MXレコードにIPアドレスを設定したとき、dig の結果の最後の「.」（ドット）は付いて表示される

（2024年1月22日 22時追記）
MXにIPアドレスを設定することを推奨する記事ではありません。試した限りでは、多くのDNS権威サーバサービスで、MXにIPアドレスを設定しようとするとエラーになりました。RFCに則ったMXの設定方法については沢山の情報がありますので、そちらをご確認お願いいたします。

「MXレコードのIPアドレスの最後の 「.」（ドット）」について、確認してみた。

元ネタ

下記記事で記述した「設定時はないが、digの結果には表示されている、MXレコードのIPアドレスの最後の 「.」（ドット）は、下記リンクなどから、MXレコードはFQDNが設定されることが想定されているためDNSの「ルート」を表す「.」と推測しています。」の確認

DNSのパケット構造

実際に手元のnamed にデータを加え、上記を参考に解釈した。

パケットデータ上は上記itmediaの記事のように圧縮が行われることがありますが、今回は展開された形となるように元データを作成しています。

Aレコードのパケットデータ

Aレコードのレスポンスパケットの該当部分のデータは以下

|A   |IN  |TTL(86400)|length(4)|192|168|0 |20|
|0001|0001|00015180  |0004     |c0 |a8 |00|14|

IPアドレスはバイナリ4バイト

MXレコードのパケットデータ

MXレコードのレスポンスパケットの該当部分のデータは以下

|MX  |(snip)|preference|len|mail    |len|example       |len|com   |
|000f|(snip)|000a      |04 |6d61696c|07 |6578616d706c65|03 |636f6d|00

データのどこにも「.」はない
FQDNの部分は、「長さ+文字列」の繰り返し。最後が00
表記上は、区切り文字「.」を追加、最後にルートラベル「.」追加して表示し「mail.example.com.」となる。

IPアドレスが設定されたMXレコードのパケットデータ

¹

IPアドレスが設定されたMXレコードのレスポンスパケットの該当部分のデータは以下

|MX  |(snip)|preference|len|192   |len|168   |len|0 |len|20  |
|000f|(snip)|000a      |03 |313932|03 |313638|01 |30|02 |3230|00

Aレコードの時のIPアドレスとは違い、「長さ+文字列」の繰り返し。最後が00
MXレコードなので、FQDN と解釈し、表記上は、区切り文字「.」を追加、最後にルートラベル「.」追加して表示し「192.168.0.20.」となる。

dig の表示結果

「192.168.0.20.」と最後に「.」（ドット）がついて表示されている

Windows 10 の nslookup では、最後の「.」（ドット）は付かない

「192.168.0.20」と最後に「.」（ドット）の表示はない

結論

コマンドdigのMXレコードの結果表示の最後の「.」は、コマンドdigの表記上表示されるだけで、データ上はない。

補足

実際のnamedの設定は以下です。
named の設定上は、下記のように、最後に「.」が必要です。

;
@       IN      SOA     ns.example.net. root.example.net.       (
        20240122        ;Serial No.
        10800   ;Refresh
        1800    ;Retry
        604800  ;Expire
        86400   ;Minimum
        )

        IN      NS      ns.example.net.
        IN      A       192.168.0.15                <- 試したAレコード
        IN      MX      10 mail.example.com.        <- 試したMXレコード

; Host Information
ns      IN      A       192.168.0.15
www     IN      A       192.168.0.15
mail    IN      MX      10 192.168.0.20.            <- IPアドレス設定したMXレコード

最後の「.」がないと、以下のように設定すると、MX = 192.168.0.20.(ドメイン) （今回の場合は、192.168.0.20.example.net.）が実際のデータとなります。

mail    IN      MX      10 192.168.0.20

これは、設定内容が、IPアドレスでなくても同様で、下記だと、mx.example.net ＋ (ドメイン)（今回の場合は mx.example.net.example.net.）が実際のデータとなります。（namedの設定の時によくやってしまう失敗）

mail    IN      MX      10 mx.example.net

ちなみに例の件は、権威サーバがAWS だったはずなので、補足のnamedの設定の話は関係ないはずです。
間違いのご指摘・コメント等ぜひよろしくお願い致します。

1. 2024年1月23日 16時 画像間違い修正 ↩