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AIで僕らは本当に頭を使わなくなったのか?【MITの脳波研究参照】

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Last updated at Posted at 2026-07-09

はじめに

みなさんは普段、AIをどれくらい使っていますか?

自分は Claude Code を毎日ガッツリ使っているんですが、
プロンプト一発でそれっぽいものが返ってくるんですよね。
便利なんですが、ふとこんな不安がよぎりました。

「AIに任せすぎて、もう僕の脳、ほとんど働いてないんじゃないか…?」

これを「脳の何%が使われなくなったのか?」って数字で考えたくなりますが、
調べてみると、問いはこう立て直したほうが正確でした。

  • ❌ 「脳の何%が永久に使われなくなったのか?」 → そもそも測れない
  • 「ある作業をAIに任せたとき、その作業中の脳の働きは、自力のときと比べてどれだけ落ちるのか?」

そして実は、この⭕の問いを 脳波計でガチで測定した研究 がMITから出ています。
今回はそれを読み解きながら、「AIで僕らは本当に頭を使わなくなったのか?」 に向き合ってみます。

MITの「Your Brain on ChatGPT」

今回参照するのはこの論文です。

Kosmyna, N. et al. (2025). Your Brain on ChatGPT: Accumulation of Cognitive Debt when Using an AI Assistant for Essay Writing Task. arXiv:2506.08872. MIT Media Lab.

MIT Media Lab が2025年に発表した、ChatGPTを使うと脳がどうなるかを脳波計で測った研究です。

実験の中身

18〜39歳の被験者54名を、3つのグループに分けてSAT形式の小論文を書かせました。

使えるもの
Brain-only 何も使わない(自力のみ)
Search Engine 検索エンジン(Google)
LLM ChatGPT(GPT-4系)

そして執筆中の脳活動を 32チャンネルのEEG(脳波計) で計測。
これを約4ヶ月、3セッション繰り返します。

さらに第4セッションでは条件を入れ替えて、
それまでChatGPTを使ってた人を「自力」に、自力だった人をChatGPTに再割り当てしました。
ここがこの研究の一番面白いところです。

結果① 脳の結合がガクッと落ちる

EEG分析の核心は 脳の結合性(connectivity) ——脳の各領域がどれだけ密に連携して働いてるか——です。

  • Brain-only:最も強く、広範囲に分散したネットワーク
  • Search Engine:中くらい
  • LLM:すべての周波数帯で最も弱い結合性

特に、深い思考や記憶に関係するとされるアルファ波・シータ波帯での結合が顕著に低下していました。
しかもLLM群は、使い続けるほどさらに結合が減っていく傾向まであったんです。

で、肝心の 「結局、何%落ちたの?」 なんですが、ここは注意が必要です。
論文自体は「significantly reduced(有意に低下)」という表現で、「○%」とは言い切っていません。

AIに任せるほど、その作業中の脳は明確に働かなくなる。これは再現可能な計測結果として出ています。

結果② 自分が書いた文章を思い出せない

行動レベルでも、けっこう衝撃的な差が出ました。

書き終えた直後に「自分の文章を引用してみて」と頼んだところ、

  • LLM群は第1セッションで83%(18人中15人)が自分のエッセイをうまく引用できず、正確に引用できた人はゼロだった
  • Brain-only群はほぼ全員が思い出せた

「これは自分が書いた文章だ」という所有感(ownership) も、LLM群が一番低かったそうです。

結果③ AIをやめた後も尾を引く「認知的負債」

一番ゾッとするのが第4セッションです。
それまでChatGPTを使ってた人が、AIなしで書く条件に変わったときです。

  • 前頭-頭頂のネットワークは低調なまま
  • AIをやめた後も、以前書いた自分の文章をうまく思い出せない人が大半だった

逆に、最初に自力で書いてから後でAIを使ったグループは、脳全体の結合がむしろ一番強く、記憶もバッチリでした。

研究チームはこれを Cognitive Debt(認知的負債) ——AIに思考を丸投げすると、AIを手放した後にも残る「思考力の借金」——と呼んでいます。

エンジニア的に効く知見はここです。
「最初から丸投げ」だと負債が残るけど、「自力でやってからAIで磨く」と脳はよく働く。
設計や学習の進め方にそのまま刺さる話ですよね。

注意点

勢いで「AIは脳に悪い!」と書く誤解が生まれるので、留保もちゃんと押さえておきます。

  • 査読前(preprint) の研究です。確定した結論ではありません
  • サンプルが小さい。全体で54名、第4セッションに至っては18名だけ
  • 文脈依存。「教育場面でのエッセイ執筆」の結果で、コーディング等にそのまま一般化できる保証はないです

おわりに

いかがでしたでしょうか。

冒頭の問い「AIで僕らは本当に頭を使わなくなったのか?」に、誠実に答えるとこうなります。

  • 「脳の○%が永久に使われなくなる」わけではない。 これは作業中の話で、脳そのものが減るわけではないです
  • でも 「ある作業をAIに任せている最中、その作業への脳の関与は明確に下がる」 のは事実。MITのEEG研究で測定済み
  • しかも低下は一時的じゃなく、認知的負債として後を引きうる

で、実務への落とし込みですが、結論は「AIをやめろ」ではないです。
この研究が一番強く示しているのは 使う順番 でした。

まず自分の頭で構造を組んでから、AIで磨く。

レビューも設計も学習も、最初から丸投げではなく、自力の足場を作ってから使う。
自社のエンジニアを見ていても、ここができる人が多い印象です。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

参考文献

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