はじめに
Management 3.0 〜良いフィードバックと給料を与える方法〜 に参加してきました。
チームや個人へのフィードバックによいやり方はないかな?というモチベーションのもと、タイトルに釣られて行ってきた次第です。
ワークショップの概要
このワークショップでは、Management 3.0の目的・概要と、Management 3.0で取り上げているモジュール(プラクティス)の3つを実体験することができました。メモについてはいつものようにグラフィックレコードで取っています。
1/18に受けた、management 3.0のワークショップでの学びをグラレコに起こし直した。
— びば(森のフレンズ) (@viva_tweet_x) 2018年1月20日
是非体型的に学びたい概念。
これは、自分の頭の中で整理し、一度ざっくり下書きしてから清書。
これを当日にハイスピードでやってるグラレコーダー、本当にすごいと思う。 pic.twitter.com/jS4DDNl4f7
Management 3.0 とは
スクラムでいう「自己組織化」した組織を作るための概念であり、その概念を実現するために様々なモジュールが提供されています。1.0⇒2.0⇒3.0と概念が変わっていきますので、それぞれ紹介します。
(あくまで私の理解を記載しています)
Management 1.0
「トップダウンの組織構造」により、人を機械(≒リソース)のように扱う考え方です。このやり方では、責任を持つのはトップであり、ボトムになればなるほど、「言われたことをやる」状態になります。そのため、どんどんモチベーションは下がっていきます。
Management 2.0
Management 1.0で課題となっていたモチベーションの低下を抑えるためのアイデア(たとえば、残業規制など)
を盛り込んだものです。結局、根本的な改善はされていません。現代日本のほぼ全ての大企業がこの組織だと思われます。
Management 3.0
組織が人をマネジメントするのでなく、人が組織(システム)をマネジメントする概念です。
人同士が相互に協調しあい、お互いのよさを引き出す、いわゆる自己組織化の状態を目指します。モチベーションはアップし、成長が続くことにより成果もより出やすくなります。
Moving Motivators
価値が記載されている10枚のカードを使ったゲームです。自分が大事だと思う価値を選び、それを他の人に共有することで、様々な価値観があることを学び、認め合います。
アジャイル開発では、「インセプションデッキ」などでゴールや価値観の共通認識を持ちますが、Moving Motivatorsではより本質的な「価値感」を共有することが出来るため、チームビルディングにて大きな力を発揮すると思われます。ふりかえりのチェックインとしても有効活用できそうです。
Moving Motivatorsのカードはダウンロードできるそうです。詳細は 日本ではムービングモチベータース・ゲームがリリースされました! の記事をご参照ください。
フィードフォースにおける取り組み例 (Experience Report)
スライド
本日開催されたManagement3.0ワークショップでお話した内容です | https://t.co/nS6pPIvWjK #@management30 via @SNusperling
— Ryo Suzuki(会社ではすーさん) (@hapicky) 2018年1月18日
内容
@hapicky さんによる、社内での取り組み事例の話を聞かせていただきました。自発的な学びを推奨するために、勉強会の開催や、社外活動の支援を行っている、という内容でした。
「自発的な学び」「ADKARモデル」は是非持ち帰り使いたい考え方の1つです。
ADKARモデルとは、自身が変革を根付かせるために必要な5要素
- Awareness(認識)
- Desire(欲求)
- Knowledge(知識)
- Ability(能力)
- Reinforcement(補強)
を定義したものです。どこで詰まってしまっているのかを分析するのにもよい手法です。
社内外でのスクラム・カンバン・ふりかえり等の普及活動をする際に、自身に何が足りていないのか、を分析するとよさそうです。
ワークショップ
「良いフィードバックを与える方法(Feedback Wrap)」「Salary Formula」の2つのモジュールをワークショップで2グループに分かれて学びました。
ワークショップの構成はざっくり以下のとおり。
- 2グループに分かれる(好きなテーマでよい)
- モジュールの概要を学ぶ
- モジュールの流れを知る
- 事例にしたがって、モジュールの流れに沿ってロールプレイする
- 別グループに伝えるためのプレゼンテーション資料を作る
- 共有しあう
私はFeedback Wrapのグループに参加しました。ワークショップの構成は協調学習の「エキスパート活動」を意識して作っているものと思われます。随所に学びのための工夫がちりばめられており、参考になりました。
Feedback Wrapの考え方
Feedback Wrapの考え方。スクラムチームに今すぐにでも取り込みたい考え方。ファシグラしていて楽しかったです。
— びば(森のフレンズ) (@viva_tweet_x) 2018年1月18日
#@management30 #agile #leadership @SNusperlingより pic.twitter.com/sxI1wMhoSz
ファシグラさせていただきました。
FeedbackWrapでは以下のステップでフィードバックを行います。
- コンテキストをface-to-faceで話す
- 良かったこと、悪かったことをリストアップして話す
- 感情を伝える
- 行動による悪影響を話す
- 行動を変えることによる良い影響を話す
- アクションを提案する
よくありがちなのは、1と6だけ一方的に伝えて、「直せよ!」で終わるパターン。または、1と3だけ一方的に伝えて「私はこう思ったんだけどなんとかしてよね!」で終わりのパターンかと思います。
チーム内でのコミュニケーションはもちろんのこと、家庭内でも(頑張れば)使えそうです。スクラムマスターとしてのティーチング・コーチングスキルの向上にも役立つ考え方であり、明日からでも実践しようと思いました。
Salary Formulaの考え方
会社の従業員全員の価値観を話し合い、どんな価値を出すとどの給与になるのか、を明確な数式としてあらわしたものです。この数式は公開され、新規雇用の際にも役立ちます。新規参入者からすれば、あらかじめ文化や価値観が見えるため、入りたい企業を選ぶことがしやすくなります。雇用側からすれば、価値観の合わない人間は募集に引っかかりづらく、かつ、一度企業に入れば離職されづらい、というメリットがあります。
最初から全員で計算式を決めるのは難しいため、小さなチーム(人事など)から徐々に枠を広げていき、最終的にメンバー全員がある程度納得できるものを作ればよい、と述べていました。
ワークショップを通じて
Management 3.0にかなり惹かれました。スクラムにも取り入れやすい要素が多く、チームで働くうえで必要な要素がいっぱい入っていると感じています。近いうちに認定ワークショップも行ってみたいですね。
また、講師のステファンさんのファシリテーションが素晴らしいですね。場の様子を見て、時間切りにするか、時間を延ばすか都度判断しながら進めていたほか、参加者が多い中、困っていそうなところがあれば助けにいくなど、ファシリテーションテクニックとして学べるところが多かったです。
後日談
今回学んだ内容は、翌日にチーム内にすぐに展開しました。Feedback Wrapの考え方は皆共感してくれた様子。チームの自己組織化への布石を投じれたかと思います。