はじめに
2025年の5月に一般公開されたGoogle CloudのGenerative AI Leader試験に挑戦しました。その際、単なる机上の勉強にとどまらず、試験範囲である生成AI(Generative AI)を使って、その効果を実感しながら理解を深めていきました。
本記事では、ドキュメント整理の強力な味方「NotebookLM」と、高度なテキスト生成能力を持つ会話型AI「Gemini」を連携させ、Generative AI Leader試験の合格に向けたオリジナルサンプル問題を作成する具体的なノウハウをご紹介します。効率的かつ実践的な学習方法で、Generative AI Leaderへの道を開きましょう!
Generative AI Leader試験とは
Generative AI Leader試験は、Google Cloudが提供する新しい認定資格です。この試験は、生成AI(Generative AI)をビジネスでどのように活用し、組織変革を推進できるかに焦点を当てています。
主な特徴をまとめると以下の通りです。
- 対象者: 技術者だけでなく、ビジネスリーダーや実務担当者も対象です。技術的な実装経験がなくても受験可能で、生成AIの基礎知識とビジネスでの活用に興味がある方が主なターゲットとなります。
- 目的: 生成AIの基礎概念、Google Cloudの生成AI関連サービス、生成AIモデルの出力改善手法、そして生成AIを成功させるためのビジネス戦略に関する知識を評価・認定します。
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問われる内容(主な領域):
- 生成AIの基礎: AI、機械学習、LLM(大規模言語モデル)、拡散モデル、プロンプトエンジニアリングなどの基本概念。
- Google Cloudの生成AIサービス: Gemini、Vertex AI、NotebookLMなど、Google Cloudが提供する生成AI関連ツールやサービス。
- 生成AIモデルの出力改善手法: ハルシネーション(AIが事実に基づかない情報を生成すること)への対策、RAG(Retrieval-Augmented Generation)、ファインチューニング、プロンプトエンジニアリングといった技術。
- 生成AIソリューションを成功に導くビジネス戦略: 生成AIの導入計画、倫理的課題への対応、ROI(投資対効果)の測定など、ビジネス的視点。
- 試験形式: 一般的に50~60問程度の多肢選択問題で構成され、試験時間は90分です。基本的には英語での出題となります。
- 難易度: Google Cloudの認定資格の中ではFoundational(基礎)レベルに位置づけられており、Associate/Professionalレベルよりは易しいとされています。しかし、広範な知識が問われるため、しっかりとした学習が重要です。
要するに、「Generative AI Leader試験」は、生成AIの基本的な仕組みを理解し、Google Cloudのツールを使って、それをどうビジネスに役立てるかを戦略的に考えられるリーダーを認定するための資格、と考えられます。
NotebookLMとは
NotebookLMは、自分がアップロードした資料だけを読んで、質問に答えたり、要約したり、分析してくれる「自分専用のAIアシスタント」です。
具体的には、こんなことができます。
- 自分のPDF、Googleドキュメント、ウェブページ、YouTube動画など、どんな資料でも読み込ませると、その内容だけに基づいて質問に答えたり、要点をまとめたり、関連する情報を探し出したりします。
- インターネット上の広範な情報ではなく、自分が選んだ特定の情報源だけを使うので、AIが勝手に誤った情報(ハルシネーション)を生成する心配が少なく、信頼性の高い回答が得られます。まるで、あなたの資料を完璧に理解した専門家が常に隣にいるような感覚で使えます。
つまり、大量の資料から必要な情報を探し出したり、理解を深めたりする手間を大幅に減らしてくれる、「資料理解と情報整理の強力な味方」と言えるツールです。
私自身、大量の文章を読んでまとめる作業がとても苦手だったので、このようなツールの誕生はまさに待望でした!
NotebookLMの詳細は以下のページで確認できます。
Geminiとは
Geminiは、人間と自然な会話ができる「高機能なAIアシスタント」です。
例えば、以下のようなことが得意です。
- 質問に答えたり、文章を作成したり、アイデア出し、要約、翻訳といったテキストベースの作業。
- テキストだけでなく、画像、音声、動画など、さまざまな種類の情報(マルチモーダル)を理解して処理できるため、より複雑なリクエストにも対応できます。写真を見せて「これは何?」と尋ねたり、動画の内容を要約したりすることも可能です。
- プログラミングコードの生成やデバッグも得意分野です。
実際に、HTMLとJavascriptで三目並べアプリをGeminiに作成してもらった例を見てみましょう。
上のスクリーンショットのように、出力された内容に従ってコマンドを実行したところ、ちゃんとゲームとして動作しました。
NotebookLMとGeminiを使ったサンプル問題の生成方法
さあ、NotebookLMとGeminiという2つの強力なツールを理解したところで、Generative AI Leader試験のサンプル問題作成方法を具体的に見ていきます。
1. NotebookLMへのソースのインポート
まず、NotebookLMに「試験ガイド」や「学習ガイド」などの関連資料をインプットとして取り込みます。
試験ガイド
学習ガイド
- NotebookLMの左上にある「ソース」セクションの「追加」をクリックします。
- 表示された画面で「ウェブサイト」のボタンをクリックします。
- 入力ウィンドウで「URLを貼り付け」に試験ガイドのURLを貼り付け、右下の「挿入」ボタンを押します。
- これでソースがNotebookLMに追加されました。
- 「学習ガイド」も同様に挿入します。
2. 関連資料の検索と追加
ここまでで出題傾向や学習方法は把握できますが、具体的な問題に関するインプットがまだ不足しています。公式の模擬試験はフォーム形式で情報を集めづらいので、NotebookLMの検索機能を活用して使えそうなサンプルを探してみます。
- NotebookLM画面左上側にある「ソース」の「検索」をクリックします。
- 検索条件を入力できるウィンドウが開きます。
- 例えば、「Google Cloudの資格であるGenerative AI Leader試験のサンプル問題に関する資料を集めて」と入力し、送信すると、関連した資料をピックアップしてくれます。内容に問題がなければそのままインポートしてしまいます。
3. サンプル問題の生成
これらのソースを元に、NotebookLMのチャット機能を使ってサンプル問題を生成します。
- NotebookLMの「チャット」セクション下にある入力フォームに、例えば「情報ソースに基づいてGenerative AI Leader試験のサンプル問題を10題作成してください」と入力して問題を生成します。なお、英語で勉強したい場合はプロンプトに「言語を英語で」と追加すると英語で問題を生成してくれます。
- 以下のような形で問題が出力されます。
4. インタラクティブな試験形式への変換(GeminiのCanvas機能)
NotebookLMで生成された問題はテキストベースのため、そのままでは少し使いづらいかもしれません。そこで、GeminiのCanvas機能を使って、インタラクティブな試験形式に変換してみましょう。
- Geminiのウェブサイトを開きます。
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チャット入力欄に以下のプロンプト例と、先ほどNotebookLMで作成した問題集をコピー&ペーストし、Canvas機能を有効にした上で生成を依頼します。
プロンプト例:
以下の10題のGenerative AI Leader試験のサンプル問題をインタラクティブな試験形式に変換してください。試験を楽しめるようにリッチなユーザーインターフェースにしてください。
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テスト結果の画面では、「回答を確認」をクリックすると自分の回答と、間違っていた場合の正解が表示されます。
間違っていた場合は正解が表示されます。
NotebookLM上で、解説の記載など、プロンプトを丁寧に書くことで「回答の確認」欄に表示させることも可能です。これで、より勉強しやすい問題集を作っていけるでしょう。また、表示されていなくても不明な点はGeminiに質問すれば解決できます。
一つ注意点として、本番の試験問題は公開されていません。 そのため、今回生成した問題の類似度や解答の精度を完璧に評価することはできません。もし解答結果に疑問を感じたら、Geminiに再度聞いてみることで、知識理解がさらに深まるはずです。
最後に
いかがでしたでしょうか?
本記事では、Generative AI Leader試験のサンプル問題を作成する中で、生成AIであるNotebookLMとGeminiを実際に動かし、生成された問題を使って知識を定着させるという、まさに「一石二鳥」な学習方法をご紹介しました。
この方法が、皆さんの学習を少しでも楽しくし、Generative AI Leader試験合格へつながる一助となれば幸いです。ぜひ、これらの強力なAIツールをあなたの学習にも取り入れてみてくださいね!