はじめに
本記事では、Actcast Writerを使ってラズパイにActcastと4GPiをインストールする手順を紹介します。
※Actcastをインストールする際はLANケーブルで直接つなぐことをお勧めします!(通信量が膨大となる可能性があるため)
本記事の概要
- Actcast および 4GPiの概要説明
- Actcast Writerを使ってラズパイにActcastと4GPiをインストール
- ActcastのWebコンソールを使ってラズパイのバージョンアップ
- 通信量について
Actcast および 4GPiの概要説明
Actcastとは?
Actcast(アクトキャスト)は、Idein(イデイン)株式会社が開発したエッジコンピューティングプラットフォームです。
エッジコンピューティングプラットフォームとは、末端のデバイスでデータ処理をさせることを基盤としたシステムです。
Actcastは、画像解析などの重い処理をラズパイで処理させ、検出結果をWeb上にアップロードするので画像を転送するよりはるかにデータ量を削減できます。
画像転送データ量の目安 : Raspberry Pi Camera Moduleのデータ量の算出
また、Actcastは2019年の「ET/IoT Technology Award」でグランプリを受賞されるなど大変注目されております。
現時点(2020/4/20)でのActcastを使用可能なデバイスは以下のラズパイシリーズです。
- Raspberry Pi 1 Model B
- Raspberry Pi 1 Model B+
- Raspberry Pi 2 Model B
- Raspberry Pi 3 Model B
- Raspberry Pi 3 Model B+
- Raspberry Pi Zero W
- Raspberry Pi Zero WH
Actcastのできること
現時点(2020/4/20)の公開されているActcastでは、以下のようなことができます。
無料アプリにはIdein社が開発済の画像認識モデル(全11種類)があり、Webからラズパイに直接インストール
有料アプリには人・顔認識のプラン6種類、QRコード読み取りなどがある
インストールした画像認識モデルはWeb上からデータ抽出のしきい値設定やリアルタイムの画像キャプチャなどデバイスに様々な振舞いをさせることが可能(=Act)
実行結果をActcastのサーバを介し、Webhookを利用して外部サービスにデータを転送可能(=Cast)
パートナー企業となれば開発中のSDKや機能に早期アクセスでき、独自開発した学習モデルも適応できる
Actcastのメリット
- エッジコンピューティングのためサーバ負荷や運用コストが少ない
- Webhookを利用してIFTTT連携が簡単にできる
- 軽量で高速な画像認識のモデルを使用できる
Actcastをインストールしたラズパイはログインできない?
SDカードに書き込んだActcastのイメージをそのままラズパイで起動すると
"/sbin/nologin"へのログインとなるため、ターミナルの操作ができません。
しかし、4GPiはActcastを書き込む専用ソフトウェア「Actcast Writer」によって
オプションとしてインストールすることができます。
ただし、現時点(2020/4/20)では使用可能なSIMはSORACOMのみの対応ですので
ご注意ください。
4GPiとは?
4GPi(フォージーパイ)は、ラズベリーパイ専用に開発された4G(LTE)通信モジュールです。
Actcast同様にIoTシステムを促進させる役割を持つデバイスです。
「セットアップが簡単、安定稼動できる」できるのが特徴です。
通信モジュールはSIM7600JC-Hを使用しており、下り最大150Mbps/上り最大50Mbpsと
高速な通信処理が実現できます。
4GPiの用途例 : Stretch 版 4GPi のイメージから Buster へのアップグレード~4GPiを使うメリット~
4GPiのメリット
- ハード、ソフトともにセットアップが簡単
- 4G(LTE)通信なので高速
- 安定した稼働が可能
Actcast Writerを使ってラズパイにActcastと4GPiをインストール
公式ホームページに丁寧な解説がついていますので細かい手順はこちらを参照ください。
※2020/1/6にActcastが正式リリース(Ver1.0.0)となりました。
以前と画面が少々変更がありましたが手順は同じです。
Actcastのアカウント登録
まずはアカウント登録が必要です。
公式サイト: https://actcast.io/
Provisioning Tokenを発行
Actcastのサイトにデバイスを認証するための「Provisioning Token」を発行します。
次の手順のSDカードにイメージを書き込む際に必要になります。
アカウント登録した後にactcast.ioにアクセスすると「New Group」のボタンがありますのでクリックします。
「Group Name」に作成するグループ名を入力し、「Create」をクリックします。
actcast.ioにGroupが追加されますので「Go to Dashboard」をクリックします。
「Devices」をクリックした後、「Add Decive」をクリックします。
「Validity period」はデバイスを登録する為に発行するトークンの有効期限期限を選択します。
その後、「Generate」をクリックします。
「Provisioning Token」が発行されます。
ActcastをSDカード書き込むためのソフトをインストール
書き込みソフト「Actcast Writer」をダウンロード&インストールします。
Actcast Writer取得先:https://actcast.io/docs/tutorial/GettingStarted/Device/
SDカードに書き込む
「Actcast Writer」を起動します。
指示の通り入力していき、最後に「Write」のボタンを押します。
完了すると画面下部に「write success」が表示されます。
接続確認
書き込んだSDカードをラズパイに挿入し、5分程経つとActcastのサーバとの接続が完了します。
接続が完了すると、以下写真のようにDeviceが追加されます。
今回はActcastのインストールまでの記事紹介ですが、機能を使用するにはActやCastの設定が必要になります。
ActcastのWebコンソールを使ってラズパイのバージョンアップ
ラズパイに更新が必要な場合にDevicesページにメッセージと
Updateのボタンが表示されるのでソフトを更新しましょう。
通信量について
Actcastのツールは個別にインストールする仕組みのため、
インストールする際は通信量が大きいです。
そのため、SORACOMのSIMではあっという間に通信量の限界が来てしまいます。
SORACOM plan-DU(10GB)では上り10GB/下り1GBで、下りはとても弱いです。
ましてや、plan-Dでは通信量に応じた課金制なので尚更、通信量を抑えたいところです。
通信量を抑えるポイントとしてはインストールのタイミングで通信量を気にしなくてよい固定回線等に切り替えることです。
方法はラズパイの電源を一度切り、LANケーブルをつないで再度電源を投入し、ActcastやActをインストールするだけです。
また、稼働するタイミングで電源を切った後、LANケーブルを抜きましょう。
電源をつけたまま、抜き差しするとうまく作動しない可能性があります。
参考までにSORACOMのコンソールで確認した通信量を紹介します。
- Actcastのセットアップ(ラズパイのupdateも含む)
通信量:約30MB(下り)
- Visitors' Age and Gender Analysis (Free)のインストール
通信量:約270kB(下り)
- Visitors' Age and Gender Analysis (Free)の10分間の稼働
通信量:約2kB(下り)
通信量:約4kB(上り)
まとめ
Actcastはエッジコンピューティングプラットフォームでラズパイで処理した結果を簡単にWebソフトに通信することができる
4GPiはラズパイで高速な通信(LTE通信)ができる
Actcastと4GPiを組み合わせればSIM回線で様々な場所でラズパイに処理させられる(WiFiが不要になる!)