はじめに
先日、会社の同期と2人でAIハッカソンに参加してきたのですが、想像以上の収穫と気づきが得られたので、その体験をまとめておきたいと思います。
ハッカソンへの参加を検討している方にとって、少しでも後押しになれば嬉しいです。
(以降は、体験の臨場感を大切にしたく、エッセイ調で書いています。ご了承ください。)
01 参加の決意
全日本AIハッカソンに、会社の同期と一緒に出ることを決めた。
動機は大きく2つあった。
ひとつは、自分のAI活用力を客観的に把握したかったこと。日々学習を続けてはいるが、それが実際にどの程度のレベルなのか、社内にいるだけではなかなか見えてこない。AIを活用したら自分はどこまでできるのか——その問いに、外の場で答えを出してみたかった。
もうひとつは、外の世界でAIを使って何かを作ろうとしている人たちの発想に触れたかったこと。どんなアイデアで、どんな視点で開発しているのか。自分とは違う頭の使い方をしている人たちの熱量を肌で感じることで、自分の中の熱意をもう一度掴み直したいと思っていた。
02 オンラインという舞台——静けさと臨場感の両立
今回のハッカソンはオンライン開催だった。
初参加ということもあり、いきなり対面の会場に飛び込むのはハードルが高かった。オンラインを選んだのは、正直なところそういう理由だった。しかし参加してみると、それが思いがけず良い選択だったと感じることになった。
開発中は、自分の使い慣れたデスク環境で作業できた。チームの方向性を決める議論も、周囲の目を気にすることなく、落ち着いた空間で思い切り頭を使えた。会場の喧騒がない分、アイデアが整理しやすく、集中力が途切れない。その静けさが、思考の質を確実に上げてくれていたと思う。
一方で、他チームの発表には想像以上の臨場感があった。画面共有で作品が目の前に映し出され、審査員がリアルタイムで操作・体験する様子もそのまま見える。物理的には自分の部屋にいるのに、まるでその場に立って一緒に体験しているような感覚になった。
03 画面越しに見た、多彩なアイデアたち
今回のハッカソンのテーマは「柔(やわら)」だった。同じテーマからこれだけ多様な発想が生まれるのかと、他チームの発表を見ながらシンプルに楽しかった。印象に残った作品をいくつか挙げると——
- PCのカメラで手を認識し、その動きに合わせて柔らかいものを切り倒すゲーム。 手の動きをリアルタイムで追従する仕組みが印象的だった。
- 上司からの厳しい言葉を受け止め、場を和ませる回答ができたかを採点し、昇進を目指すゲーム。 業務の中の出来事を昇進と重ね合わせるという発想が面白かった。「柔らかくする」という言葉に、こういう捉え方や使い方があるのかと新鮮だった。
- 表情の柔らかさからストレス度を測るアプリ。 カメラで顔を認識し、表情の硬さをスコア化する。シンプルながら「柔」の解釈が的確だった。
04 AIと壁打ちしながら辿り着いた、「角をなくす」というコンセプト
アイデア出しの最初のステップは、とにかく多角的な視点で考えることだった。「柔らかさとは何か」を一方向から決めつけず、あらゆる切り口でたたき台を広げていく。まずは自分たちで発散させ、粗くてもいいから複数の方向性を並べた。
その後、Gemini・Claude・ChatGPTと順に壁打ちをした。同じたたき台を異なるモデルにぶつけることで、自分たちだけでは気づかなかった視点やアドバイスが次々と出てきた。アイデアが具体化され、解像度が上がっていく感覚があった。
その過程で気づいたのが、「柔らかさ」は言葉だけでなく、画像や表情という次元でも表現できるということだった。表情の硬さを柔らかく変える。四角いものから角をなくす。印象を柔らかくする。優しい雰囲気にする。言語と画像という多角的な視点からアプローチすることで、「柔」の表現が自然と広がっていった。
05 予選1位——審査員のコメントが教えてくれたこと
結果は、予選1位での決勝進出だった。
正直、驚きがあった。完成度や技術力で上回っているチームは他にもいたからだ。発表の場で、審査員から直接コメントを聞いた。
「言葉を柔らかくするのはありがちで、AIじゃなくてもできる。言葉だけでなく、画像を物理的に・意味的に柔らかくする、丸めるという発想が面白かった。」
そのコメントを聞いて、いくつかのことが腑に落ちた。多くのチームが「言葉を柔らかくする」という方向で動いており、どれも完成度が高かった。しかし見ていると、アプローチが似通ってくる感覚があった——その正体が、審査員の言葉で言語化された気がした。
テーマ設定があり、短時間で競われるハッカソンにおいては、テーマの捉え方の多様性、表現方法の多様性、そしてAIの多角的な利用方法が求められているのだと感じた。
中でも重要なのは、「AIにしかできないこと」を軸に置くという視点だ。テキストを変換する、言葉を柔らかくするというアプローチは人間にもできる。しかし画像を編集する、意味を理解した上で生成するのはAIならではの強みだ。AIらしさ、AIの強みを活かせているかどうかが、作品の独自性を左右する。
「AIらしさ」を問うこと。それがハッカソンで問われていた本質的な問いと感じた。
06 決勝へ——そして、あなたにも飛び込んでほしい
今回のハッカソンで得たものは、技術的な知見だけではなかった。テーマの解釈の仕方、AIの使い方の視点、そして外の世界の熱量——参加前に期待していたものが、すべて形になって返ってきた。
決勝は、まだこれからだ。優勝を目指して、さらなる知見の獲得に向けて努力していきたい。
そして最後に、もしこの記事を読んでいるあなたがハッカソンへの参加を迷っているなら——ぜひ飛び込んでほしい。対面でも、オンラインでも、2人チームでも関係ない。外の世界に出て、自分のAI活用力を試す場は、間違いなく一段成長させてくれる。