2026/08/31 追記・訂正
本記事では、当初 PCOMM 15.0.4 へのアップデート後に pcsnp.dll のLSA保護による警告が一時的に表示されなくなったため、その実測結果を記載していました。
その後、数日をあけて Windows を起動したところ同じ警告が再発したため 正式に IBM サポートへ問い合わせたところ、PCOMM 15.0.4 には本問題の修正は取り込まれていないことが判明しました。
IBMからの回答では、本事象は既知の問題であり、PCOMM 16.0.2では従来の pcsnp モジュールが廃止され、新しい pcskerb モジュールへ置き換えられています。
そのため、本記事の対応方法を見直し、PCOMM 16.0.2へのアップデートを根本対応として追記・訂正しました。
はじめに
本日(2026.08.26)1ヶ月ぶり位に起動した端末で、Windows 11のから怪しげなポップアップが表示されました。
「プログラム互換性アシスタント」から次の警告が表示されています。
このモジュールはローカル
セキュリティ機関への読み込みをブロックされています。
対象になっていたDLLは以下です。
\Device\HarddiskVolume3\Windows\System32\pcsnp.dll
結論から書くと、私の環境ではIBM Personal Communications(以下PCOMM)15.0.2 から 15.0.4 16.0.2 へ更新したところ、再起動後にこの警告は出なくなりました。pcs*.dll となっているのでP-Comm系っぽくはあるのですが。
Windows側のLSA保護を無効化するような対応では解決になりません。かと言って無効になった dll で何か動作不良が起きるのも嫌です。
環境
今回確認した環境は以下です。
- Windows 11
- IBM Personal Communications 15.0系 64bit版
- 更新前の実動バージョン:15.0.2.0
- ベース製品:15.0.0.0
- RP15.0.2 Updateパッチ適用済み
- 元のインストール媒体:
PCOMM_V15.0_64bit_FOR_WIN_MULTI.zip
PCOMMのバージョン情報では、更新前は次のようになっていました。
まずpcsnp.dllの正体を確認
見慣れないDLL(pcsではありますが)だったため、最初にファイル情報をPowerShellで確認しました。
Get-Item "C:\Windows\System32\pcsnp.dll" |
Select-Object FullName, Length, CreationTime, LastWriteTime,
@{N="Company";E={$_.VersionInfo.CompanyName}},
@{N="Description";E={$_.VersionInfo.FileDescription}},
@{N="Product";E={$_.VersionInfo.ProductName}},
@{N="Version";E={$_.VersionInfo.FileVersion}}
結果は以下でした。
FullName : C:\Windows\System32\pcsnp.dll
Length : 36376
CreationTime : 2024/03/19 21:41:48
LastWriteTime : 2024/03/19 21:41:48
Company : IBM Corporation
Description : PCSNP.DLL
Product : Personal Communications
Version : 15020.0.24066.642
IBM Personal CommunicationsのDLLであることが分かります。
念のためデジタル署名も確認しました。
Get-AuthenticodeSignature "C:\Windows\System32\pcsnp.dll" |
Format-List Status,StatusMessage,SignerCertificate
結果はValidでした。
Status : Valid
StatusMessage : Signature verified.
署名者もIBM Corporationでした。
したがって、少なくとも今回のファイルは「正体不明のDLLがSystem32に入り込んだ」という状況ではなく、PCOMMによって導入された正規のDLLと判断できました。
PCOMM 15.0.4を確認
2026/08/31 追記・訂正
以下のバージョン 15.0.4 では問題は解消しないので、問題解決には 16.0.2 を導入して下さい。
15系の次期アップデート 「15.0.5」 では取り込まれる予定だそうです。
IBM Supportを確認すると、PCOMM 15.0.4が公開されていました。
IBM公式:
https://www.ibm.com/support/pages/ibm-personal-communications-1504
Fix List:
https://www.ibm.com/support/pages/fix-list-ibm-personal-communications
15.0.4は2026年2月12日リリースで、IBMのページではサービスリリースとして「Recommended」とされています。
ダウンロード一覧にはMLS/JAP/KOR/CHT/CHS、32bit/64bit、Patch/Fullが用意されています。
私の元の媒体は、
PCOMM_V15.0_64bit_FOR_WIN_MULTI.zip
だったため、MLS(Multi-Language Support)64bit版を使用しました。
最初はPatch版を試したが適用できなかった
最初に、
PCOMM-15.0.4-MLS-Patch-64Bit
を実行しました。
ところが、次のエラーになりました。
ベース・バージョンがインストールされていないため、IBM Personal
Communications RP Update (x64)
のインストールをそれ以上進めることはできません。
そこでWindowsのアンインストール情報をPowerShellで確認しました。
Get-ItemProperty `
HKLM:\SOFTWARE\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Uninstall\*, `
HKLM:\SOFTWARE\WOW6432Node\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Uninstall\* |
Where-Object {$_.DisplayName -like "*Personal Communications*"} |
Select-Object DisplayName,DisplayVersion
結果は以下でした。
DisplayName DisplayVersion
----------- --------------
IBM Personal Communications (x64) 15.0.0.0
IBM Personal Communications RP15.0.2 Update (x64) 15.0.2.0
つまり、
15.0.0.0 Base
+
15.0.2.0 Refresh Pack Update
という構成です。
IBMの15.0.4ページではPrerequisitesが「No prerequisites
required」とされていますが、今回の環境では15.0.4 MLS
Patchインストーラーがベース版を認識せず、先へ進めませんでした。
この点について、この記事では原因を断定しません。
15.0.4 Full版をインストールすると一旦警告は出なくなった
Patch版での更新にこだわらず、15.0.4のFull版を使用しました。
今回使用したのは64bitのMLS Full版です。
PCOMM-15.0.4-MLS-Full-64Bit
インストール後にWindowsを再起動しました。この時点では、最初に出ていた pcsnp.dll のLSA保護に関する警告は表示されなくなりました。
pcsnp.dllも15.0.4へ更新された
更新後、DLLのバージョンを確認しました。
(Get-Item "C:\Windows\System32\pcsnp.dll").VersionInfo |
Select-Object FileVersion, ProductVersion
結果は以下です。
FileVersion ProductVersion
----------- --------------
15040.0.26027.878 15.0.4.0
更新前後を比較すると、
更新前:15020.0.24066.642 / 15.0.2.0
更新後:15040.0.26027.878 / 15.0.4.0
となり、pcsnp.dll 自体も15.0.4のものへ置き換わっていました。
また、この時点ではWindows 11を再起動してもLSA保護の警告は再発しませんでした。
しかし、その後警告が再発
その後、Windows 11起動時に同じ「ローカル セキュリティ機関への読み込みブロック」が再び発生しました。
PCOMM 15.0.4環境で、改めて pcsnp.dll の情報を確認しました。
Get-Item "C:\Windows\System32\pcsnp.dll" |
Select-Object FullName, Length, CreationTime, LastWriteTime,
@{N="Company";E={$_.VersionInfo.CompanyName}},
@{N="Description";E={$_.VersionInfo.FileDescription}},
@{N="Product";E={$_.VersionInfo.ProductName}},
@{N="Version";E={$_.VersionInfo.FileVersion}}
結果は以下です。
FullName : C:\Windows\System32\pcsnp.dll
Length : 36432
CreationTime : 2026/01/27 19:52:38
LastWriteTime : 2026/01/27 19:52:38
Company : IBM Corporation
Description : PCSNP.DLL
Product : Personal Communications
Version : 15040.0.26027.878
署名も改めて確認しました。
Get-AuthenticodeSignature "C:\Windows\System32\pcsnp.dll" |
Format-List Status,StatusMessage,SignerCertificate
結果は以下です。
Status : Valid
StatusMessage : Signature verified.
署名者は以下でした。
CN=International Business Machines Corporation
つまり15.0.4の正規DLLであり、デジタル署名も正常な状態でLSA保護によるブロックが発生していました。
IBM サポートへ問い合わせ
そこで、PCOMM 15.0.4の環境情報、pcsnp.dll のバージョン、デジタル署名、警告画面などを添えてIBM サポート へ問い合わせました。
IBMからの回答では、この事象は既に報告されている既知の問題とのことでした。
また、重要な点として以下の回答をいただきました。
- PCOMM 15.0.4には、このLSA問題の修正は取り込まれていない
- PCOMM 16.0.2で当該問題は解消されている
- PCOMM 16.0.2では
pcsnpモジュールが廃止され、pcskerbモジュールへ置き換えられた - PCOMM 15系では、2026年第3四半期頃の15.0.5で修正予定
- 15.0.4を継続利用する場合、Kerberos認証を使用していなければ
pcsnpを無効化する回避策があるHow can you disable Kerberos Authentication in PCOMM?
PCOMM 16.0.2ではpcsnpを廃止
IBMから案内されたPCOMM 16.0.2のReadmeでは、Kerberos認証まわりの再設計について記載されています。
従来の pcsnp モジュールは廃止され pcskerb という新しいモジュールへ置き換えられています。
IBMの説明では、この変更によってKerberos認証プロセスが改善され、IBM iホストへの接続時のシームレスなログオン・バイパスが可能になるとされています。
つまり今回の対応は、単に pcsnp.dll を修正するというより、従来の pcsnp モジュール 廃止し、新しいpcskerb モジュールへ取り替えとの事でした。
15.0.4を使い続ける場合の回避策
IBMからは、PCOMM 15.0.4を継続利用する場合の回避策も案内されました。
Kerberos認証を使用していない場合は、WindowsのNetwork Providerから pcsnp を削除して無効化する方法です。
ただし、これは問題となる pcsnp を使用しないようにする回避策であり根本解決ではないため、IBM側でモジュール自体が再設計されたPCOMM 16.0.2へ更新することにしました。
PCOMM 16.0.2をダウンロード
IBM Fix CentralからPCOMM 16.0.2をダウンロードしました。16.0.2は2026年6月16日に公開されています。
ダウンロード一覧には以下のようにPatch版とFull版があります。
PCOMM-16.0.2-JAP-Patch-64Bit
PCOMM-16.0.2-JAP-Full-64Bit
今回は日本語64bitのFull版、PCOMM-16.0.2-JAP-Full-64Bit
を使用しました。
まとめ
今回分かったことは以下です。
-
pcsnp.dllがLSA保護によってブロックされる事象はIBMでも既知の問題であった -
pcsnp.dll自体はIBMの正規DLLであり、デジタル署名も正常 - PCOMM 15.0.4には、この問題の修正は取り込まれていない
- PCOMM 15系では15.0.5で修正予定
- 15.0.4への更新直後に警告が消えたとしても、根本的に修正されたことを意味せずたまたま
- Kerberos認証を使用していなければ、
pcsnpを無効化する回避策があるが根本解決ではない - PCOMM 16.0.2では
pcsnpが廃止され、pcskerbへ置き換えられている - 現段階での根本解決は PCOMM 16.0.2 への更新すること
当初の記事では、私の環境で15.0.4への更新後に警告が表示されなくなったことから、その結果を解決事例として紹介しました。 しかし IBM サポートへ正式に確認したところ、15.0.4にはこの問題の修正は入っていないことが分かりました。誤解を招く可能性のある内容となっていたため、本記事を訂正・更新しました。
更新履歴
- 2026.08.26
- 初版公開
- PCOMM 15.0.2から15.0.4への更新後、警告が表示されなくなった実測結果を掲載
- 2026.08.31
- IBM サポート からの回答を受けて内容を訂正
- PCOMM 15.0.4にはLSA問題の修正が含まれていないことを追記
- PCOMM 16.0.2では
pcsnpが廃止されpcskerbへ変更されたことを追記 - 対応方針をPCOMM 16.0.2への更新へ変更
参考
- IBM Personal Communications 16.0.2
- IBM Personal Communications 15.0.4
- How can you disable Kerberos Authentication in PCOMM?
- Fix list for IBM Personal Communications
- Microsoft:Windows セキュリティ アプリのデバイス セキュリティ
※ 本記事は筆者環境での検証結果をもとに記載しています。PCOMMの導入形態やWindows 11のビルド、適用済み更新プログラムなどによって結果は異なる可能性があります。




