はじめに
Salesforceのチャットツールである、Chatter
ですが、今後新しいアップデートはあまりなくなりそうです。
Summer '26のリリース後に作成されるすべての新規OrganizationでChatterがデフォルト無効となる仕様変更が入りました。
この記事では、Salesforce Summer '26(2026年5〜6月リリース)において、管理者が特に注意すべき変更点を整理しています。
その記事では、Salesforce Summer '26による影響を調べている方に向けて、破壊的変更と実務への影響を中心に解説します。
設定の手を動かしたい方にも、設計の背景を理解したいSIerの方にも読んでいただける内容を目指しました。
Chatterのデフォルト無効化とSalesforceチャンネルへの移行
Chatterはいつから、どこで無効になるのか
Summer '26以降に新しく作成されるOrgでは、Chatterがデフォルトで無効化されます。既存のOrganizationへの影響はありません。
出典:Salesforce Break - Get Your Org Ready: Summer '26 Admin Highlights
具体的に影響を受けるのは以下のケースです。
- 開発用のDeveloper Edition Orgを新規で作成した場合
- サンドボックスを新たにプロビジョニングした場合(インスタンスによっては既存Orgへの影響を要確認)
- Partner Portalなどでデモ用Orgを新規発行した場合
もしChatterを使いたい場合は、設定から手動で有効化する必要があります。
有効化の手順:
- 設定(Setup)を開く
- クイック検索に「Chatter 設定」と入力
- 「編集」をクリック
- 「Chatterを有効化」にチェックを入れて保存
Case Feed、Experience Cloud(旧コミュニティ)、Chatter APIに依存したカスタム実装がある場合は、この設定が抜けると機能が動かなくなります。
正直、最初はリリースノートでサラッと書かれていたので気づきにくい変更だと感じました。
Chatterが無効になる理由:Salesforceチャンネルへの移行
Salesforceが新規OrgでChatterを無効にした背景には、Slackを活用した「Salesforceチャンネル」という新しいコラボレーション体験への移行があります。
Salesforceチャンネルは、レコードページ上にSlackを直接表示する仕組みです。
Summer '26以降に作成されたEnterprise EditionおよびUnlimited Editionの新規Orgでは、このSalesforceチャンネルが自動で有効化され、専用のSlackパネルがレコードレイアウトに追加されます。
Essentials、Starter、Pro Suite、Professional、Developer Editionのユーザーも、設定から手動でSalesforceチャンネルを有効化することが可能です。
ChatterとSalesforceチャンネルは排他ではなく、両方を有効化して使い分けることもできます。
たとえば、社内コラボレーションにはSalesforceチャンネルを使い、Experience Cloudの外部向けフォーラムにはChatterを使う、という構成が考えられます。
権限管理まわりの改善
Summer '26では、管理者が日々のメンテナンスで悩みがちな権限周りの機能が複数改善されました。
項目アクセスサマリーがオブジェクトマネージャーに追加
「この項目に誰がアクセスできるか、全プロファイルと権限セットを一覧で見たい」という要望は、Salesforce管理者ならほぼ全員が一度は持ったことがあるはずです。Summer '26でやっとその機能が来ました。
オブジェクトマネージャーの特定のオブジェクトを開き、サイドバーの「項目アクセス」をクリックすると、対象項目を選択してすべてのプロファイル・権限セット・権限セットグループの読み取り/編集アクセスを一覧で確認できます。
利用可能なエディション:Professional、Enterprise、Performance、Unlimited、Developer、Database.com
これまで各プロファイルや権限セットを個別に開いて確認する必要があったことを考えると、監査や権限見直し作業がかなり楽になります。大規模Orgの管理者には特に刺さる改善だと思います。
権限の依存関係がわかりやすくなった
拡張プロファイルビューで権限を変更すると、それに連動して間接的に変更される権限があります。これまではそのことに気づかないまま保存してしまうケースがありました。
Summer '26では、保存前に「この変更によって他にこれらの権限も変わります」という確認画面が表示されるようになりました。権限の意図しない変更を防ぐ仕組みとして、実務では地味に助かると感じています。
出典:Salesforce Ben - Salesforce Summer '26 Release: Everything You Need to Know Before Go-Live
キューの権限階層へのアクセス付与が選択式に
キューに割り当てられたレコードが、キューメンバーの上位ロール(上長)にも自動で共有される仕様がありましたが、Summer '26ではこの動作をキュー単位でオン/オフできるようになりました。
新設された「権限階層を使用してアクセス権を付与」設定の初期値は以下の通りです。
- 既存のキュー:有効(現在の動作を維持)
- Summer '26以降に作成する新規キュー:無効
共有設定ページでOrg全体のデフォルト動作も設定できるため、新規キュー作成のたびに個別設定を変える手間が省けます。
その他の注目アップデート
ヘルスチェックの週次通知がデフォルト有効に
ヘルスチェックに新しい監視シグナルが追加され、デフォルトで管理者への週次通知が届くようになりました。「ヘルスチェックは存在を知っているけど、定期的に確認できていない」という方には、自動で気づかせてくれる仕組みが入った形です。
アクセシビリティ更新(WCAG 2.2対応)はSummer '26で強制適用
ページヘッダー・モーダルウィンドウ・日付ピッカー・ポップオーバー・レコードヘッダーなど、画面ズーム200〜400%時の表示改善が複数実施されました。これらはSummer '26で自動適用されるリリースアップデートです。
設定のリリースアップデートから事前にテストし、問題がないことを確認しておくことを推奨します。
つまずきポイント・注意事項
①Salesforceチャンネルを使うにはSlackとの接続が前提
Salesforceチャンネルを活用するにはSlackとSalesforceが接続されている必要があります。
Slackライセンスを持っていないOrganizationでは、Salesforceチャンネルの恩恵を得にくい点に注意が必要です。Slackを導入していない場合は、引き続きChatterを手動で有効化して使う方がシンプルです。
②既存キューのアクセス設定は変わらない(が、新規作成時は要設定)
既存のキューの動作はSummer '26後も変わりません。
ただし新規キューを作成する際は「権限階層を使用してアクセス権を付与」がデフォルトで無効のため、これまでと同じ動作を期待している場合は意識的にオンにする必要があります。キューをよく作成する管理者の方は、チェックリストに加えておくと安心です。
③リリースタイミングはインスタンスによって異なる
Summer '26の本番リリースは2026年5月15日から6月中旬にかけて段階的に実施されます。
自組織のインスタンス名をSalesforceメンテナンスカレンダーで確認することで、正確なリリース日を把握できます。
出典:Salesforce Admins - Admin Release Countdown: Get Ready for Summer '26
まとめ
Summer '26の管理者向け変更点をまとめると、以下のポイントが特に重要です。
- Chatterが新規Orgでデフォルト無効に:Case Feed、Experience Cloud、Chatter APIを使っている場合は必ず手動で有効化する
- Salesforceチャンネル(Slackパネル)がEnterprise・Unlimited Orgで自動有効化:SlackとSalesforceの接続が前提
- 項目アクセスサマリーの追加:権限監査の作業時間を大幅に削減できる期待大
- キューの権限階層アクセスが選択式に:新規キュー作成時は動作を意識的に設定する
- アクセシビリティ更新は強制適用:事前にサンドボックスでテストしておく
全体的に「権限管理の可視化と細粒化」という方向性が感じられるリリースだという印象を持っています。
管理者が日々悩まされる作業の手間を減らしつつ、セキュリティを高める改善が着実に積み重なっている点は評価したいです。
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