前置

　ある日、Zoomを開くだけで精一杯になっていることに気付き、長く使ってきた MacBook 12インチ（2017年版）を検証端末として引退させることにしました。正直、個人PCでZoomを使う頻度はそれほど高くありませんが、検証のためによく活用していました。

　これまでは、MacBook 12インチに極力負荷をかけず、家にあるRaspberry Piなどをリモート操作することで、なんとか様々な検証を実現してきました。しかし今後やりたいことを考慮し、先月思い切って Apple M4 Maxチップ搭載のMacBook Pro 16インチを次の検証機として購入しました。

　筆者は長く使っていたものに愛着を持ちやすい性格です。MacBook 12インチ（2017年版）は、今の視点から見ればスペックが低く性能も劣りますが、それでも「史上最高の軽さ」と「洗練された美しさ」に、いまだに強く魅了されています。検証用には使いませんが、外出時には文字編集や動画再生などの軽い作業に使ってもらいます。

　「美」を徹底的に追求するApple社が、このシリーズをいつか復活させてくれたら、迷わずまた購入したいと考えています。

MacBook 12インチを使っていた頃は、macOSが公式対応外だったため、VMware Fusionのインストールを拒否されていました。そのため、当時はハイパーバイザーとしてVirtualBoxしか利用できませんでした。

　今は状況が真逆で、VirtualBoxのApple Silicon（M1/M2/M3/M4）正式サポートがなく、非公式ビルドに頼る必要があるため、実質的にVMware Fusion一択となります。

　そして、最近の検証ではほとんどUbuntuしか触れていないので、2025年8月9日にリリースされたばかりの Debian 13（Trixie）を試してみたいと思います。

準備

事前勉強：海外の記事を参考
ゲストOSイメージ：Debian 13 arm64 ISO
ホストOS：macOS Sequoia 15.6.1
ハイパーバイザー：VMware Fusion 13 Player
仮想マシンのスペック設計：
- CPU: 4コア
- メモリ: 8GB（GUIを利用する場合は 8GB 以上推奨）
- ディスク: 30GB
- ネットワーク: NAT（デフォルトで OK）

作業

1. VMware Fusion 管理画面 > [新規]をクリックします。

2. [ディスクまたはイメージからインストール]を選択 > [続ける]をクリックします。

3. 事前にダウンロードしたDebian 13 arm64 ISOイメージファイルを選択 > [続ける]をクリックします。

4. [オペレーティングシステムの選択] > [Linux] > [その他の Linux 6.x カーネル 64 ビット Arm]を選択 > [続ける]をクリックします。

5. この操作でVMの構成が完了します。

6. 仮想マシンが立ち上げる前に、[この仮想マシンのハードウェア設定を編集]をクリック > 必要に応じて、プロセッサ、メモリ、NIC、ハードデイスクの設定を変更します。

7. ハードウェア設定の設定が完了したら、仮想マシンを立ち上げ > [Install] > [Select a language] > 好きな言語を選択します。

8. ロケーションを選択：[Select your location] > [other]を選択 > [Asia]を選択 > [Japan]を選択します。

9. 次に、各種設定をします。

言語設定

ホスト名

ドメイン名設定

Rootパスワード設定

Rootパスワード再確認

ユーザー設定（パスワード設定はSkip）

10. Debian インストーラのディスクのパーティション方法選択 > [All files in one partition (recommended for new users)]を選択します。

/（ルート）にすべてをまとめる方式です。シンプルで管理も簡単。今回は検証用VMでGUIやパッケージを試すことが目的なので、この方式を採用します。

表示されたディスクを選択します。

「Finish partitioning and write changes to disk」を選んで、ディスクに変更を書き込み、パーティションを作成します。

11. 次に「追加のインストールメディアをスキャンしますか？」という確認画面で、[No]を選択します。

追加 DVD は不要、ネットワークから最新のパッケージを取得できるため「No」で大丈夫です。

必要なパッケージをネット経由で取得したいため、[Use a network mirror]では[Yes]を選択します。

パッケージファイルを取得する一番近い国を選択します。

好きな取得先を選択します。

Proxy経由する場合は設定、無しの場合は空欄にして「Continue」で進みます。

今回はパッケージ利用サーベイに参加しないため、[No]を選択します。

最後に [Continue] を押して仮想マシンを再起動し、インストールを終わらせます。

インストールの途中で、追加ソフトウェアの選択を求められます。筆者は macOS や Windows のように直感的に使える GUI が好みなので、今回は GNOME を選びました。（[Debian デスクトップ環] > [GNOME]を選択）

インストールの過程はそれほど長くなく、だいたい10分ほどで完了しました。

便利な使い方

システムに初めてログインしたときは、作成した非rootアカウントを sudoers に追加します。こうすることで、通常のアカウントでも sudo を使って root 権限のコマンドを実行可能になります。

su
nano /etc/sudoers

＃非rootアカウントを追加(ここのスペースはTabです)
-----------------------------------
# User privilege specification
root    ALL=(ALL:ALL) ALL
totorosuika    ALL=(ALL:ALL) ALL #追加
------------------------------------

「Gnome Shell」の拡張機能を簡単にインストールできるように、まず拡張機能管理ソフト「gnome-shell-extension-manager」をインストールします。

「Gnome Shell」はLinuxでデスクトップ画面や操作を提供する「見た目・操作感」を作る仕組みです。
「gnome-shell-extension-manager」をインストールすると、Gnome Shell の拡張機能（デスクトップの機能や見た目を自由にカスタマイズできる小さな追加ソフトなど）を簡単に管理・追加・削除・設定できるようになります。

sudo apt install gnome-shell-extension-manager

アプリ一覧の中に Extension Manager が追加されていることを確認できます。

まずは、macOS の Dock のようにアプリを使いやすくする拡張機能「Dash to Dock」を探してインストールします。

Windowsに慣れている方なら「Dash to Panel」を入れると良いでしょう。

入れた後のイメージです。

画面を分割して効率よく作業したい場合は、「Tiling Shell」や「Forge」をインストールすると便利です。
ここでは「Tiling Shell」を例とします。

入れた後にイメージです。

歯車アイコンをクリックし、画面移動用のホットキーを設定してみましょう。
下記は一例：

複数のウィンドウを自由な形で配置し、画面レイアウトを整理できます。

ちなみに、Forge を使うと、複数のウィンドウを開くたびに自動で整列してくれます。

最後に、普段何気なく使っているウィンドウの『最大化』と『最小化』ボタンを設定します。
アプリ > システム >「Tweaks」を選択

「ウィンドウ」> 「タイトルバーボタン」> 「最大化」と「最小化」のトグルをオンにします。

設定をオンにした後、ウィンドウに『最大化』と『最小化』ボタンが追加されていることが確認できます。

効率的なウィンドウ管理は、デスクトップ操作の効率や視覚的な体験をある程度向上させることができます。その他の拡張異能は、必要に応じて追加してください。

終わりに

　Debian 13 をデフォルトの状態で使う場合、インターネット閲覧は問題なく行えます。ただし、商用OSのようにより便利に使うためには、必要なソフトウェアをインストールすることを必要があります。

　それでは、選手交代の写真を添えて、今回のブログはここで終わりにします！

　最後まで読んでいただき、ありがとうございます！