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PMが向き合う3つの壁 ― 決断できない・意見が変わる・言語化が苦手

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Last updated at Posted at 2026-05-03

TL;DR

  • PMは「進行を妨げてしまう関係者」と向き合う場面に必ず出会う
  • 相手を変えようとするより、自分の構え方を変える 方が現実的に効く
  • 共通する原則は「相手が動きやすい構造を作る」こと

対象読者

  • ステークホルダー対応に消耗しているPM
  • 「自分の伝え方が悪いのか」と悩んでいるPM
  • これからPMになる方

はじめに

PMをやっていると、どうにも噛み合わない関係者に必ず出会います。悪意があるわけではなく、本人なりにベストを尽くしている。それでも結果的にプロジェクトが進みづらくなる ― そういうケースです。

この記事では、現場でよく出会う3つのパターンと、 PM側ができる現実的な向き合い方 を整理します。

pm_three_walls.png

本記事は「相手を悪者にする話」ではありません。相手にも事情があり、構造的にそうなっている場合がほとんどです。PM側ができる工夫を中心に書いています。

【大前提】 相手を変えようとしない

最初に共有しておきたい前提があります。

他人を変えるのは極めて難しい。 これはPMをしていると何度も突きつけられる事実です。

ではどうするか。 自分の関わり方を変える しかありません。
これは諦めではなく、PMとして一番費用対効果が高いアプローチだと考えています。


【壁1】 決断ができない関係者

よくある場面

判断を求めると、「もう少し情報が欲しい」「もう少し検討したい」と返ってくる。気づくと開発工数を使った詳細な調査依頼が飛んでくる。

何が起きているか

決断できない人は、 判断の責任を取ることに不安がある 場合がほとんどです。情報が足りないのではなく、決められないから情報を求めている、というのが実態に近いです。

ここで開発リソースを使って徹底的に調べても、たいてい次の質問が来ます。情報量を増やしても、決断は生まれません。

PM側ができること

  • 調査の深さに上限を設ける
    「半日で調べられる範囲で出します」と先に宣言する
  • 判断材料を3パターンに絞って提示する
    選択肢が多すぎると人は決められない。A・B・Cと推奨を添えて出す
  • 決めない場合の影響を明示する
    「○日までに決まらないとリリースが○週間後ろ倒しになります」と数字で示す

ポイント:相手の決断を代行せず、決断しやすい状況を作る


【壁2】 意見が変わる関係者

よくある場面

ミーティングでA案で進めることに合意したはずが、数日後に「上司と相談した結果、B案にする」という連絡が来る。

何が起きているか

意見が変わること自体は、誰にでもあります。問題は 変わる過程が共有されないこと です。

多くの場合、当人は自分の意見ではなく上司の意見を伝えています。当人の中で消化されないまま降りてきた決定なので、理由を聞いても明確に答えられない、という状況が起きやすいです。

PM側ができること

  • 決定の背景に上司を巻き込む
    重要な意思決定の場には、最初から決裁者を呼ぶ。後出しを構造的に防ぐ
  • 議事録に「決定事項」と「決定者」を明記する
    後から覆そうとしたとき、何を覆すのかが共通認識になる
  • 覆されたときの追加コストを早期に提示する
    「再設計に○人日かかります」と数字で会話する。感情論を避ける

ポイント:人格を変えるのではなく、意見が変わりにくい構造を作る


【壁3】 言語化が苦手な関係者

よくある場面

要望はあるが、文章にすると要点がぼやける。チャットで何往復しても合意点が見えない。

何が起きているか

言語化が苦手な人は、 頭の中にあるイメージを文章に変換する作業自体に負荷がある ことが多い。テキストで詰めようとするほど、お互い疲弊します。

PM側ができること

  • 直接話す場をすぐに設ける
    5分の同期会話は、30分のチャットラリーより速い
  • PM側で要点を仮置きして投げ返す
    「○○ということですか?」と仮説で当てる。Yes/Noで返してもらえる質問の方が、相手の負荷が低い
  • 議事録を相手の言葉で書く
    PMの整理した言葉ではなく、相手が言った表現を残す。後で「そんなつもりじゃなかった」を防ぐ

ポイント:言語化を「相手の仕事」と切り分けず、PMが手伝う


共通する原則

3つの壁に対するアプローチには、共通点があります。

相手の能力や性格を変えようとせず、相手が動きやすい構造を作る。

これは前作の「開発者が進めやすくなることであれば、PMは何でもする」と同じ思想です。
向き合う相手が開発者か、ステークホルダーか、というだけの違い。

PMの仕事は調整であり、調整とは「人を変えること」ではなく「構造を整えること」だと考えています。

それでも難しいとき

正直に書くと、上記の工夫を尽くしてもうまくいかないケースはあります。その場合は以下の選択肢が残ります。

  • より上位の決裁者にエスカレーションする
    PMだけで抱え込まない
  • 役割を再設計する
    特定の人を矢面に立たせない構造に変える(ハブとなる別担当を立てる、など)
  • プロジェクトのスコープや体制そのものを見直す
    人ではなく、計画の方を動かす

これらは「相手を排除する」のではなく、 チーム全体が前に進める形を再設計する という発想です。

おわりに

進まない関係者に対して、 「あの人さえいなければ」 と思う瞬間は、PMをやっていれば誰にでもあります。私自身も何度もありました。

ただ、その思考に留まっている限り、状況は変わりません。 相手も困っている可能性が高い という前提に立って、自分の関わり方を設計し直す方が、結果的にプロジェクトも自分自身も楽になります。

これは前作とも繋がる話です。

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