はじめに
2025 年の AWS re:Invent にて、待望の Database Savings Plans(以下、DB‑SP) が発表されました。
これにより、EC2 / Fargate / Lambda に限定されていた Savings Plans が、RDS / Aurora / DynamoDB などの DB 領域にも適用可能となりました。
本記事では、従来の Reserved Instances(RI)と比較しながら、DB 利用におけるコスト最適化のベストプラクティスを解説します。
DB‑SP の概要
DB‑SPは、AWS のマネージド DB サービスを対象とした、新しい料金割引制度です。1 年間、時間あたりの使用料($/hour)をあらかじめコミットすることで、対象サービスに横断的に割引が適用されます。
対象サービスに以下が含まれます。
- Aurora(MySQL / PostgreSQL)
- RDS(全エンジン)
- DynamoDB(オンデマンド / プロビジョンド)
- ElastiCache
- DocumentDB / Neptune / Keyspaces / Timestream / DMS
ただし、割引適用には公式の対象条件(エンジン/インスタンス/構成など)を満たす必要があるので事前に公式ドキュメントを参照ください。
DB‑SP と RI の違い(早見表)
| 項目 | DB-SP | Reserved DB Instances(RI) |
|---|---|---|
| 対象 | 対象サービスに横断適用(Aurora, RDS 等) | 購入した DB インスタンスにのみ適用 |
| 割引率の目安 | 最大約 35%(構成による) | 最大 ~69% 割引可能(例:3年全額前払い) |
| 契約期間 | 1 年固定 | 1 年 または 3 年 |
| コミット方法 | 時間あたりドル金額ベース | インスタンス単位 |
| 柔軟性 | 高い(インスタンス/エンジン/リージョン変更可) | 基本固定(Convertible RI は一部変更可) |
| サーバーレス対応 | 対応(Aurora Serverless v2 等) | 非対応 |
| 支払方法 | 月額課金のみ | 月額/前払いオプション有 |
実践例:DB 構成別コスト比較
例:以下の構成を 1 年間利用した場合(東京リージョン)
- Aurora PostgreSQL(db.r6g.large、マルチ AZ)
- 月 730 時間想定
| プラン | 概算月額(USD) | 年間総額(USD) | 備考 |
|---|---|---|---|
| オンデマンド | 約 $245 | 約 $2,940 | 最も高コスト |
| RI(1年,全前払) | 約 $175 | 約 $2,100 | 最大割引だが変更不可 |
| DB‑SP(10 USD/h) | 約 $195 | 約 $2,340 | 柔軟性あり、他サービスと共有可能 |
※上記は概算となります。
使い分け戦略
| パターン | 推奨プラン | 理由 |
|---|---|---|
| プロダクション/固定構成 | RI | 最大割引を重視、構成が変わらない |
| 開発/テスト/構成頻繁変更 | DB‑SP | 柔軟な適用が可能、リージョンやインスタンス変更対応 |
| マイクロサービス/複数DB混在 | DB‑SP | Aurora + DynamoDB + ElastiCache などで共有可能 |
注意点・補足
- DB‑SP は 1 年契約のみ。現時点で 3 年契約の提供はなし
- コミットを超えた分はオンデマンド料金で請求される
- 既存の RI 保有中でも、新しいワークロードには DB‑SP を併用できますが、同一ワークロードに RI と DB‑SP が同時適用されるかは公式に明示されておらず、AWSサポートへ確認が必要です
まとめ
DB‑SPの登場により、AWS データベースサービスのコスト最適化は「RI 一択」から「状況に応じた選択」へとシフトしました。
DB‑SP は「柔軟な割引適用」が最大の特徴であり、RI との併用も視野に入れることで、より戦略的なコスト設計が可能になります。
2025 年以降、変化の激しいアーキテクチャやマイクロサービスの普及に伴い、DB コスト最適化の鍵を握る存在になるでしょう。