この記事の趣旨
2025年11月20日に開催されたデータ可視化コンテスト「Viz Games 2025」にて優勝することができました。この記事ではViz Gamesとは何か?優勝にいたるまでの過程など個人的に振り返っていきます。
Viz Gamesとは?
TableauというBIツールの世界的な大イベントであるTableau Conferenceにて毎年開催されているIronVizというデータ可視化のコンテストの日本版です。出場者は20分という限られた時間でダッシュボードを一から作成し、作成したダッシュボードをもとに3分間のプレゼンを実施。データからストーリーを語ります。データ可視化の魅力がギュっとつまった素晴らしい大会です。
今年度のViz Gamesは8月17日~9月7日にかけて予選の募集が行われました。テーマは「あなたの好きな日本(食・場所・文化)」。応募作品からSalesforceにより選定され3名が決勝に進みます。
ちなみに決勝に出場した3名による予選作品の解説をたぶラジというコミュニティベントで行いました。決勝も含めてアーカイブ配信がもうありますので是非ご覧ください。
👇Viz Games2025開催アナウンスの記事はこちら。
👇たぶラジでの予選作品の解説動画はこちら。
👇Viz Games 2025決勝のアーカイブ配信はこちら。
Viz Gamesの審査基準
公式アナウンスでは以下のように記載されています。
審査は「分析力」「デザイン」「ストーリー」の3つの観点で実施。世界中の“データ愛好家“がコンテストに挑み、データ分析チャンピオンが決まる熱い舞台です。
これは本家IronVizと同じです。ただし本家IronVizのサイトにはより細かい審査基準が記載されています。
審査のメインはストーリーテリングだと思います。それを支える正確で鋭い分析と、効果的にストーリーを伝えることができるデザインができているか?が問われています。これはビジネスの現場でも求められる重要なスキルだと思います。
私とViz Games(IronViz)の出会い
私が初めてちゃんと観たIron Vizは2022年に開催されたものでした。Tableau Conferenceには行けなかったのでYouTubeでアーカイブを見ました。データに基づく濃密なストーリーテリングとそれを支える美しいデザインとデータビジュアライゼーション。そして流れるような熱いプレゼンにいたく感動したのを今でも覚えています。感動しすぎて一人で泣いていました。いつか自分もあの舞台に立ちたいと思いました。
そして日本版IronVizとも呼べるViz Gamesは2024年に初回が開催されました。実は私は2024年のViz Gamesにも出場していました。私以外の出場者はTableauコミュニティでも交流があり同時に尊敬もしているGanekoさんとChiakiさん。素晴らしい舞台に立てることに喜びを感じていました。しかし本番の前日に右手をけがしてしまい当日はビデオのみでの出演となってしまいました。多くの人に迷惑をかけてしまいとても情けなかったですし、準備してきたものをちゃんと発揮することもできず、大事なイベントの当事者になれなかったという悔しさは相当のものがありました。この失敗はかなりひきずりました。
なので今年のViz Gamesには何としても出場して昨年の雪辱を果たしたいという思いがありました。無事出場が叶い優勝までできたのは言葉にならないほど嬉しいです。
決勝Vizはどう作られたのか?
そんな強い思いを持って挑んだ今回のViz Gamesですが、どのように準備を進めたのか書き残したいと思います。
準備は以下の流れで進めました。
- 大きな方向性を考える(オーディエンスは誰か?どういう内容にタックルするか)
- データをみて理解し、インサイトぽいものをたくさん出す
- 複数のインサイトからストーリーを組みあげる
- ストーリーを補強するための最適な可視化を考える
- 20分で作れるように調整する
- 3分のプレゼンを考える
ちなみに決勝で作成したVizは以下に公開しています。
ここからはそのひとつひとつの過程をそれぞれ紹介したいと思います。
1. 大きな方向性を考える
まず「オーディエンスは誰か?」を最初に考えました。
Agentforce World Tour Tokyoに来ている人がオーディエンスです。SalesforceのイベントなのでSalesofrceは使っているけどTableauはあんまり...という人も多いと思いますし、もし知っていたとしてもマニアックな可視化テクニックにはあまり興味はないでしょう。なのでTableauのマニアックなテクニックに走るのは避けようと思っていました。
またサッカーの知識についても、詳しい人もいればあまり知らない人も多いことが想像できます。もしサッカーの突っ込んだ内容に切り込むことができたとしても理解できない人が出る可能性もあるし、逆にサッカーが好きな人にとっては当然と言えるような内容を話してしまっても白けてしまうなと思いました。
ただオーディエンスに共通して言えるのは「データをもとにビジネスをよりよくしたい」という思いを持った人ばかりだということです。なのでサッカーをビジネスと捉えてお金の使い方やチーム運営などビジネスにも生かせる要素をデータで語ることができれば、多くの人に共感してもらえるのではないかと思いその方向で分析とストーリー作りを進めることにしました。
ちなみに私はサッカーについてはド素人です。ワールドカップの時に日本戦だけちょっと見る程度で、今回のテーマである欧州5大リーグの存在も知りませんでした。なのでサッカーについて突っ込んで話をするよりも自分でも実感のある「ビジネス」という文脈でデータを見た方が良いストーリーを作れるだろうという思いもありました。
2. データを見てインサイトをたくさん出す
方向性は決まりましたが、サッカーはド素人の私にとって初めて見る膨大なデータは大きな壁でした。しかしここは地道に提供されたデータを一つ一つ見ながら、データを理解しインサイトらしきものを拾っていくしかありません。仕事と同様に地道にデータを見る作業から始めました。
こういう探索的な分析にTableauというツールは本当に便利だなと改めて感じました。様々な切り口を瞬時に切り替えながら可視化を進めていくことができます。まさにVisual Analyticsの世界。Try&Errorを高速に繰り返してデータの理解とインサイト取得をすすめました。ちなみにTableau Prep Builderもデータ理解に大活躍でした。プロファイル画面が優秀なのとJOINしたときの一致状況も直観的に把握できるのでデータ理解にとても役立ちました。
JOINした時のキーの一致状況やJOIN後のデータの概要が簡単に見れます。

データをもらってから4週間くらいはずっとこの作業でした。平日の夜に睡眠時間を削ったり、土日に家族との時間を削ったりしながら分析に明け暮れました。
せっかくなので今回得られたインサイトのうち、最終プレゼンに載せられなかったものを二つ紹介したいと思います。ボツになった理由は次の章でお話しします。
ボツネタ①:エムバペ選手の凄さ
選手の年俸を見るとエムバペという選手の年俸がべらぼうに高いことが分かります。恥ずかしながら私はこのデータを見るまでエムバペ選手を知りませんでした。何人かの知り合いに聞いたらみんな当然のように知っている超有名選手だったようで、危なく「データを見たらエムバペというすごい選手がいることが分かりました!」という「実は夏って暑いんです!」くらい当たり前のことをプレゼンするところでした。おそろしい。
ボツになったエムバペ選手の年俸推移とチーム変遷のまとめはこちら。最終的には年俸を下げてでも憧れのレアルマドリードに移籍したエムバペ選手に感動しました。しかしまぁ凄い金額...

ボツネタ②:移籍金ビジネスの面白さ
他にも移籍金のビジネスも非常に面白かったです。これも知らなかったんですが移籍金はチーム間で支払われるものなので、チームとしては若い選手を育てて高い移籍金でほかのチームに譲ることができれば、それもビジネスになるということを知りました。
前述のエムバペ選手で言えば、モナコが若い時代からエムバペ選手を引き入れており、数年で頭角を現した彼を膨大な移籍金とともにパリ・サンジェルマンに移籍しているので移籍ビジネスとしては大成功しています。逆にパリ・サンジェルマンは移籍金ビジネス単体で見ると失敗に見えます。特にパリ・サンジェルマンからレアルマドリードに移籍する際は満期での移籍のため移籍金の授受は発生しなかったのも興味深いです。

移籍金収支をチームごとのにも可視化しました。大きい円はエムバペがいたチームです。プレミアリーグは例外と考えるとパリ・サンジェルマンのお金の使い方はかなり異質です。

3. 複数のインサイトからストーリーをくみ上げる
最終的に没になったものも含めてインサイトがいくつか得られてきたので、ストーリーの案として以下の二つが見えてきました。
- エムバペ選手の活躍を示すViz
- 移籍金ビジネスの実態を示すViz
しかしそれぞれストーリにするには難しさを感じていました。
エムバペ選手の凄さを語るには試合での活躍を語る必要もあり、多くの他選手との比較も必要でしょうし、サッカー素人の自分にはかなり荷が重いと感じました。
移籍金ビジネスについてはエムバペをめぐるモナコとパリ・サンジェルマンの明暗については非常に面白いのですが、移籍金ビジネスという枠で見ると一つの事象にすぎません。他リーグをみれえばプレミアリーグはもっと移籍金でお金を支払っているし、リーグ・アンの中でもモナコよりも移籍金で収益を出しているチームが存在しており「なぜその話をするのか?」に納得感を出せそうにありませんでした。
そんな中、パリ・サンジェルマンがチャンピオンズリーグで優勝するために多くの選手を集めているというニュースを見つけました。興味深かったのは、そうにもかかわらず優勝できたのはスター選手であるメッシ、ネイマール、エムバペがいなくなってからだという点でした。これは面白いと思いました。

ビジネスの現場でも一線級のメンバーがいなくなることで、他のメンバーのスキルが急に伸びるという経験は多くの人に思い当たる節があると思います。それがまさにサッカーの現場でも起きていたわけです。
ここで冒頭で話していた「方向性」の話に戻ってきますが、あらためてサッカーはビジネスでもあるし、チームで成果を出すための知恵が詰まっており、ビジネス観点で学べるものがたくさんあると自分の中で腹落ちしました。
ということでパリ・サンジェルマンがチャンピオンズリーグで優勝するまでの道のりをデータをもとに語ることでサッカーやサッカーのデータに興味を持ってもらってみんなでサッカーデータを分析してもっとサッカーを楽しもう!というストーリーにすることが決まりました。
4. ストーリーを補強するための最適な可視化を考える
ストーリの大枠が決まったのであとはストーリーを的確に伝えるための可視化を考えます。
本家IronVizではよく縦長のダッシュボードが登場するのですが、私はPowerPointのようなスライドショーの方が話しやすいし、オーディエンスの人たちも聞きやすいと思い、スライドショー形式でまとめることにしました。
また、Tableauでのデータ可視化の面白さや手軽さを伝えたいという思いもありました。IronVizでは基本機能では作成できない特殊なチャートタイプもよく登場しますし、応援席からは「曲げて!」との声があった通り私はそういう可視化が好きでよく作っています(Tableauで曲線的な表現を作るのは難しいのです)。ですが、今回のオーディエンスには「私でもできそう!面白そう!」という気持ちを持って帰ってほしかったのでそういう可視化はあえて避けました。なるべく基本的な機能を使って、いかに効果的にデータを可視化するかにこだわりました。利用したチャートも見慣れたものを選んでいます。
曲がるチャートって何?と思った人は昨年実施したTableau曲線表現講座の動画をご覧ください。曲線表現とは何で、どういうときに有効で、Tableauでどう作ったらいいのか?を丁寧に解説しました。
ここからは実際のVizをもとにこだわりを書き出していこうと思います。
タイトルページ
ここは5大リーグって何?という人向けにヨーロッパのこの5つの国のリーグだということを伝えるためだけに地図の可視化を行いました。こだわりポイントは色と背景地図です。
色についてはリーグごとのイメージカラーがあれば使いたかったのですが、それはなかったので国旗の色からそれっぽい色を拝借しました。重複している色もあるので重複しないかつイメージに合いそうな色を選びました。実は色のピックアップは生成AIにお願いしてやってもらいました。いい色を選んできますよね。
背景地図の設定もデフォルトから変更しています。国名、州名、国境、州境をオフにすることで見た目をシンプルにして、地形と海岸線を出すことで地図っぽさを出しています。細かな違いですが見た目の印象が意外と変わります。こういう細かい設定ができるのもTableauの好きなところだったりします。
選手への報酬で見る5大リーグ
ここは可視化やテクニックの面では実は見せ場の部分です。基本的な棒グラフと散布図の組み合わせですが、アニメーションを使って散布図が右からヌルっと出てくるようにしています。これを実現するためだけに計算フィールドを3つ作っています。業務では絶対やらないと思いますが、マニアックなテクニックを期待しているTableauファンにも喜んでもらえるようなポイントを作りたくてあえてマニアックにこだわりました。解説するとややこしいので興味がある人はぜひワークブックをダウンロードして解読してみてください。
プレゼンという観点でも、序盤にこういう派手めなアニメーションを入れることで飽きさせないようにするという意図もありました。ちなみにアニメーションの速度も設定できるため、デフォルトの0.3秒から1.0秒に伸ばしています。遅い方が動いている感がでますからね。

ちなみにTableau Publicではアニメーションが動きませんでした。描画している点が多いせいだと思います。実際の動きを見たい方はお手数ですがダウンロードしてTableau Desktopで開いてください。
パリ・サンジェルマンのリーグランキング
ここはパリ・サンジェルマンの強さを表現するページです。シンプルにバンプチャートを使いました。Tableauをよく使っている人にとってはなじみのある表現だと思いますが、あまり知らない人からすると初めて見た人も多いかもしれません。ランキング推移を表すには非常に優れたチャートタイプです。
加えてハイライトアクションを入れています。右端にあるチーム名をクリックするとそのチームの推移がハイライトされます。このハイライト機能は実はプレゼントも密接に関係していて、パリ・サンジェルマン以外にここまで常に上位にあるチームはいないということをその場でクリックして示すことにも活用しました。
チャンピオンズリーグの歴代優勝チーム
こちらはチャンピオンズリーグでパリ・サンジェルマンが優勝できなかった歴史です。33年間のデータが入っています。ここではパネルチャート、スモールマルチプル、トレリスチャートと呼ばれる格子状に敷き詰める方法を採用しています。
こちらの図の通り、各シーズンの表示位置を_Columnsと_Rowsで計算しています。

シンプルにチーム名を並べるだけであれば下図の様にすることもできるのですが、16:9の画面サイズにはとてもおさまりが悪かったので、多少まどろっこしいですがパネルチャートを使うことにしました。

作ってみるとこれまでの優勝チームのバッジや表彰状が並んでいるような雰囲気になったので気に入っています。
パリ・サンジェルマンのスター選手たち
分かりやすくシンプルな積み上げ棒グラフを使いました。パリ・サンジェルマンが選手に支払っている年俸がうなぎ上りに増えていることが分かります。また色を付けたところが注目ポイントで、メッシ、ネイマール、エムバペという私でも知っているような(エムバペは知りませんでしたが)スター選手が3人もいる時代があったことを伝えています。
その下部に●を並べているのはチャンピオンズリーグで優勝した時はいつなのか?を見せるためです。こうすると3人のスター選手が全員いなくなってからパリ・サンジェルマンが優勝したことが分かります。ここで「なぜ?」という疑問が生まれて、次のページにつながります。
チーム力のパリ・サンジェルマンに
チームが勝利する要因は一つに絞ることはできないと思います。とはいえパリ・サンジェルマンの優勝のキーワードとして「チーム力」が挙げられているようです。その「チーム力」をデータで示したかったのがこちらのページです。
枠内シュート数という点数を取るために必要なKPIを見ると、2024-2025のシーズンはこれまでで一番多かったことが分かります。そして注目すべきはその内訳で、これまでスター選手に偏っていたのに対して、選手の層が厚くなっているのが分かります。まさにチーム力が上がっていることの証左だと思います。
特に以下でハイライトした3選手は劇的にシュート数が伸びています。こういう現象は仕事の現場でもよくあることだと思います。非常に興味深いです。

まとめページ
まとめです。タイトルと同じ地図を持ってきていますが、左右のレイアウトを入れ替えています。人の目線は左から右に流れるので最後は右側の文字を読んで終わってもらうという形にしました。このプレゼンを聞いて自分もこのデータを分析してみよう!と思った人が一人でも多く生まれていたら私のプレゼンは成功です。
5. 20分で作れるように調整する
ということでVizは完成しました。しかしここからもまた大変です。20分で作れるようにする必要があります。
最初はこれの作成に30分ほどかかっていました。あと10分も削らないといけないんです。10分削るために行った工夫をいくつか書き出します。
ワードでカンペを用意しておく
ワードであれば書式情報を持たせることができるので書式も含めたコピペができます。いちいち書式を設定する必要がありません。
前処理でデータをシンプルに
使わないフィールドがあるとフィールドを探すのに時間がかかってしまします。なので前処理して必要なフィールドのみに絞り込みます。前処理側で必要なフィールドを作ったりもしました。
カスタム書式設定を使う
2025.1から導入されたカスタム書式を使ってフォントや罫線の書式を一括設定できます。これを使って書式設定の時間を省きます。これは今年のIronVizでも披露されていたテクニックでした。詳細は以下のヘルプページを見てみてください。
ワークシートの複製
カスタム書式設定でも設定できない設定もあります。そういう設定については最初に作るワークシートで設定をしてしまって、そのワークシートを複製することで何度も設定する手間を省いています。
昨年優勝したChiakiさんから学んだのですが、Tableau Desktopのメニューにワークシートの複製ボタンがあるのでこれを使うと便利です。

色のデフォルト設定
今年のTCでFlerlage兄弟が教えてくれたTipsを活用しました。Tableau Desktopではtpsファイルという設定ファイルを編集することでカラーパレットを追加することができますが、名前のないカラーパレットをセットするとデフォルトがそのカラーになるというものです。
今回は5大リーグそれぞれの色をデフォルトからパレットに入れておくことで、最初に地図を作る時や年俸のリーグ比較をする際の色はリーグ名を色マークにいれるだけで意図通りの色にすることができました。
もう一つ選手の色分け用のカラーパレットも必要だったのでこれは通常通り名前をつけてカラーパレットを追加しました。
ちなみに色の順番も大事でデータソースに入っている順番と合わせておけば設定レスで狙った色を割り当てることができます。
ちなみにこのTipsの日本語解説はNakanishiさんが記事にしてくれているので是非ご覧ください。
6. 3分のプレゼンを考える。
最後はプレゼンです。3分は思ったより短いです。最初に何も考えずにプレゼンをしたら4分かかりました。1分縮めないといけないんです。なので最小限かつ伝わるワーディングを考える必要があります。
例えば冒頭のこのページのトークスクリプトについてご紹介します。
最初は以下のような話をするつもりでしたが、これだとだいたい19秒かかります。
みなさん欧州の5大リーグは御存じでしょうか?イングランド、ドイツ、フランス、イタリア、スペインという5つの国のリーグのことです。世界中から世界最高峰の選手とクラブが集まっており世界中が注目をしています。今回はこの5大リーグのデータからチームが成功するための秘訣を紐解いていきたいと思います。
本番では以下のようにまとめて13秒くらいで話せるようにしました。これで6秒短縮できます。このような積み重ねで3分に収めるためのトークスクリプトを考えました。
みなさん、サッカー5大リーグは御存じでしょうか?世界最高峰の選手とクラブが集まるヨーロッパのこの5つのリーグのことなんですが、今日はこの5大リーグのデータからチームが成功するための秘訣を紐解いていきたいと思います。
冗長な部分を削って時間内に収まればよいのですが、時には伝えた方が面白いけど削るしかないものもありました。例えばエムバペ選手はこの10年間で最も高い年俸を獲得していることはシンプルに面白いので言いたかったのですがその時間はなかったので削りました(以下のページです)。
その他気を付けたことなど
作業環境について
専用PCの貸し出しは助かった
今回はSalesforce社から出場者それぞれに一台ずつ高スペックPCを貸し出して頂き、事前準備も本番も同じPCで行うことができました。これはとてもよかったです。私用PCは低スペックなので今回のデータ量を快適にさばくことは難しかったと思います。
4Kディスプレイはお勧め
4Kディスプレイはお勧めです。特にTaleau Prep Builderを使っている人は4Kディスプレイをオススメします。画面の広いことで脳の負荷を下げられます。私は27インチの4Kディスプレイを使っていますが、32インチくらいあってもよかったなと思っています。
1920x1060ディスプレイのPrep画面では全体像が見えません。

3840×2120ディスプレイのPrep画面ではプロファイル画面を出しても全体像が見えて作業効率があがます。

立って作る練習はやるべし
本番は立って作成するのですが絶対に練習しておいた方が良いです。事前に台の高さも聞いていたので家にあるものでなんとか再現したやってみましたが、体制がきつくて座ってやるよりも作業効率が下がってしまったのでさらに手順を簡略化する必要があることが分かりました。
自作キーボードやっててよかった
貸出PCはハイスペックでありがたかったのですが、キーボードやトラックパッドは普段使うものと違うので慣れが必要でした。私は普段から自作キーボードとトラックボールマウスを使っているのでノートPCのキーボードとトラックパッドは一切使わずに、外付けのキーボードとマウスで作業することにしました。貸出PCが大きめサイズだったのでトラックパッドのあたりにキーボードとマウスを両方置けたのはラッキーでした。
生成AIはとても便利
サッカーについて全く詳しくなかったのでデータを見ていて出てきた疑問はすべて生成AIに聞いていました。分析する→生成AIに聞く→ググる→分析する→生成AIに聞く→ググる、といったサイクルでデータから見える定量的な情報と、定性的な情報を行ったり来たりして理解を深めていきました。カラーパレットの作成も手伝ってもらいました。これはとても役に立ちました。
逆に生成AIに分析をしてもらうようなことはしませんでした。まだ今の生成AIの実力値であれば自分でやった方が早く正確で腹落ちもしやすいと思ったからです。
とはいえ生成AIに分析をさせるのはよくないと言うつもりはありません。BIツールも生成AIもデータとの接点を作るツールなのでつかいどころ次第だと思います。少なくとも今回の取り組みにおいては分析で利用するのではなく、サッカーについての知見を引き出す装置として生成AIを使うのが最適だったというだけの話です。とはいえ生成AIがなかったらこの短時間で今回のレベルのアウトプットは出せなかったと思います。やはり生成AIはすごいです。
Viz Gamesを勝ち抜くためには
詳しくない分野の初めてのデータに対しても、あっと驚くインサイトひねり出し、魅力的なストーリーに仕立てて、分かりやすいデザインに落とし込む、そのためのスキルが必要になります。なのでそういう経験をいかに積んでおけるかが重要です。そしてその経験値獲得を加速するのにはコミュニティ活動がとても有効です。
私は2018年の年末にDATA Saberに認定され、2019年の1月から毎週Makeover Mondayというコミュニティプロジェクトに参画するようになりました。Makeover MondayはまさにViz Gamesと同じで、毎週新しいテーマとデータが与えられよりよい可視化を作るというプロジェクトです。見たこともないデータから面白いインサイトを絞り出したり、そのインサイトをもっとも効果的に示すための可視化を考えたり、そういった経験がすべてViz Gamesに生きていると思います。
また可視化のバリエーションを増やすのは簡単ではありません。人は自分の中にあるものしか表現できないので外部から取り込む必要があります。Makeover Mondayは同じデータを使って作られた他の人の作品を見ることもできるのでその点でも学びになります。また純粋に可視化表現力の幅を広げるのであればWorkout Wednesdayというプロジェクトに参画することをオススメします。こちらはお題のVizと元データが提示され、その作りを予想して再現をするという取り組みです。お題には非常に多様な表現が登場するので、継続的に取り組んでいるだけで可視化のレパートリーが広がりますし、高度な技術力も身に付きます(表計算やLoD、ダッシュボードアクションなど)。私もMakeover Mondayと同時期に毎週取り組むことでかなりスキルアップできました。
振り返ってみてもやはり日々の鍛錬が大事だと感じます。付け焼刃ではなかなかうまくいきません。私も今回の決勝のためにいくつかキーボードショートカットを憶えてみまたのですが、本番ではまったく出てきませんでした。緊張すると普段やっていることしか出せないんです。
来年もViz Gamesは開催されると思います。今回面白い!と思った人はぜひ参加してください。勝てようが勝てまいが得るものはとても大きいです。そしてやるならぜひ勝ちに行ってほしいので今からMakeover MondayやWorkout Wednesdayに取り組んでもらって基礎力を上げておきましょう!
●Makeover Mondayの公式サイト
●Workout Wednesdayの公式サイト
いずれも英語の取り組みですが日本人の参加者も最近は多いので気軽に始められると思います。とはいえ日本語のコンテンツが欲しいという場合は、以下のようなコミュニティプロジェクトもおすすめです。
●VizつくりまShow:Workout Wednesdayの日本版&速さを競うイベントです
●オープンデータスゴイ:自治体オープンデータをテーマに可視化作品を募集しています
●Tableau極める:Workout Wednesday日本版的な実務で役立つ実践的な問題が30問揃っています
●100本ノック:Tableau極めるよりもより初歩的な表現から応用表現まで幅広い問題が揃っています(今年のViz Gamesファイナリストのせーちゃんが作っています!)
Viz Gamesは仕事に役立つのか?
Viz Gamesってなんかすごいけど自分の仕事とは関係ないかな...と思う人もいるかなと想像しています。でもそんなことないです。とても役立ちます。仕事では初めて出会うデータの連続です。ステークホルダーの要望を想像しながら、データから仮説検証を重ねてインサイトをひねり出して、レポーティングしたりダッシュボードに仕上げたり、まさにViz Gamesで問われているデザイン、分析、ストーリーテリングの力が求められます。実務でバリバリやっている人ほどぜひ挑戦してほしいです。Viz Gamesには人を引き付ける魅力があります。あなたの分析力が次のデータピープルを生み出すきっかけになるかもしれません。
まとめ
振り返ってみて、やっぱり大変だったなとあらためて思いました。でもそれ以上に得るものは大きかったです。またこれまでコミュニティや仕事で培ってきたことがすごく生きたなと思います。私は呼び込みの時のキャッチフレーズとして「Tableauと出会ってはや3000日、培ってきたすべてを今日爆発させます」と言ってもらったのですが(これみんな自分で考えてます)、まさにそういう場になったなと思います。準備してきたものを出し切れれば満足と思っていましたが、そこに優勝という結果がついてきたことは純粋にうれしいです。来年のViz Gamesも楽しみです。是非みなさんもチャレンジしましょう!
This is VizGames!!
謝辞
最後に、素晴らしいイベントを企画運営してくださったSalesforceの方々、スービザーのKawauchiさん、最高の試合で最高に盛り上げてくれたKT、きむにぃ、審査をしてくださったエド、Chiakiさん、キジマさん、常に私に元気と勇気と学びを与えてくれるコミュニティのみんな、応援してくれた会社やコミュニティのメンバー、そしてサポートしてくれた家族に心から感謝します。特に妻には土日に子供たちを公園に連れて行ってもらって作業時間を確保してもらったり、何度も相談に乗ってもらってストーリー作りを助けてもらいました。多くの人のサポートのおかげで全力を出し切ることができました。本当にありがとうございました!



















