はじめに
2018/02/15(木)~02/16(金) に開催された Developers Summit 2018 に参加してきました。今年のテーマは「変わるもの×変わらないもの」です。
昨今の技術の変化は目まぐるしく、xTechに代表されるような、テクノロジーが様々な業界にもたらす 創造的な破壊の事例は枚挙にいとまがありません。数年前までは夢物語だったAIの実用化も、 ディープラーニングの台頭により次々とムーブメントを起こし、一部では人間の認識能力を凌駕するほどの拡大をみせました。エンジニアを取り巻く環境、そしてエンジニアの役割は大きく変わろうとしています。
では、エンジニアにとって「変わらないもの」とは何でしょうか?新しい技術にわくわくする、技術で世の中を良くしたい、仲間を作り知見を共有したい……そんな思いを持ちながら、適切な技術を見極め、主体的に選択し、実装する。そうした思いや行為はエンジニアの原点と言えるのではないでしょうか。
「変わるもの×変わらないもの」というテーマには、新しい技術の登場や世の中の変化、エンジニアの役割の変化に対して、エンジニアらしいやり方でどう立ち向かっていくか、一緒に考えたいという思いを込めました。デブサミ2018では、そのヒントやきっかけを用意してお待ちしています。
こんな内容にワクワクしながら、雅叙園で楽しんでまいりました。
今回は1日目のレポートです。
参加した講演
15-C-1 カイゼン・ジャーニー 〜たった一人からはじめて、「越境」するチームをつくるまで〜
エナジャイルの市谷さん、ヴァル研の新井さんの講演です。02/07に発売された「カイゼン・ジャーニー」をベースに、お二人の越境の歴史を聞くことができました。
素敵なスライドはこちら。
カイゼン・ジャーニー 僕が越境できたわけ~たった一人からはじめて、「越境」するチームをつくるまで~
カイゼン・ジャー二ー Can we change the world?
二人の講演を聞きくのがデブサミの一番の目的でしたので、一番初めに聞けて本当によかったと思っています。組織の中で、組織を変えようとしている、でもなかなか変わることが出来ない人って本当に多くいると思うんです。組織の壁を破るのは並大抵なことでは出来なくて、挫折してしまう人も多いはず。そういった人たちの背中を押してくれるような素敵な講演でした。
新井さんのスライドで紹介されていた、ヴァル研の「見える化」「カンバン」「VSM」は本当に素晴らしいものです。IT業界をやっているとどうしても電子化での見える化等に走りがちですが、物理的に見える化をすることの意義は大きく、威力・影響も絶大です。物理のいいところは簡単に作れ、直せ、壊せるというもので、「小さくはじめてみる」というのにも適しています。
ヴァル研が社内見学ツアーを開いている、というのも色んな会社に影響を及ぼしていると思います。弊社でも、私含む見学に行ったメンバーが「見える化」「カンバン」「VSM」を自身のチームや組織に広めたいという活動が2017年5月から始まりました。最初は自分のチームだけでしたが、徐々に広げ・広まっていき、今では部内での認知度も上がってきています。私も多大な影響を受け、XPの「全員同席」とあわせて「スクラム部屋」を作り、見える化によるチームの活性化を行うことができました。
新井さんがパッションを持って続けている活動が起こした波紋が、たくさんの人の背中を後押しし、色々なところで「カイゼン」が生まれていると思うとワクワクします。私も「色々な人に勇気を与えられる人になりたい!」と思った、とても素敵な講演でした。
講演を聞いて、感動を残すべくすぐにグラレコ…
デブサミ初日、初回の新井さんの講演。@araratakeshi さんには凄く勇気を貰いました。私も新井さんの起こした波紋で影響を受けた1人で、社内外にパッションを持って伝えていきたいものがたすさんあります。明日からも頑張ろう、という気力が湧いてくる講演でした。ありがとうございました!#devsumi pic.twitter.com/6o1yhS5WR4
— びば(森のフレンズ) (@viva_tweet_x) 2018年2月15日
市谷さんの講演では、「Why」を突き詰めるという話を繰返しされていました。「自分は何者なのか?」「なぜそれをやりたいのか?」という「立ち戻りの問い」を自問自答することで、周りを巻き込める、訴求する力があるかを見つめなおそうというものです。仕事をしているうえで色々なカイゼンをするとき、ツールを導入したりフレームワークを取り入れたり、様々なHowを探してきます。ただ、Howだけでは人を動かすことはできません。市谷さんのいう「Why」が強いほど、人を引き込む大きな力となり、目的を実現するための「How」はいくらでも出てくる。
新井さん、市谷さんの両方のスライドで言及されていた「パッション」がまさにそれで、大きな「Why」があったからこそ、お二人の活動は多くの人に影響を与え、勇気を与えてきたのだと思います。
「Why」の話はRSGT2018のクロージングセッションで岩崎さんが言っていた「大義」にも近い話だと感じます。自身がやりたい、広めたいと思うものに対する大義があるからこそ、人は集まり、ついてくる。大義や目的を見失わずに、「Why」を自分に問い続けながら、自分自身の活動も続けていこう、と強く思った発表でした。
また、越境の仕方もためになりました。1人からチームへ、チームからチームの外へ。自分ひとりで小さく始めて、徐々に広げていくなかで、色々障壁もあります。そんなときに目的や「Why」さえあれば、集まってくれた仲間に頼ったり、社外とのつながりに励まされたり、と活動が断絶しないための勇気を得ることができるのでしょう。また、うまくいかないときは1人に戻ればいいだけ。失敗を恐れず、どんどんチャレンジしていきたいと思います。
最後に紹介されていたチャレンジを応援する「エナジャイズクラウド」にも登録しました。金銭の関係のない、応援してくれる人がいるだけで、チャレンジしている人にとってはありがたいものですので、私もガンガンエナジャイズしていきたいと思います。
最後に、控え室にて新井さんにサインいただきました。今後もふりかえりの推進活動がんばります!!
めっちゃ嬉しい。ウルっときてしまった pic.twitter.com/OqdJ4XCPnf
— びば(森のフレンズ) (@viva_tweet_x) 2018年2月15日
15-E-L グローバル化していく世の中におけるエンジニアの生きる道
オフショアでの働き方についての座談会でした。主にベトナムと日本との働き方の違いについてでしたが、文化の違いによる苦労も色々あるんだなぁ…と。ベトナムは若いエンジニアが活発というのもいいですね。日本の若いエンジニア(私も!)も負けてられません。
事例2本立て!Redmineユーザ達が語る現場定着化への取組みと導入アンチパターン
まだ資料は公開されていないようです。(02/16 07:00現在)
私も3年前にプロジェクトでRedmineを導入推進したことがあるため、「他の人はどんなことに悩んでいるのかな」「自分のやりかたってアンチパターンじゃないかな」というのを確かめに行く目的で参加しました。
Lychee Redmineというプラグインはこの場で初めて知ったのですが、MS Projectなどでガントチャート管理をしているプロジェクトにチケット管理を導入したいのであればかなりいいプラグインだなーと思います。個々のプラグインを導入してカスタマイズしようとしても互換性が微妙だったり、かゆいところに手が届かなかったりすることが多いのですが、このプラグインはガントチャートが簡単編集できたり、チケットをガント上から作成・編集できたりと、プレーンなRedmineを使っているうえでストレスを感じる部分を極力減らしてくれそうです。
自身のプロジェクトではJIRAを使ってしまっているので、現状でのLychee Redmineのうまみは残念ながら感じなかったのですが、機会があれば導入を検討してみたいと思いました。
この講演で発表されていたアンチパターンは6つ。
- 用意したから使え
- なんか嫌だ、使いたくない
- 現状のプロセスをRedmineに全て当てはめる
- 進捗率が信用できない
- どんどん伸びるガントチャート
- いつのまにか完了になるチケット
うわぁ、全部見に覚えがある…
Redmineに限らず、ツールや考え方を導入する際に使える優れたアンチパターンなのでは、と思います。
(1)~(3)のアンチパターンについては私も強い思いがあります。私が過去に導入したときには、プロセスをどのように変更したいのか、それにRedmineを当てはめるとどう旨みがでるのかを考えたうえで、プロジェクトの各チームと相談しながらやり方を決めて導入する、というやり方を取っていました。前述の市谷さんの発表での「Why」「How」の話にも近いのですが、ツールの導入にこだわりすぎると誰にも使ってもらえない陳腐化したものが出来上がるのですよね(これは当時のPMに熱く教えていただきました。ありがとうございます)。チームの文化に合わせることも重要ですので、トップダウン+ボトムアップの両面から攻めていけるような導入の仕方になるよう工夫をしないといけないと思います。
(4)は心理的安全性が担保されていないチームなので、チームビルディングから。(5)(6)は管理者がずさんだと起こりがちなので、注意しなければならない部分ですね。
こちらの言葉もいいなーと思ったので共有します。(読めませんが)
まずは始める、というのがとても大事ですね。「始めてしまえば半分終わったようなものだ」という意味らしい。 #devsumiA pic.twitter.com/o3WQ7rNLZf
— びば(森のフレンズ) (@viva_tweet_x) 2018年2月15日
この講演を聴いていて感じたのは、「報告」「管理」という言葉がふんだんに使われていたのですが、私自身がこの言葉を最近使わなくなったし聞かなくなったなー…と。きっといいことなんでしょうね。
「ITエンジニアに読んでほしい!技術書・ビジネス書大賞 2018」プレゼン大会
高柳師匠が司会、ということで付き人として学ばせていただきました。
司会の運営も入念な準備が必要で、場作りの工夫も散りばめられており、ファシリテーターとしてのインプットが非常に多いセッションでした。
今回紹介された技術書・ビジネス書6冊もどれも素晴らしく、全部買いたい!というものばかり。
紹介されていた書籍は以下の6冊です。
睡眠時間を削らずに睡眠の質を上げる方法を紹介している本だそうです。身体の表面温度と内部温度が近いほど眠りやすいため、睡眠前には冷たい飲み物を飲みましょう、など。睡眠の質を上げてQoLを上げるためにとても役立ちそうな本です。買います。
仕事あるあるを「IT業界の単語を全く使わずに表現した」本。色々な業界業種で起こっている問題は、IT業界であれば普段からやっていることであり、プロジェクトマネジメントの考え方で解決できる問題も多いのだそうです。「我々もがんばっていきましょう」というエールは心にくるものがありました。買います。
ビジネスシーンで使える「ちょっと難しいけど皆が知ってる、かつ使うと正しい意味で伝えられる」ような表現をふんだんに取り込んだ本。「慧眼」とか「拙速」とか使ってみたいですよね。買います。
機械学習のことを「数式を一切使わずに」マンガを交えながら描いた本。恥ずかしながら機械学習は手を出したことがなく、難しいイメージがあったのですが、この本なら誰にでも読めそうですし、新人向けの輪読会にも使えそう!ということで買います。
翻訳者の相川さんがいらっしゃらなかったので、代読による紹介でした。翻訳をすることによる意義は、原著の誤りを正したり、現在のバージョンにあわせて動くように作り変えることだ、とも。以前の翻訳本の原著者への怒りも見え隠れして、翻訳って大変なんだなぁ…と…。これ、前々から気にはなっていたのですが、結構分厚いので躊躇していたんですよね。どうしようかしら。
色々なアルゴリズムを図解で分かりやすく紹介している本です。こちらも教育によさそうかなーと思います。買います。
大賞は機械学習入門の大関さん。特別審査員3名中、2名からも特別賞をいただいており、三冠です。おめでとうございます!
機械学習入門、三冠!!
— びば(森のフレンズ) (@viva_tweet_x) 2018年2月15日
おめでとうございます!!#devsumiC pic.twitter.com/sdeZy6GCvp
おわりに
デブサミ1日目はとても濃い時間を過ごせました。
今日の2日目も楽しんでまいります!