はじめに
概要
本記事で以下2つを検証しました。
①4GPiと格安SIMでラズパイをインターネット接続
②Stretch版4GPiのイメージからBuster版へアップグレード
##4GPiとは?
今回使用したのは
メカトラックス様のラズベリーパイ用4G(LTE)通信モジュール「4GPi」。
4GPiの機器は提供して頂きました。本当にありがとうございます。。。
##4GPiを使うメリット
ラズパイのインターネット環境は有線やWifiを使用している方が多いと思います。
しかし、その方法ですと線をつなぐ必要があったり、Wifiの電波が届く範囲でしか
活用できません。
そこで、4GPiの出番です。
なんと、4GPiをラズパイに取り付けるとスマホと同じように
SIMを入れてどこでもインターネットを活用できるのです。
用途は、リアルタイム性を求めたり、観測地が変わるデータ収集などが特に適していると考えられます。
使い方の一例ですが、
リアルタイムのドライブレコーダーも作成できます。
最近よく、お年寄りの危険運転がメディアで取り上げられています。
私の両親はもう60,70代と運転が心配です。
しかし、両親共に遠方に住んでいてどのように運転しているか分からず、
両親に聞いたとしても主観的な意見しか手に入りません。
そこで4GPi+ラズパイを使用すれば運転を
リアルタイムでストリーミング再生できるドライブレコーダーにもなります。
もちろん、録画もできるのでいつでも運転の動画を確認できます。
他にも用途は様々ありますが、長くなるので今回は省略いたします。
それでは早速4GPiを使っていきましょう!
##必要な物
◎ ラズベリーパイ用4G(LTE)通信モジュール「4GPi」
スイッチサイエンスからも購入できます。
今回メカトラックス様から提供して頂きました。
内容物は以下です。(参考:https://mechatrax.com/products/4gpi/)
●DCジャック - XHP-2コネクタ変換ハーネス × 1本
●USB-A オス - USBmini-b オスケーブル × 1本
ACアダプタは4GPiに接続します。
ピンソケット経由してラズパイへ電源供給する仕組みです。
◎ 標準SIM
私は標準SIMを持っていなかったので、スマホで利用している"NanoSIM"と
"NanoSIMから標準SIMに変換するアダプタ"で対応しました。
1. NanoSIM:格安SIM Y!Moblie
2. 変換アダプタ:mobee Nano SIM MicroSIM 変換アダプタ
対応可能なSIMについては公式サイトに記載がありました。
ドコモ、au、softbankのキャリアIOT(inter-operability testing:相互接続性試験)については現在実施中で、各キャリアから直接入手されたSIMは接続出来ない場合がありますので、ご注意ください(各キャリアネットワークを使用したMVNOであれば基本的に接続可能です)。
参考:https://mechatrax.com/faq/#faq-4gpi3
補足:標準SIM・NanoSIMのサイズ規格はこちら
◎ ラズパイ
Raspberry Pi3 ModelB+を使用しました。
◎ パソコン
OSをラズパイにインストールするのに必要です。
◎ MicroSDカード
ラズパイのOSを格納する用に必要です。
私は32Gの容量のSDカードを使用しました。
◎ ディスプレイ(+HDMIケーブル)
ラズパイを表示するのに必要です。
◎ キーボード
ラズパイを操作するのに必要です。
①4GPiと格安SIMでラズパイをインターネット接続
4GPiインストール済のStretch版イメージをダウンロード
以下のzipファイルをパソコンにダウンロードしましょう。
イメージ:https://mechatrax.com/data/4gpi/4gpi-stretch-lite-20190419.zip
OSイメージをMicroSDカードへ書き込み
zipファイルのままMicoSDカードにコピーしただけではラズパイはOSを読み込むことができません。
ラズパイが読み取れるように書き込みソフトを利用しましょう。
今回は有名な書き込みソフト「Etcher」を使用しました。
書き込み手順はこちら
4GPiのセットアップ & ラズパイの起動
① 基板固定用六角スペーサと4G アンテナを4GPi側に取り付けます。
⑥ 4GPi用とラズパイにUSB-A オス - USBmini-b オスケーブルをつけます。
⑦ DCジャック - XHP-2コネクタ変換ハーネスに電源供給アダプタをつけ、4GPiにつけます。
4GPiに電源投入(=ラズパイに電源投入)して数秒待つとIDとパスワードを要求されるので
こちらの初期データを入力します。
※私の場合、ラズパイとディスプレイをHDMLケーブルで接続して画面を表示しております。
するとターミナルで入力できる状態になります。
pi@raspberrypi:~ $
SIMカードの接続
SIMカードの情報を登録します。
sudo nmcli con add type gsm ifname "*" con-name 「接続名」 apn 「APN」 user 「ユーザー」 password 「パスワード」
「接続名」は任意の名称を付けてください。
「APN」,「ユーザー」,「パスワード」は各SIM会社のサイトに記載しております。(Y!Moblieはこちら)
項目 | Y!Moblieの場合 |
---|---|
APN | plus.acs.jp |
ユーザー | ym |
パスワード | ym |
私(Y!Moblie)の場合は
sudo nmcli con add type gsm ifname "*" con-name ymobile apn plus.acs.jp user ym password ym
と入力しました。
次にSIMが認識できているか確認します。
4GPi上の青色LEDが点滅していればOKですが、
念のため、コマンドで確認しましょう。
ifconfig wwan0
を実行し、inetにアドレスが表示されていればOKです。
試しにサイトにpingして確かめてみましょう。
ping yahoo.co.jp
応答がありましたら無事に接続できています!
うまく接続できない方はこちらを参照
②Stretch版4GPiのイメージからBuster版へアップグレード
まずは情報確認
ラズパイにディスプレイを接続して4GPiのソフトウェアが入っているか確認しましょう。
dpkg -l | grep 4gpi
と打って、以下のように表示されていれば無事インストールされています。
ii 4gpi-net-mods 1.0.0 all Network configuration for 4GPi
ii 4gpi-networkmanager 1.0.1 all NetworkManager settings for 4GPi
ii 4gpi-utils 1.0.1 all Utilities for 4GPi family
次にバージョンがStretchであることを確認しましょう。
lsb_release -a
「Codename: stretch」となっていればOKです。
バージョンアップの際に通信量が気になる
SIMカードによる通信でも問題ありませんが、バージョンアップするにあたって
かなり通信量がかかります。(500MB以上かかると思います)
私の場合は一度Wifiに切り替えて実施しました。
4GPiは便利なツールがいくつか用意されています。(ツールのリストはこちら)
ツールを使って一度4GPiの電源を落とします。
/usr/sbin/4gpictl poweroff
そして、Wifiを接続します。(接続方法はこちら)
バージョンアップ(下準備編)
下準備ではaptを使用してパッケージを更新します。
Busterへアップグレード後、4GPiのパッケージもaptで更新できるようリポジトリを追加します。
まずはmechatracks.listを開きます。
sudo vi /etc/apt/sources.list.d/mechatracks.list
次にファイル内にapt-lineを追加します。
deb http://mechatrax.github.io/raspbian/ buster main contrib non-free
apt-line内の"buster"が"stretch"の場合、Busterにアップグレード後に4GPiのツールが正しく動作しません。
必ず実施しましょう!
リポジトリの追加後はパッケージを更新する必要があります。
sudo apt update
次に「dist-upgrade」を利用して、更新が必要かどうかに関係なく、
すべてのパッケージの最新の利用可能なバージョンに強制的にアップグレードします。
こちらのサイトを参考に更新しました。
sudo apt dist-upgrade -y
Raspberry Piのファームウェアを更新します。
sudo rpi-update
次にアップグレードするために"stretch"のテキストを"buster"へ変更します。
まずは「sources.list」の編集です。
sudo vi /etc/apt/sources.list
ファイル内の"stretch"から"buster"へ置換します。
deb http://raspbian.raspberrypi.org/raspbian/ stretch main contrib non-free rpi
から
deb http://raspbian.raspberrypi.org/raspbian/ buster main contrib non-free rpi
へ変更します。
次は「raspi.list」の編集です。
sudo vi /etc/apt/sources.list.d/raspi.list
同様にファイル内の"stretch"から"buster"へ置換します。
deb http://archive.raspberrypi.org/debian/ stretch main
から
deb http://archive.raspberrypi.org/debian/ buster main
へ変更します。
バージョンアップ(本編)
ようやくバージョンアップです。
Raspberry Piに保存されているパッケージリストを更新します。
sudo apt update
すべてのパッケージをRaspbian Busterバージョンに更新します。
sudo apt dist-upgrade
途中でyes no の質問がありますが、基本はyesで問題ないです。
(ufwの設定はStretchの状態を引き継いだほうが良いかもしれません。ssh設定がDENYになります。)
Busterのアップグレードプロセスが完了したら、自動的にインストールされるいくつかの新しいアプリケーションを削除する必要があります。
sudo apt purge timidity lxmusic gnome-disk-utility deluge-gtk evince wicd wicd-gtk clipit usermode gucharmap gnome-system-tools pavucontrol
最後の確認
バージョンがBusterであることを確認しましょう。
lsb_release -a
「Codename: buster」となっていればOKです。
Wifiでインストールした方は設定をSIMカードに戻しましょう。
sudo ifconfig wlan0 down
4GPiの電源をONします。
/usr/sbin/4gpictl poweron
最後にネットに接続されているか確認します。
ifconfig wwan0
を実行し、inetにアドレスが表示されていればOKです。
これでOSのアップグレードと4GPiの適応が完了しました!