TL;DR
- AI駆動開発を試した結果、1人のテックリード+GitHub Copilotで、Seasar2 + .NET Framework 3.5 のレガシーコード(数万ステップ)を約1週間でモダン化できた
- これを目の当たりにし、「人を管理するだけのPM」の存在意義は急速に薄れると確信した
- PMが生き残る道は3つ。筆者は「PM自身がAIを駆使してコードを書く」道を選んだ
はじめに
某SaaS企業でPMとして働いている。最近の業務ではコードをほとんど書いていない。本記事は、そんな立場の人間がAI駆動開発を一度試してみた結果として感じた「PMという職種への危機感」と、今後どう生き残るかについての個人的な考えをまとめたものである。
なお、本記事はあくまで筆者個人の経験と意見であり、所属企業の見解を代表するものではない。
現職でのPM業務の現状
現在勤めているSaaS企業では、AIの活用がまだ積極的とは言えない。そのため、PM業務がプロジェクト成功の鍵を握る構図が続いている。コードを書くエンジニアを管理する必要性が依然として高いからだ。
実際、いまだに300人月規模のプロジェクトがザラにあり、メンバーが10人以上アサインされることも珍しくない。AIの利用も限定的で、レビュー補助や定型コードの生成をAIに任せ、出力をコピペで使うといった「補助輪」レベルの運用にとどまっている。
AI駆動開発を試して受けた衝撃
少し前、検証目的でAI駆動開発を試してみた。
対象は、社内で「誰も全容を把握していない」とされていた数万ステップ規模のレガシーコードのモダン化である。検証条件は以下の通り。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 利用ツール | GitHub Copilot |
| 対象言語 | C# |
| 対象FW(Before) | Seasar2 + .NET Framework 3.5 |
| 対象FW(After) | .NET Framework 4.8(Seasar2は排除) |
| 担当者 | テックリード1名 |
| 所要日数 | 約1週間 |
しかも、
- 利用できるAIは社内制限により最新モデルではなかった
- 使用量にも上限があり、AIを潤沢に使えたわけではない
- 担当者本人もAI利用経験はほぼゼロだった
という条件である。それでもバージョンアップは完遂された。
C# / .NET Framework / Seasar2 という組み合わせは、社内でも「触れる人間が限られる」と認識されていた領域である。それを、AI利用経験ほぼゼロのテックリードが1週間で片付けてしまった。この事実を目の当たりにしたとき、「PMの時代は終わりに近づいているのではないか」と強く感じた。
今後PMが生き残る3つの道
今後、人を管理するだけのPMは存在意義を失っていくと筆者は考えている。1人のテックリードとAIだけで、設計・コーディング・テストまで難なくこなしてしまうからだ。要件定義は最後まで残るかと思っていたが、それすらテックリードが担えるのであれば、PMが介在する余地はほとんど残らない。
そうなったとき、PMが生き残る道は次の3つしかないと思う。
道1: AIをあまり活用しない会社に所属し続ける
これなら従来通りの業務が続けられる。ただし、そのような会社が今後の競争を生き残れるかと言われると、甚だ疑問である。短期的な避難先にはなり得ても、長期的なキャリア戦略としては脆い。
道2: 複数プロジェクトを俯瞰する管理職に進む
これまでのPMは「1プロジェクトを管理する」立場だったが、その役割の比重は明らかに減る。そこで、複数プロジェクトを横断的に見る、より上位の管理職にシフトする道がある。ただしこの道は、強いコミュニケーション能力と組織を動かすスキルが要求される。
道3: PM自身がAIを駆使してコードを書く
これが組織にとって最も重宝される動き方になると考えている。PMとしての要件定義能力を持ったうえで、コーディング・テストまで1人で完結できるからだ。極端に言えば、1人でプロジェクトが回る。
筆者はこの3つ目の道を選ぶことに決めた。道2もあり得たが、自分はコミュニケーション能力が突出しているタイプではないと自覚しているため、早々に諦めた。
まとめ
現在「人を管理するPM」として働いている人にとって、その存在意義は確実に縮小していく。
- 人の管理に振り切って、より上位のマネジメントを目指すか
- AIを駆使して自分自身が手を動かすプレイヤーに戻るか
このどちらかを選ばされる時代が、思っているより早く来るだろう。