えます。
成功・失敗両方を糧にして、カイゼンのサイクルをまわし続けることで、チームの力は向上していきます。

そもそも、ふりかえりでActionが出ない、という場合は、「ふりかえりのふりかえり」を全員で行い、ふりかえりの進め方をカイゼンしていくとよいでしょう。

Q. 改善策ややりたいことを続けていくためにいい方法はないでしょうか。

Actionが実行されない、というのでしたら、ふりかえりの中で合意したActionが具体的なものになっているかどうかをチェックしましょう。
SMARTの考え方にしたがってActionを具体化することで、実現性の高いActionとなり、必ずカイゼンが行われるようになっていきます。

  • Specify:具体的な
  • Measurable:計測可能な
  • Achievable:達成可能な
  • Relevant:関連のある
  • Timely / Time-bound:即効性のある / 期日の決まっている

また、ふりかえりのあとに業務を始める前に、必ずふりかえりのActionを実施してから通常の業務に戻るようにすれば、必ずカイゼンがされた状態で前に進むことができます。

ふりかえりのActionがしばらくすると続かなくなってしまう、というのであれば、ふりかえりのActionを定期的に(1ヶ月に1度など)見直すようにします。見直しの結果、続けるべきものが続けられていないのであれば、チームで「続けるためにどうすればいいか」を考えます。
たとえば、「1か月分のActionを貼り続けて、毎朝の定例で確認する」といったActionによって、以前のActionの陳腐化を防ぐことが可能です。
このやり方はチームによっても異なりますので、チームにとってやりやすい形で検査を続けていきましょう。

おわりに

いかがでしたでしょうか。
現場によってもコンテキストが違うため、上記の回答が一概には正しいとは言えません。
自分の現場はどういう状況か、を照らしあわした上で、いろいろと試してみていただければと思います。

ふりかえりやチームビルディングに関する、アドバイザー・ワークショップ・研修のご依頼はお気軽に @viva_tweet_x までご相談ください。

みなさま、楽しいふりかえりライフを。

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