この記事は、2019/01/09(水)~2019/01/11(金)の3日間にかけて行われた、Regional Scrum Gathering Tokyo 2019(略してRSGT2019)のふりかえり記事です。
RSGT2019は、国内最大級のスクラム実践者が集まるカンファレンスです。3日間で300人の参加者と、25組のセッションが行われます。
今回、NRIで参加してきた5名が集まり、全員でのふりかえり会を行いました。
ふりかえりの進め方はカンファレンス・研修などの学びをふりかえるフレームワークの提案:フラクタルに沿ってふりかえりを行ってみました。
こちらもあわせてお読みください。
この記事では、ふりかえりの進め方について触れるパートと、ふりかえりの内容について触れるパートの2つに分けて説明します。
まずはふりかえりの進め方について触れ、そのあとにふりかえりの内容について触れます。
ふりかえりの進め方
ふりかえりの参加者
- RSGT参加者:4人
- RSGT非参加者:1人
ふりかえりの時間
13:00~15:00の120分
ふりかえりの流れ
以下に沿って実施しました。
(0. ふりかえりの準備 30分(1名))
- ふりかえりの趣旨+フラクタルの説明 15分
- イベントの洗い出し 5分
- ふりかえりの対象決め 5分
- (Feedback Loop)イベントごとのふりかえり * 6セッション 10*6分
- (Output Cycle) イベント全体のまとめ 10分
- (Feedback Loop)全体のふりかえり 10分
- (Output Cycle) 全体のまとめ 15分
計120分
0. ふりかえりの準備
ふりかえりを円滑に進めるための事前準備として、以下の道具を準備しました。
- 付箋(大) いっぱい
- 付箋(中) いっぱい
- ペン 人数分
- どこでもシート
- 各種ドリンク
- 各種おやつ
また、事前の準備として、全セッションの一覧を付箋で書き出して時系列順に貼り付けしておきました。
1. ふりかえりの趣旨+フラクタルの説明
今回のふりかえりの目的を共有しました。
-
参加者として
- 学び・気付きをふりかえる
- 学び・気付きを共有する
- 学び・気付きを仕事や日々の生活に持ち帰る
-
非参加者として
- 参加者の学び・気付きを吸収する
- 学びを仕事や日々の生活に持ち帰る
-
全体として
- 来年度皆が行きたくなるようにするためにどうすればいいかを考える
- 来年の今頃までに自分たちはどうなっていたいかを考える
2. イベントの洗い出し
事前に25のセッションすべては付箋に起こしておきましたが、OST(Open Space Technology)のネタに関してはノータッチでしたので、そちらを記入していただくほか、誰がどのセッションに参加したのかを記載してもらいました。
3. ふりかえりの対象決め
今回、5名120分でそれぞれが参加したセッションすべてを共有することはできません。
そのため、誰がどこに参加してきたのかを記入した上で、「話を聞きたい」というセッションに投票してもらうことにしました。1人5票、ドットを左下に記載し、ドットが0票のものは除外していきます。
投票の結果、以下のタイムテーブルが確定しました。
- タイムテーブル1
- Outcome Delivery: delivering what matters
- 行動分析学に基づくScrumの導入
- タイムテーブル2
- ちゃんとやってるのになんかうまくいかないスクラムからの脱出
- タイムテーブル3
- Learning to Experiment
- タイムテーブル4
- そのときサーバントリーダーはどう振る舞うか
- タイムテーブル5
- 「自分を立てなおす対話」をやってみよう! ♥ 智慧の車座ワークショップ
- よなよなエール流 熱狂を生むチームづくり ~8年連続赤字から13年連続増収増益までの軌跡~
- タイムテーブル6
- スクラムで学ぶスクラム開発
2セッション並列のタイムテーブルは、半々にメンバーが分かれてふりかえりを行います。
それ以外は全員でふりかえりを行います。
4. (Feedback Loop)イベントごとのふりかえり
A4用紙1枚に、セッションの学びをそれぞれまとめていきます。
今回は時間の関係で10分1セッションでやりましたが、15分がちょうどいい長さだと思われます。
タイムボックスの中で、参加者がセッションの内容や学びを共有し、参加者・非参加者同士で会話をしながら、学びを深堀りしていきます。
このとき、セッションのスライドや、メモ(グラフィックレコードやマインドマップ)など、共有するために使える情報を使って全員に共有しましょう。
付箋やペンなどを使いながら、A4用紙1枚に時間内に学びをまとめていきます。
時間が来たら終了です。
写真:「そのときサーバントリーダーはどう振る舞うか」の学びをマインドマップで共有する塩川さん
写真:「スクラムで学ぶスクラム開発」の学びをマインドマップで共有する塩川さん
時間が来たら、次のタイムテーブルに移行します。
これを繰り返しながら、全セッション・イベントのふりかえりを遂行します。
5. (Output Cycle) イベント全体のまとめ
A4用紙でまとめられた内容をざっと眺め、自分が疑問に思う部分や気になるところをどんどん聞いていきます。
人数が5人程度であれば10分、~10人であれば15分、それ以上であれば20分取れば十分な共有はできるかと思います。
6. (Feedback Loop)全体のふりかえり 10分
全員が集まり、1つのボードに対して、このカンファレンス全体のまとめのふりかえりを行いました。
今回はFun/Done/Learnによるふりかえりです。
7. (Output Cycle) 全体のまとめ 15分
具体的なテーマに対してのNext Actionを決めます。
今回は「来年度皆が行きたくなるようにするためにどうすればいいかを考える」を主題に、全員で話し合いました。
所感
フラクタルをグループでやってみて、ですが、色々な所感や改良点を下記に記します。
- 人数は4-5人1グループとなるように並行セッションを分ける。2人だとややもったいない感が出る
- 人数が少ないと、聞きたいセッションと話さなければいけないセッションがかぶりやすい
- 人数が少ない場合は、自然とLean CoffeeやWorld Cafeの形式になる
- スケール・スケールアウトしやすい構成がフラクタル構造ならでは?
- 人数が多ければ多いほど威力を発揮する(と思われる)
- キーノートなど、全員がふりかえりたいセッションは並行せずに行うとよい
- 120分であれば10分×6セッションが限度。それでも色々な学びは引き出せる
ふりかえりの結果
各セッションでのふりかえり結果です。
「「自分を立てなおす対話」をやってみよう! ♥ 智慧の車座ワークショップ」のふりかえり
「よなよなエール流 熱狂を生むチームづくり ~8年連続赤字から13年連続増収増益までの軌跡~」のふりかえり
「ちゃんとやってるのになんかうまくいかないスクラムからの脱出」のふりかえり
「Learning to Experiment」のふりかえり
「Outcome Delivery: delivering what matters」のふりかえり
おわりに
私自身、今回のフラクタルの中で採用されたセッションのほとんどが、自分で詳細にふりかえり済みのセッションばかりでした。ただ、ひとりでふりかえったセッションの話を、「まだ聞いていない」他人に伝えることで、疑問に答えるなかで新しい気付きが生まれたり、「聞いていない」セッションの話を共有してもらうことで、コアな部分のみを噛み砕いて知ることができたり、とかなりお得感のある2時間でした。
今年の新人が「RSGT2020で登壇したい」と言ってくれたり、この熱量をほかの人に伝えるためにはどうすればいいか、というのを皆でまじめに考える機会となったのもよかったなぁと感じています。
このふりかえり手法はまだまだ荒削りですが伸びる余地があるなと感じたので、機会を見計らって色々なところで改良を加えていきたいと思います。