はじめに
AI技術、特に大規模言語モデル(LLM)の進化は目覚ましく、日々新しい用語が登場しています。
「最近よく聞くMCPって何?」「RAGとファインチューニングはどう違うの?」といった疑問を持つエンジニアの方も多いのではないでしょうか。
この記事では、AI開発に携わるなら最低限押さえておきたい基本用語から、2025年現在の最新トレンドまでを、具体的な利用シーンを交えて整理しました。
1. コア・テクノロジー(基礎知識)
まずは、すべてのAI対話の土台となる基本的な用語です。
LLM (Large Language Model / 大規模言語モデル)
大量のテキストデータを学習し、人間のように自然な文章を生成・理解するAIモデルのことです。
具体例: * GPT-4, Claude 3.5, Gemini 2.0 などのモデル本体。
「新製品のキャッチコピー案を出して」といったクリエイティブな依頼や、プログラミングコードの生成。
Token (トークン)
AIがテキストを処理する際の最小単位です。
具体例: * 英語では「Apple」は1トークンに近いですが、日本語の「りんご」は2〜3トークンとして計算されることがあります。
APIの利用料金はこの「トークン数」で決まるため、コスト管理において非常に重要です。
Context Window (コンテキストウィンドウ)
AIが一度のやり取りで「記憶・把握」しておける情報の長さのことです。
具体例: * 窓が小さいモデル:短い会話しか覚えられず、長いソースコードを渡すと先頭を忘れてしまう。
窓が大きいモデル(例:Gemini):数冊の技術書や巨大なプロジェクトの全コードを一度に読み込ませて、横断的な質問が可能。
Hallucination (ハルシネーション / 幻覚)
AIが事実に基づかない情報を、あたかも真実かのように回答する現象です。
具体例: * 存在しないライブラリの使い方を教えられたり、架空の歴史上の人物について詳細に語られたりすること。
2. 接続と拡張(エコシステム)
AIを「単なるチャット」から「実用的なツール」へ進化させる技術です。
MCP (Model Context Protocol) ★最新トレンド
AIモデルが、ローカルファイルやデータベース、外部ツールと接続するための標準的な規約です。Anthropic社によって提唱されました。
具体例: * 従来: AIにExcelを読ませるには毎回アップロードが必要。
MCP活用: AIに「MCPサーバー」を介して権限を与えるだけで、AIが直接あなたのPC内の特定フォルダを読み取ったり、SQLを実行してデータを集計したりできるようになります。
RAG (Retrieval-Augmented Generation / 検索拡張生成)
AIに最新の外部データや社内ドキュメントを参照させてから回答させる手法です。
具体例: * 「社内の最新の旅費精算規定を教えて」という質問に対し、AIが社内Wikiから最新のPDFを探し出し、その内容に基づいて正確に回答する。
3. 応用とアーキテクチャ
AIをどのように動かすか、という構成に関する用語です。
AI Agent (AIエージェント)
目標を与えられると、自ら手順を考え、ツールを使ってタスクを完遂する自律的なシステムです。
具体例: * 「来週の出張の準備をして」という指示に対し、カレンダーを確認し、飛行機とホテルを検索し、候補をSlackで送ってくるといった一連の行動。
Multi-modal (マルチモーダル)
テキストだけでなく、画像、音声、動画などを同時に処理できる能力です。
具体例: * 手書きの設計図の写真を撮って「これをReactのコードにして」と依頼する。
会議の動画を読み込ませて、誰が何を言ったか要約させる。
4. 開発・運用(MLOps / パラメータ)
実際に開発・調整する際に頻出する用語です。
Vector Database (ベクトルデータベース)
情報を「意味の近さ」で検索できるように保存するデータベースです。
具体例: * RAGの裏側で使用。「犬」と「ゴールデンレトリバー」を、単なる文字の一致ではなく「似た意味の概念」としてAIが高速に見つけ出すために不可欠です。
Temperature (温度パラメータ)
AIの回答の「ランダム性(創造性)」を制御する数値です。
具体例: * 0.1 (低め): 正解が決まっているタスク(コード生成、データ抽出)に向いている。
0.9 (高め): アイデア出しや小説の執筆など、意外性が欲しい場合に向いている。
まとめ
AI開発の世界では、モデル単体の性能(LLM)だけでなく、それをどう外部と繋ぐか(MCP/RAG)、どう動かすか(Agent)という視点が重要になっています。
この記事が、これからAIを活用した開発を始める方の手助けになれば幸いです。
参考リンク
Model Context Protocol (MCP) 公式ドキュメント
https://modelcontextprotocol.io/
Anthropic による紹介ブログ
https://www.anthropic.com/news/model-context-protocol