はじめに
はじめまして、@tuduruと申します。(初投稿です。)
私は、今年2023年にゲーム会社に新卒として入社させてたいただきました。
TOEICのL&Rで810点を取得しています。
この記事では、日常的に英語でやりとりをすることがないゲーム会社で業務していく中で「英語は完璧である必要はない」と考えるまでに至った経緯をお話していきたいと思います。
「プログラムで英語を使うのだから、英語力は高くないといけないのでは?」 と考えている方に、1つの意見として参考にしていただけると幸いです。
(※この記事に記載した内容に「それは違う」と思われる点もあると思います。あくまで新卒のゲームプログラマとして働き始めた1人の意見として捉えていただけると幸いです。)
この記事の主な対象者
- 将来ゲームプログラマになりたいと考えている方
- 英語力が高くないといけないと考えているプログラマの方
ゲームプログラマが英語を使うタイミング
そもそも、日常的なコミュニケーションで英語を使用しないゲームプログラマが、英語を使うタイミングはどのようなときなのかということからお話ししたいと思います。私の業務では、英語を使用する主なタイミングは以下のときでした。
- プログラムのコードを書くとき
- アセット(ゲームで使用するデータ)の名前を付けるとき
- プログラミングに関して知りたい情報を調べるとき
上記の3つの中で1番気を付けて英語を使用しないといけないのは、何番だと思いますか?
私は、2の 「アセット(ゲームで使用するデータ)の名前を付けるとき」 であると考えています。
理由は、自分の書いた英語を他の人たちに見られることが1番多くあるからです。
「英語は完璧でなくてよい」と思うようになった経緯
上の章でお話しした、私が1番気を付けて英語を使用するタイミングと考えている「アセット(ゲームで使用するデータ)の名前を付けるとき」に起きたとある経験から、私は「英語は完璧でなくてよい」と考えるようになりました。
そのため、その「とある経験」について、お話していきたいと思います。
デザイナーのAさんが、土煙のエフェクトを作成してくださっていたのですが、英語のファイル名を付けようとしており、私は相談を受けました。
(※実際には「土煙のエフェクト」ではなかったのですが、プロジェクトの内容バレ防止のため、題材に用いる英語の話題を「土煙のエフェクト」とします。)
Aさんは「smoke」という単語を使用しようとしていたのですが、「smoke」は以下のような意味であり、「土煙」を表すのに適切な単語ではありませんでした。
the grey, white or black gas that is produced by something burning
参考文献:
Oxford Learner's Dictionaries, "smoke_1 noun - Definition, pictures, pronunciation and usage notes | Oxford Advanced Learner's Dictionary at OxfordLearnersDictionaries.com", https://www.oxfordlearnersdictionaries.com/definition/english/smoke_1?q=smoke, (参照 2023-11-25)
燃えることで発生する黒や白、グレーのガスに対して「smoke」という単語が使われるので、土煙は「dust cloud」という単語を使うのが意味的に適切でした。
そのため、私はAさんに「「dust cloud」じゃない?」と教えました。しかし、これが問題の始まりでした。
Aさんが作ったエフェクトのデータを、Aさんや、他のチームメンバーの方々が見るのですが、Aさんを含めた多くの方々が下画像のような状態になってしまいました。
「煙」という日本語に対応する、わかりやすく認知度が高い英語は「smoke」であったため、他の方々がAさんが作ったデータを探すために、ファイルの名前検索をしようとしたときに「smoke」という単語を使用し、ファイルが見つけられないという状態になってしまったのです。
これにより、ファイル名確認のための余計なコミュニケーションが発生するとともに、扱いにくいデータが生まれてしまいました。
この経験のような、自分の書いた英語の意味を相手がすぐに理解できず、チーム全体に悪影響を及ぼしてしまうという経験があったため、私は 「正しい完璧な英語」ではなく、「伝わる英語」を使おうと考えるようになりました。
ゲームプログラマに求められる英語とは
私は、英語の名前を付けるときに求められる1番大事な条件は 「他の人に内容が伝わる英語を使う」 だと考えています。具体的には、 「短めの認知度が高い英語」 を使うとよいと考えています。
ゲームプログラマは、ゲームを作るためにデザイナーやプランナーなど、プログラマ以外の職業の方々と連携して作業を行います。そのため、デザイナーや、プランナーなど、普段の作業の中で絶対に英語に触れるわけではない職業の方々に自分の書いた英語を見ていただくことが多くあります。
英語の正しさを求めて、他の人に内容が伝わらない英語を書くと、その英語を理解するために使う時間が発生し、チーム全体の時間を時間を奪うことにつながってしまうので、とにかく伝わる英語を使うことを心がけると良いと私は考えます。
「伝われば良いのなら」という考えの注意点
上の章で「伝わる英語を使うと良い」というように意見を述べましたが、ローマ字表記を使うのはできる限りやめたほうが良いと思います。
理由は下の2つがあります。
①表記ゆれが起こりやすい
例えば、「週末」という言葉をローマ表記で表そうとすると、下記のパターンが考えられます。
- shumatu
- shumatsu
- shuumatu
- shuumatsu
- syumatu
- syumatsu
- syuumatu
- syuumatsu
ローマ字表記に使用する種類によって、このように多くのパターンが発生します。
そのため、人によって表記が違うことが起こりやすく、使わない方が良いと私は考えます。
②同音異義語がある
例えば「発送」を「send」と表現すると、「送ること」であるということは伝わります。
しかし「hassou」とすると、「hassou」とは「発送」なのか「発想」なのか、それとも「八層」なのかというように、どの単語を表しているかわかりづらくなってしまいます。
そのため、間違えた情報が伝わる可能性があるローマ字は使わない方が良いと私は考えます。
英語力が役に立ったタイミング
タイトルに「英語は完璧でなくてよい」と記載しましたが、もちろん英語力があることで役に立つことも多くあります。
個人的に一番役に立っていると感じているのは、プログラミングで知りたいことを検索するときです。
ゲーム開発では、実装するものがゲームの内容に合わせたものになるため、かなり独特なものを実装することが多くあります。
そのため、どのように実装するかということを検索することがとても多くあります。
検索をする際に英語力があることで、広範囲から多くの情報を収集することができ、エラーの解決や、実装方法がわからないという問題をより多く解決することができています。
例えば「土煙をスポーンする」ということについて調べたいとなったときに、「土煙」という単語を表現する英語として「dust cloud」であるということがわかり、適切な情報を調べやすくなります。さらに、英語を母国語としていない人が書いた記事には「smoke」「dust smoke」という単語が使われている可能性があることも想像でき、より広い範囲から多くの情報を調べることができます。
「スポーンする」ということに対しても同様に、「spawn」「create」「make」など、多くの表現方法があり、より広範囲から情報を収集できます。
結果として、「土煙をスポーンする」ということに関する記事を多く見ることができ、土煙をスポーンする方法を見つけられる可能性が上がると私は考えます。
まとめ
私は、完璧な英語を求めたことでチームに悪影響を与えた経験から、デザイナーやプランナーなど、チームの方々が理解しやすい認知度が高い単語をできる限り使おうと考えるようになりました。
認知度が高い単語というものは、英語力があまりなくても知っている単語を指すので、ゲームプログラマの方は英語力が強く求められるわけではないと私は感じました。(ただし、日常的なコミュニケーションで英語を使うようなゲーム開発環境にいらっしゃる場合は必要だと思います。)
おわりに
私はチームでゲームを作成した経験がなかったこともあり、ゲーム会社に入社させていただくまでは「英語力ないと、変な英語をプログラムに使って、まわりの人にプログラムの内容誤解されそう」と思っており、すごく不安でした。
そのため、この記事が少しでも、私と同じような考え方を持っている方の参考になると幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。