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技術書典6 書籍を出すまでをふりかえる(執筆編)

Last updated at Posted at 2019-04-16

技術書典6とは

技術書典6 とは、2019/04/14(日)に開催された、日本最大の「技術書」オンリーの即売会です。
いろいろなジャンルの技術書が集まり、1日で1万人近くの動員数があります。

この記事について

この記事は、技術書典6で本を出した人間による、ふりかえり記事です。
今後の自分のためという点が一番大きいですが、これから本を出そうとしてみたいという人にも、何か残せれば幸いです。
ふりかえりの手法は「フラクタル」+「YWT」の形式でふりかえります。
(ふりかえり手法に興味のある方はリンク先にて確認してください。手法を知らなくても読めるようになっています。)

書籍を出すまでに行ったこと

技術書典6で書籍を出すまでに私が行ったことを洗い出します。

何をしたか

お34 プロジェクトマネージャ保護者会 にて、私は新刊1冊を書き上げました。メンバーは3人で、全員で新刊3冊、既刊1冊のラインナップです。

出版までにあたり、いろいろなことがありました。

  • 執筆者の新規巻き込み
  • サークル申込
  • サークル当選
  • デザインの依頼
  • 目次の作成
  • デザインの完成
  • 中身の作成/前半戦
  • ノンデザイナーズデザインブックを読む
  • 中身の作成/後半戦
  • 中身の推敲/前半戦
  • 中身の推敲/後半戦
  • 駆け込みレビュー
  • 入稿

それぞれのイベントについて、ふりかえっていきます。

結果

まずは客観的な結果(事実)から。

出展したもの

※本のタイトルから、電子書籍をお買い求めいただけます。

ふりかえり読本 学び編~経験を力に変えるふりかえり~ 236p 2,000円 著者:森
unnamed (18).png

ふりかえり読本 場作り編~ふりかえるその前に~ 104p 1,000円 著者:森
unnamed (19).png

かきこみ式 ガオ流ワークブック 80p 1,000円 著者:高柳
unnamed (21).png

これからの「新人」の話をしよう。 40p 500円 著者:島崎
unnamed (20).png

発注数&配布数

タイトル 発注部数 配布数
ふりかえり読本 学び編(冊子) 400部 236部
ふりかえり読本 学び編(DLカード) 250部 41部
ふりかえり読本 場作り編(冊子) 200部 141部
ふりかえり読本 場作り編(DLカード) 250部 34部
これからの「新人」の話をしよう。(冊子) 50部 50部
かきこみ式のガオ流ワークブック(冊子) 100部 43部
計(冊子) 750部 470部
計(DLカード) 500部 75部

計545冊が参加者の手に渡ったことになります。
全部買う人は少なく、1冊〜2冊ずつ買っていただいた方が多いため、実質400名程です。
参加者が1万人ですから、25人に1人が、このサークルの本を買っていただけたことになります。ありがとうございます。

売上

ふりかえり読本の売上が私の売上になります。

  • 売上 約70万
  • 印刷代 約30万
  • 道具等準備 約2万
  • 人件費 プライスレス

でざっくり38万円位が粗利です。

ふりかえり(Y)

ここからは、時系列順にふりかえっていきます。
フリーフォーマットですが、YWT(やったこと、わかったこと、つぎやること)に準じて書いています。
ここでは、Y(やったこと)がメインです。

執筆者の新規巻き込み

前回の技術書典5から、親友の @ta1man が「本を書いてみたい」と言っていたため、「you 書いちゃいなよ」とpush。
最初はコピー本でも全然いいから形にしちゃって出そうぜ!と執筆沼に引きずり込みました。しめしめ。
今回、この声掛けが非常にいい結果を生みました。
結果は「後編」に記載します。

サークル申込

前回、技術書典5で「ふりかえり読本 場作り編」を発行したときは、稲山さんのサークル「東葛飾PM&A研究所」に委託させていただきました。
今回は、プロジェクトマネージャ保護者会として活動しているメンバーが2人で、委託を出したいと言っていたメンバー1人の3冊が新刊になります。東葛飾PM&A研究所のラインナップとは全く異なる本になります。そのため、今回初めて「プロジェクトマネージャ保護者会」としての出展を決めました。

そんなわけで、今回は以下の2サークルでの参加です。
「お34 プロジェクトマネージャ保護者会」
「お40 東葛飾PM&A研究所」

そうして、サークル申込が済んでから、サークル参加が確定するまで、目次を頭の中で練ってみたり、関連するふりかえりの手法をスライドにまとめて発表してみたり、Qiitaにまとめておく、Twitterで呟く、といったネタを仕込む作業をしていきます。

サークル当選&ブース決定

実は、このときまだ新刊の構成が完成していません。
このときはまだ学び編200, 場作り編50と言っていますから、結構弱気です。

前回技術書典5で「ふりかえり読本 場作り編」を104ページ書いているのもあり、今回も104ページで出すつもりでした。
前回執筆にかかった時間や、慣れが助けてくれるだろうという予想もあり、執筆期間は1.5ヶ月、20時間くらい、と仮定。
「場所が決まったし本気出すかー」という位の感覚でした。

デザインの依頼

表紙は、サークル申し込みが決まったタイミングで、前回に表紙をお願いしていたデザイナーさん(佐々木亮さん)に依頼。
佐々木さんは仕事上でのつながりで、一緒にアプリのデザインをしてもらっている方です。
普段はwebアプリのUI等をデザインしていただいています。
前作の「ふりかえり読本 場作り編」でも凄くいい表紙を書いてもらってから、次作も是非に、ということは前々から伝えていました。

今回のオーダーは以下のようなものです。

  • 前回と続き物だと分かるイメージ
  • 黄色を基調に
  • 背景色は前作と被らない緑以外で
  • 学びや成長を軸に書くため、モチーフも学び、成長を想起させられるもの

かなりふんわり目のお願いですね。
仕事でも付き合いがそれなりに長いのもあり、信頼しきって、佐々木さんの裁量にお任せするスタイルでいきました。

目次の作成

そうして、デザインも依頼して、「そろそろ書かなきゃーやばいー」とは思いつつ筆が乗らない。
この時点で3/1。入稿期限が3/30くらいなのを考えると、残り約4週間。
20時間と見積もっていますから、まぁ大丈夫でしょうとタカを括っています。

まずは目次だなー、ということで目次を書いてみるわけです。
前作に続きMicrosoft Word 2013で原稿を書いていきます。
もともと、今作の構成は頭のなかでしばらく練っていましたので、それをアウトプットしていきます。
章、節、項のバランスを考えながら、ページ区切りなどをして、全体のページ数を想像しつつ目次が1時間くらいで書きあがります。

ん?94ページ???

目次で適当にページ数分割しただけで94ページ。1節1ページは確実に超えていきます。ふりかえりの手法(アクティビティ)の説明では、前作基準だと1手法あたり平均3ページ。23の手法を盛り込んでいる時点で、69ページになるわけです。
この時点で150ページ超えそう、とつらみが滲み出てきます。
この時点で着手が遅かったのを後悔しました。

目次だけでもさっさと書く。そうすると見積もりができる。
普段アジャイルコーチをやってるくせに、自分一人でやろうとすると途端にこの様なのは笑えません。

デザインの完成

3/6。佐々木さんからチャットでデザインの初稿が出てきました。

デザインがコレです。
furikaeri2-2 (1).png

このときは私は福岡に行く飛行機に乗ろうとしているときでした。
ガリガリと本を書きながらも、なかなか進みが遅く気持ちが減衰していたところに、素晴らしい表紙デザインが飛んできたのです。
この瞬間、めっちゃテンション上がりました。多分今年一番のテンションの上がりっぷりです。

前作のイメージを踏襲しつつ、続き物だとわかるデザイン。
そして、青色に映える黄色のコントラスト。
コンパスという「学び」「むきなおり」を想起させるデザインコンセプト。

これは良いものを作りたい!作らねば!絶対に多くの人に届ける!という気持ちが爆発した瞬間です。
デザインの持つ力って本当に凄いな、と感じます。まず最初に人を動かすのはデザイン。そして、そこに声や想いが乗って、大きな力になるんですね。

前回は締め切り駆動で動いていましたが、今回は締め切り駆動に加えてデザイン駆動で動いた、と言っても過言ではありません。

中身の作成/前半戦

デザインブーストがかかった状態で、中身の記載をしていきます。
進捗は逐次Twitterで報告していきました。

ブーストかかる前から報告はしていたので、こんな感じで進捗。

3/3(日)

この時点でページ数の終わりが見えなくて結構絶望が見えてますね。

3/5(火)

3/6(水)

ここらへんから心理的なブーストがかかっています。
私はやると決めてからは速い速い(自画自賛)。
前半のコア部分を書き終えて、残りはふりかえりのアクティビティを追加していく工程です。
アクティビティは、私が2年間書き溜めた秘伝のタレがあるので、それをコピペしてきれいにしていく作業。
この段階で、ちょっと一安心しています。そして時間が空きます。

3/10(日)

アクティビティをガリガリ書いていく。コピペが基本なので加速度がいい感じですね。

ノンデザイナーズデザインブックを読む

業務中に勉強会として、「ノンデザイナーズデザインブック」というデザインの基礎本をActive Book Dialogで行いました。
この本を読んだことで、本の体裁に本気を出したくなってきました。
ただ、体裁に本気を出すのは全部書き終えてから、とグッとこらえて、執筆をつづけます。

3/12(火)

私がActive Book Dialogで担当した部分のコ・サマライズ内容。
会心の出来です。

中身の作成/後半戦

3/21(木)

だいぶ間が空きました。仕事が忙しかったんだと思います。
この時点で、200pに収める予定で技術書典のサークルページを更新しました。

とやったところでどうあがいても200ページ超える流れに。
2,000円を超えると、手が届きにくくなる人も多いと思われたため、2,000円は崩さず行こう、と決めたのもこの段階です。

3/22(金)

この時点で、いったん内容は書き終わりです。推敲フェーズに移っていきます。
本の分量が200ページを超えたため、推敲の見積もりもがっつり増えている感じですね…。

中身の推敲/前半戦

1週目の推敲。半分一気に終わらせてしまっています。

3/23(土)

この書籍にはだいぶお世話になりました。
推敲の仕方も載っていて、参考にしながら進めていきました。

推敲も終わりに近づきます。でもこれ一週目なんですよね。

3/24(日)

ここで1週目の推敲が終わり、体裁に手を出し始めます。
フォントをMS明朝から游明朝にしていったところで、ページ数が大幅に増加。セクションの区切りなどにも気を遣うようになり始めます。
ページ数は増えたものの、読む負担を減らすためにも、ここからはできる限りページ数を減らす方向で推敲&デザインを作りこんでいきます。

中身の推敲/後半戦

3/25(月)

2週目は印刷して赤入れしていきます。とんでもない量の赤が入って、心が折れそうになります。

3/27(火)

JaSST Tokyoの講演までの待ち時間に、プロジェクトマネージャ保護者会の野村さんに推敲をお願いしました。
この推敲のおかげで、章構成がスマートになりました。

3/30(水)

2週目の推敲を終わらせ、3週目の推敲。体裁や内容両方に目をむけつつ、デザインを損ねないように余白を有効活用し、読者の満足度を上げるために、コラムを突っ込むことを考えます。

コラムの位置調整。
この時点では、wordのヘッダー/フッターをうまく使いこなせておらず、いい感じの体裁になっていません。
ちょっとあきらめていました。
優先順位は最後に設定して、まずは内容を充実させることを選択。

3/31(木)

コラムを14個作って突っ込もうとしていたのですが、ページ数が4の倍数にしなくてはいけない関係で、目次が肥大化するとページ数があわなくなることが発覚。コラムを4つ削ります。

その直後、目次をノンデザイナーズデザインブック+twitterで見たかっこいい目次を参考に、スリム化。そうすることでコラムが4つ書けるようになったため、最終修正です。

駆け込みレビュー

3/31(金)

そして、この日にやったとても大事な出来事が、ほかの人に見てもらう、ということです。
会社の同僚に朝、pdfを公開し、夜までに見れる人は推敲を有志でお願いしました。
この結果、4人の方に推敲いただき、誤字脱字やわかりにくい点、あとは感想等フィードバックをいただきながら、最終調整を行うことができました。
多数の目で見てもらう、ということの威力を初めて感じました。

ここで、内容が完成します。

入稿

4/1(土)

後回しにしていたヘッダー・フッターを整えました。
そして、236ページの渾身の本が完成しました。

前作お願いしたpoplsで入稿を行い、原稿をuploadし、完了です。

ふりかえり(わかったこと)

執筆について

本が出来上がるまで、作業日数は14日でした。
おそらく、作業時間は1日平均にすると3時間ほど。
計50時間ですね。
100ページで20時間、と予測していたのは、ベロシティだけならほぼ正しかったと言えます。
次回はもしwordで続けるとすると、体裁など細かい部分でこれ以上の速度が出せそうですが、Re:viewを使う予定ですのでどうなるかはわかりません。早めにチャレンジしておいたほうがよさそうです。

Q:品質について

個人的には、すごくいい本を作れた、と思っています。
ただ、ほかの人に見てもらう時間をもっと長く作るべきでした。
体裁については、ノンデザイナーズデザインブックを読んだり、ほかの人の体裁を参考にしたり、佐々木さん含むいろんな方にアドバイスいただいたおかげで、かなりよくなりました。
「ふりかえり読本 場作り編」に比べると、圧倒的な成長具合です。

C:コストについて

時間を結構かけた割に…というのはあります。
業務の利益率の高さから考えると、正直赤字です。
ただ、今後の成長の機会を増やしたり、という先行投資と考えると、大きなプラスになるだろうと思います。

D:納期について

品質のところで述べましたが、2週間くらいの余裕をもって、じっくり見てもらうほうがよかったなぁ、と思います。
ほかの人に見てもらうことで気づいた部分が結構ありますので、いろんな人に見てもらうことは非常に重要。
今回は推敲の時間をほとんど見積もりに入れていませんでしたので、次作は見積もりにしっかり入れる必要があります。
poplsさんへの入稿期限は守りました。

S:記載範囲について

もともと書きたい内容+書く予定のなかったコラムを詰め込んだので、かなりボリュームのある内容となっています。
「学び編」として紹介したい内容はすべて紹介できましたので、また次作で別のスコープでいろいろなふりかえりの楽しさを紹介していければと考えています。

その他

一人だけではこの本は作り上げられませんでした。
デザイナーの佐々木さん、推敲を手伝ってくれた同僚の皆さん、そしてTwittter上で情報を公開してくれている皆さん。
そして沼に引きずりこんでくれた稲山さん、ノンデザイナーズデザインブック、稲山さんの同人誌作成本。
最後に、本を書く時間、子供の面倒を見てサポートしてくれた妻。
いろんな人・情報があったからこそ生まれた本でもあります。
本当に、感謝しています。

ふりかえり(つぎやること)

今回のわかったことの部分での反省を活かしたうえで、次の本の執筆を行いたいと思います。
技術書典7に出すのは前提として、まずは目次をさっさと書いてしまって、ページ数を見るところからですね。
Re:viewも早めに触ってみて感触を確かめる必要もあります。
次の本を、また多くの人に届け、ふりかえりを楽しんでもらうきっかけにしたいと思います。

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