はじめに
OAC(Oracle Analytics Cloud)では、分析資産をまとめてパッケージ化し、環境間で移行できる「Data Visualization Application(DVA)」のエクスポート/インポートが利用できます。本記事では、OACの公式ドキュメントの内容をもとに、DVAに含められるアイテム、依存関係の扱い、インポート時の配置や上書き動作、オプション設定、オブジェクトIDの考え方、別名活用方法などをわかりやすくまとめます。
注意:本記事はOAC January 2026 Updateを元に記述しています。
対象読者
- OACでワークブックやデータセット、データフローなどを利用している方
- 分析資産を他環境へ移行・共有したい方
- DVAエクスポート/インポートの基本を把握したい方
DVAとしてエクスポートできるアイテム
DVAのエクスポートは、以下のアイテムから開始できます。
- ワークブック
- データフロー
- シーケンス
- フォルダ
ポイント:
- フォルダは、階層のどこかにワークブックが含まれている場合にのみエクスポート可能です。
- フォルダをエクスポートすると、その中に含まれるすべてのアーティファクト(種類にかかわらず)が対象になります。
エクスポート時の依存関係の扱い
DVAには、以下の依存アイテムが含まれる場合があります。
- ワークブック
- データセット(ファイルベースおよび接続ベース。サブジェクト領域は対象外)
- 接続
- データフロー
- シーケンス
例:
- データフローをエクスポートすると、当該データフローと、すべての入力・出力データセットが含まれます。これらに依存するその他のアーティファクトも含まれます。
- ワークブックをエクスポートすると、ワークブックと、そのワークブックで使用されるデータセットが含まれます。これらに依存するその他のアーティファクトも含まれます。
- ワークブック内で使用しているデータセットがデータフローの出力である場合、ワークブック、データセットに加えて、そのデータセットを作成したデータフローも含まれます。必要に応じてその他の依存関係も含まれます。
- シーケンスをエクスポートすると、シーケンス本体に加え、それに含まれるデータセット、シーケンス、データフローが含まれます。必要に応じてその他の依存関係も含まれます。
インポート後、アイテムはどこに配置されるか
- ホームページなど、カタログパスが特定できないページからDVAファイルをインポートした場合、アイテムは「/マイフォルダ」に配置されます。
- カタログで特定のフォルダに移動してからインポートした場合、DVA内のすべてのアイテムはその選択したフォルダに配置されます。

インポート時の上書きメッセージについて
インポート時に「XXX.dvaには、既存のコンテンツと同じ名前のコンテンツが含まれます。続行して既存のコンテンツを置き換えますか。」というメッセージが表示される場合があります。
これは、インポート先に同名のアイテムが存在しており、続行するとそれらが上書きされることを意味します。
- 上書きした場合、対象アイテムのオブジェクトIDは保持されます。
- 上書きを避けたい場合は、新しいフォルダを作成してその中にDVAをインポートすると、DVA内のすべてのアイテムがそのフォルダ内にまとまります。
エクスポート時にオプションで含められるアイテム
DVAエクスポート(正確にはDVA作成時)にはいくつかのオプションがあります。そのうち、含めるアイテムに影響するのは「データを含める」のみです。
- 「データを含める」を有効にすると、ファイルベースまたは接続ベースのデータセット、接続、およびそれらの依存関係が含まれます。
- これ以上の粒度でエクスポート対象アイテムを制御する方法はありません。
- なお、エクスポートに接続が含まれる場合、接続認証情報(通常はパスワード)は含まれますが、ADW(Autonomous Data Warehouse)接続のウォレットは含まれません。
オブジェクトIDとは?インポートへの影響
オブジェクトIDは、接頭辞・ピリオド・オブジェクト名からなる2部構成の文字列です(例:.dataset1)。
接頭辞はGUID(グローバル一意識別子)で、DVAをインポートすると、対象システムはデータセットなど必要なアイテムに対して新しいGUIDを生成します。
同じDVAでインポートされる他のアイテムは、参照先が新しいオブジェクトIDを指すように更新されます。
- 上書きが行われる場合、上書き対象アイテムのオブジェクトIDは保持されます。
One Catalog機能(データセット・データフロー・シーケンス・接続がカタログ外で扱われていました)が導入されるより前は、オブジェクトIDの接頭辞は作成ユーザーのユーザーIDでした。DVAをインポートしたユーザーがそのオブジェクトを作成した扱いとなり、以下のような事象が発生する可能性がありました。
- 例:user2がdataset1を含むDVAをインポートすると、対象のオブジェクトIDは'user2.dataset1'となり、元の環境での'user1.dataset1'とは異なるIDになります。同一DVAでインポートされた他のアイテムは、この新しいIDを参照するように更新されます。
- 影響例:
- すでにターゲット環境に'user2.dataset'が存在する場合、インポートで上書きされます。一方、'user1.dataset'があったとしてもそのままです。これにより、データセットや接続の複製が意図せず作成されることがあります。
- 元作成者と異なるユーザーがインポートすると、期待しない結果になることがあります。
同じDVAを異なるフォルダにインポートした場合
- 同一のDVAを2つの異なるフォルダにインポートすると、同じアイテムの重複版が作成されます。重複したアイテムは互いに異なるオブジェクトIDを持ちます。
オブジェクトIDは「'1edad2a0-952a-4934-9df2-1d2c9b235a88'.'World Cities Data'」

オブジェクトIDは「'2abd9bfc-e858-404a-baf5-57ea32a76496'.'World Cities Data'」

DVAは必ずフォルダにインポートする必要があるか
- はい。すべてのDVAインポートは、いずれかのフォルダをターゲットにして実行されます。
既存アイテムを新規インポートしたアイテムに差し替えたい場合(別名の活用)
新しくインポートしたアイテムは新しいオブジェクトIDを持ちます。その結果、既存の参照が切れる場合があります。これを解消するために、旧IDに対する別名を新アイテムに設定できます。
例:
- ワークブックが 'username'.'MyDataset' を参照していたとします。
- 何らかの理由でMyDatasetを再作成すると、新しいGUID(例:'b5ea442f-cb70-4dfa-8d34-2bf6d8c3313d'.'MyDataset')が割り当てられ、旧IDを参照しているワークブックはリンク切れになります。
- 新しいデータセットに対し、旧オブジェクトID('username'.'MyDataset')の別名を追加すると、ワークブックは新しいデータセットを旧IDで見つけられるようになり、再び動作します。
操作手順の概要:
まとめ
- DVAは、ワークブック、データフロー、シーケンス、(ワークブックを含む)フォルダからエクスポートできます。
- 依存関係(データセット、接続、データフロー、シーケンス)は自動的に含まれます。
- インポート先が明確でない場合は「/マイフォルダ」に配置されます。フォルダを選択してからインポートすると、そのフォルダに展開されます。
- 同名上書き時はオブジェクトIDが保持されます。上書きを避けるには新規フォルダへインポートします。
- エクスポートの粒度は「データを含める」でのみ制御できます。ADW接続のウォレットは含まれません。
- オブジェクトIDはGUIDベースで、同一DVA内で参照は自動更新されます。過去のユーザーIDベースのIDには注意が必要です。
- 重複インポートは別オブジェクトIDの複製を生みます。
- 参照が切れは別名機能で解消できます。
本記事の内容をもとに、実際の環境でDVAのエクスポート/インポートを試す際は、上書きや依存関係の取り扱いにご注意ください。





