近頃はPDFの原稿を電子入稿するだけで、数日で簡易製本してくれる業者がいくつも見つかります。小冊子はもちろん、書店に並んでいそうな本格的な書籍まで、自宅にいながら自作できます。
しかしながら、入稿するPDFは厳密に作る必要があります。用紙サイズのおかしなものだと、受け取ってもらえません。それなのに、裁ち落とし、塗り足し、仕上がり、トリミング...複雑な用語が入り混じっているだけでなく、用語の不統一とか不親切なアプリとか、混乱を誘発する状況が揃っています。
Adobe Acrobatひどい(日本語訳まで)
Acrobat(Readerではなく、編集できるほう)のサイズ変更のインタフェースが不親切なので、用語をまとめておきます。
| PDF規格書 | Acrobat英語版 | Acrobat日本語版 | 重要性 | 意味 |
|---|---|---|---|---|
| MediaBox | Media Box | ページサイズ | ◯ | 最も外側の領域 |
| CropBox | Crop Box | トリミングサイズ | アプリの表示領域 | |
| BleedBox | Bleed Box | 裁ち落としサイズ | ◎ | 塗り足し領域を含む |
| TrimBox | Trim Box | 仕上がりサイズ | ◎ | 完成品の大きさ |
| ArtBox | Art Box | アートサイズ | ??? |
大小関係
サイズに大小関係の縛りがあります。上の表は(PDFの規格書に倣って)大きいものから並べました。Acrobat上のメニューに現れる順序は、これとほぼ逆順、ただし「トリミングサイズ」が先頭に来て大小関係を乱しています。入力の際に紛らわしいです。
トリム?トリミング?
驚くべきことは、英語の「Trim」と日本語の「トリミング」が違うサイズに現れることです。よくもこんな紛らわしいことをしたものです。英語版はPDF規格の名称に沿ったものですので、他のPDFを扱うツールと見比べると、Acrobat英語版ならすぐに対応がわかりますが、Acrobat日本語版だとハマります。ややこしいところを以下に抜き出しました。
| Acrobat英語版 | Acrobat日本語版 |
|---|---|
| Crop Box | トリミングサイズ |
| Trim Box | 仕上がりサイズ |
裁ち落とし=塗り足し
印刷原稿には、TrimBox と BleedBox が重要です。裁断時のズレ(誤差)は避けられないので、それを見込んだ原稿を作るために必要なサイズです。
例えば、最大誤差が 3mm とすると、TrimBox よりも BleedBox を上下左右とも 3mm 大きく設定し、その隙間はどこで裁断されても不都合のないように同じ色で塗りつぶします。
この BleedBox の訳語が業者で統一されておらず、「裁ち落としサイズ」「塗り足しサイズ」の両方の用語を見た覚えがあります。
参考文献
- アンテナハウス社 PDF Tool API より ページサイズ、方向および余白
- アドビ社 PDF Reference sixth edition pp.967