「Windows Subsystem for Linux上のUbuntu上のRuby」のメモです。やったのは下記。
- Windows 10でWSL(Windows Subsystem for Linux)を有効化してUbuntuインストール
- Ubuntu上でrbenvインストール
- rbenvを使ってRubyインストール
- bundlerを使ってgem(ライブラリ)インストール
ローカルにRuby環境を整えておこうと思ったのだけど、これまでよく使っていたPerlではWindows固有の問題で手間取ることがあったので、「Windows版Ruby」「Windows Subsystem for Linux上のUbuntu上のRuby」の両方を用意することにしました。これは後者の作業メモということになります。
Windows 10上にUbuntuを導入
「【WSL入門】第1回 Windows 10標準Linux環境WSLを始めよう:ITの教室 - @IT」の「まずはWSLとディストリビューションをインストールしよう」の項に従って、以下を行います。
- [コントロールパネル]-[アプリ]-[プログラムと機能]-[Windowsの機能]ダイアログを開き、[Windowsの機能の有効化または無効化]をクリックしてダイアログを開き、そこで「Windows Subsystem for Linux」にチェックを入れる。再起動が要求されるので、再起動を実行すること。
- Microsoft Storeを開き、「Ubuntu」を検索してインストールする
- Ubuntuが起動したら、ユーザー作成のため、ユーザー名とパスワードを入力する。
実はいきなり2.をやろうとして、Ubuntuのインストールが終わらないなと思ったら、「WSLが有効になっていません」という旨の英語メッセージが表示されていました。1.からやり直せば、特に問題はありませんでした。64bitマシンで、Windows Updateも行われている(バージョン1803以降になっている)環境であれば、問題は起こらなそうに思います。
Rubyのインストール
Ubuntuにgitとrbenvを入れる
rbenvを使用してアプリケーションのRubyバージョンを選択し、開発環境と本番環境が一致していることを確認してください。rbenvをBundlerと連携させて、簡単に万全のRubyアップグレードができるようにしてください。(rbenv/README.md先頭部より、意訳)
...ということで、RubyのインストールにはRubyバージョンの管理・切り替えをしてくれるらしいrbenvを使うことにします。rbenvのインストールは、「Basic GitHub Checkout」に従うことにします。
Ubuntuにログインした状態で、まずこれに必要なgit
を下記コマンドでインストールします。
sudo apt install git
sudo
を使うときにはパスワードを聞かれることがあるので、その時はUbuntuインストール時に設定したパスワードを入力します。
次に、前述の「Basic GitHub Checkout」手順に従って、以下のコマンドでrbenvの最新版を取得します。
git clone https://github.com/rbenv/rbenv.git ~/.rbenv
パスを通すため、以下を実行します。前述の手順には各環境用のコマンドが列記されていますが、Ubuntu Desktop用の以下のコマンドを使います。
echo 'export PATH="$HOME/.rbenv/bin:$PATH"' >> ~/.bashrc
以下を実行します。これはUbuntu on WSL上でrbenv init
した際の出力に従った作業です。
echo 'eval "$(rbenv init -)"' >> ~/.bashrc
ここまで来たら、一度exit
してUbuntuを終了し、再度スタートメニューなどから呼び出します。ここまで更新してきた.bashrc
が読み込まれて、パスなどが反映された状態になります。
この時点で、rbenvはinstallコマンドを持っていません。これを使えるようにするために、Optionalとなっていruby-buildもインストールします。ruby-buildのInstallation項にあるrbenvのプラグインとしてのインストール方法に従って、以下の二行を実行します。
mkdir -p "$(rbenv root)"/plugins
git clone https://github.com/rbenv/ruby-build.git "$(rbenv root)"/plugins/ruby-build
UbuntuにRubyを入れる
まずRubyインストール時に必要となるパッケージを入れておきます。実際に、これをせずに後述のrbenv install
を進めていこうとすると、まずコンパイラ等々がない旨のエラーが出るので、build-essential
パッケージをインストールします。
sudo apt install build-essential
また、この後インストールを進めるとコンパイル時に、SSL関連等のパッケージが必要、以下を実行するようにとの旨のエラーが出るので、これもやっておくことにします。
sudo apt-get install -y libssl-dev libreadline-dev zlib1g-dev
これでrbenvによるRubyのインストールが可能になります。以下を実行して、利用できるRubyバージョンを確認します。
rbenv install --list
表示された中で、jruby
等の接頭辞がつかないものでは、2.6.3
と2.7.0-dev
が新しそうでした。Ruby言語の公式サイトを見ても、2.6.3
が最新版のようだったので、これをインストールすることにします。
rbenv install 2.6.3
このコマンドが成功すれば、インストール完了です。
もし--list
した時点で最新版のRubyが表示されないようであれば、rbenvが古いのではないかと思います。その時は以下のように.rbenv
ディレクトリに移動してgit pull
することで、rbenv自体を更新すると、表示されるようになるかもしれません。
cd ~/.rbenv
git pull
cd ~
通常利用するRubyバージョンを指定する
この時点でruby -v
等すると、次のようなメッセージが出ます。
rbenv: ruby: command not found
The `ruby' command exists in these Ruby versions:
2.6.3
rbenv globalの手順に従って以下を実行することで、通常利用するRubyバージョンを指定しておきます。
rbenv global 2.6.3
以下を実行して、ruby
コマンドを実行できること、2.6.3班が動作することを確認します。
ruby -v
以下のような表示が出ればOKです。
ruby 2.6.3p62 (2019-04-16 revision 67580) [x86_64-linux]
以降、明示的に利用バージョンが指定されたディレクトリ以外では、rbenv global
で指定したバージョンのrubyが呼び出されます。
Rubyインストール以降の話
bundlerのインストール
Rubyの様々なライブラリは「GEM」と呼ばれていて、gem
コマンドでインストールできるようです。しかし前に読んだように、rbenvのドキュメントでは「Bundlerと連携させ」ることを推奨していました。Bundlerがインストールされていることを確認します。以下のコマンドを実行して、インストール済みのgemを確認します。
gem list
先頭からアルファベット順でインストール済みのgemが表示されます。Ubuntu on Windows上にインストールしたRuby 2.6.3では次のような表示で、bundler
がインストール済みなのを確認できました。
*** LOCAL GEMS ***
bigdecimal (default: 1.4.1)
bundler (default: 1.17.2)
cmath (default: 1.0.0)
(以下略)
他のRubyバージョンをインストールしていてbundlerがインストールされていなかった場合は、Bundlerの「Getting started」に沿って、以下のコマンドを実行します。
gem install bundler
これでbundlerを使ってgemをインストールできます。ただしその前に、次の項も確認しておいてください。
Rubyやgemの追加時の作業
rbenvでRubyを管理している場合は、次のタイミングではrbenv rehashをします。
- 別のバージョンのRubyを追加した
- コマンドを提供するgemを追加した
もし前の項でbundlerをインストールした場合、このgemはbundler
やbundle
などのコマンドを提供するので、上記作業が必要なタイミングです。
こうしたタイミングでは、以下を実行します。
rbenv rehash
gemのインストール
Bundlerでgemをインストールします。まず、インストール対象を記載するGemfileを作成します。bundle initを実行すると、カレントディレクトリにGemfileが作成されます。
bundle init
Gemfileには様々な情報を記載できますが、上記手順で作成した場合はデフォルトのsource
やgit_source
が記載されているので、まずは追加したいgemの指定を追記するだけで使えます。例えば下記のコマンドを実行して、nokogiri
を追加します。
echo 'gem "nokogiri"' >> Gemfile
Gemfileの更新が済んだら、以下のようにbundle installを実行してgemをインストールします。
bundle install
前述のとおり、必要であればrbenv rehash
も実行しておきます。
インストールを行うと、Gemfile.lockというファイルが生成されています。このファイルには、実際にインストールされたgemがバージョンなどの情報と合わせて記録されています。
参考
Windows 10でのWSLの有効化とUbuntuのインストールについては、以下を参照しました。
Ruby環境の構築では、以下を参照しました。構築実施時には、これらのドキュメントも参照し、本ページの情報が古くないかを確認してください。
この他に、以下のページを参考にしました。これらを参考に試行して、その後前述のリンク先で各ステップが何をしているのか、どれが必須でどれが不要なステップか、記述が分かれるステップはどれが正しいのかなどを確認しながらまとめなおしたのが本内容になります。