はじめに
2019/04/14(日) #技術書典6 お34 プロジェクトマネージャ保護者会で発売するふりかえり読本 学び編~経験を力に変えるふりかえり~より、アクティビティを1つ紹介します。
この記事では、Management 3.0 のプラクティスの1つである、Celebration Gridを紹介します。
ふりかえり読本に記載されている内容そのままですので、ためし読み記事としてもご活用ください。
Celebration Grid
出典
フレームワーク「Management 3.0」より。学びを祝いあう習慣を組織に根付かせるためのプラクティスです。
目的・ねらい
Celebration Gridは、「Celebration」の名がつくとおり、学びや気付きを「祝いあう」ための活動です。チームで活動をしていると、プラクティスどおりに(ルールや教科書に沿って)行ったことや、実験的に行ったこと、図らずともミスしてしまった出来事、など色々なことが起こります。それらが成功したのか、失敗したのか、ということをGrid(格子状)で分類し、どんな学びや気付きが得られたのかを確かめ合います。そして、自分たちの成長や変化を祝いあうのがこのアクティビティの目的です。
このアクティビティでは、6つのセクションに分けて意見を分類します。セクションごとに、学びや気付きがあるのか(LEARNING)、ないのか(No learning)を分類しています。
縦軸:得られたもの(OUTCOME)で分類します。失敗(FAILURE)または成功(SUCCESS)による2分類です。横軸と組み合わせて、どんなことをして、その結果何が得られたのか(失敗または成功)を分類しながら学びを模索していきます。
図:Celebration Grid
(出典:https://management30.com/practice/celebration-grids/)
横軸:行動の振る舞い(BEHAVIOR)によって分類します。分類はミス(MISTAKES)、実験(EXPERIMENTS)、プラクティス(PRACTICES)の3つです。ミスはなにかしらのミスをしてしまった結果、どんな成果が得られたのかを分類します。実験は、今までやったことのないことをやってみたり、チャレンジしたものを指します。実験の結果、どんな成果がえら得たのかを分類します。プラクティスは、ルールや習慣に則って実践したという行動と、それによる成果を指します。
つぎに、縦軸・横軸の組み合わせと、LEARNING / No learningの考え方をそれぞれ説明します。
1.ミス×失敗 or ミス×成功
ミスをしたけれども、成功したということは、なにかしら幸運が働いて成功したのかもしれません。ここには大きな学びや気付きのポイントとなります。失敗の場合は、なるべくしてなった当然の結果ですので、大きな学びや気付きはないでしょう。
2.実験×(失敗 or 成功)
実験は、成功・失敗にかかわらず、学びがあります。実験という行為そのものが学び・気付きの源泉です。成功・失敗するかが分からないからこそ実験するのであり、実験によって得られたものは、次のチャレンジをより加速させます。成功・失敗どちらも学びや気付きを分析し、次に活かします。
3.プラクティス×失敗 or プラクティス×成功
プラクティスどおりに成功できたのであれば、大きな学びや気付きにはなりにくいことでしょう。成功事例を持ち込んで、プラクティスどおりにやったにも関わらず失敗した、ということは、コンテキスト(状況)が違うからこそ失敗したのかもしれませんし、なにか思い込みがあったのかもしれません。そこから学びや気付きを得られます。
なお、一般的なプラクティスだとしても、初めてやってみたのであれば、それは実験といえます。成功・失敗どちらにしても、次に繋がる学びや気付きが引き出せます。
これらの6セクションに分類したあと、大きな学び・気付きがあったことを全員で拍手し、祝いあう、という手法です。
所要時間
30分~50分
ステップ
全員でチームの行動をふりかえり、どんな行動をとって、どんな成果が得られたかを6セクションで分類して考えます。まずは一人ひとりで起こったことを考えてから、共有の時間をとります。
共有では、各セクションにおいて起こった事象だけでなく、どんな学びや気付きが得られたのかを重点的に話し合います。悪い思い出の残っている出来事でも、学びや気付きに変換できれば、心理的負荷を下げられます。逆に、よい思い出の残っている出来事であれば、成功体験を全員で共有し、モチベーションを上げるために使えます。また、次の学びや気付きに繋げるために今後どういう実験をしていこうか、という更に前向きな話し合いを行っていきます。
全員で共有が終わったら、多くの学びや気付きがあったことに対して拍手で祝いあいます。
事前準備・道具
フリップチャート・ホワイトボードに6つのセクションを記載しておきます。ほかのアクティビティで使う大きさよりも、やや大きめに全体を記載しておくとよいでしょう。
ファシリテーションのポイント
事前にアクティビティの目的をしっかり共有します。このアクティビティは失敗を共有する必要があるため、責任追及や批判のために使われてしまうと、誰も意見を出さなくなります。失敗を学びに変えて、チームみんなで活かしたい、というマインドを理解してもらったうえで、Celebrationを始めましょう。
さいごに
ふりかえり読本に興味がありましたら、ぜひこちらをサークルチェックしてください!
お34 プロジェクトマネージャ保護者会
4/14(日) 技術書典6でお会いしましょう。
Management 3.0には、組織をよい方向へ変えるためのプラクティスがいろいろ紹介されています。
ワークショップも月1でやっていますので、参加してみてはいかがでしょうか。
また、別のプラクティスを知るにはこちらをどうぞ。
(レポート)Management 3.0 〜良いフィードバックと給料を与える方法〜