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Snowpark for Python DataFrame × Streamlit のキャッシュ方法とその簡略化方法

Last updated at Posted at 2024-12-21

はじめに

タイトルの通りですが、Snowpark for Python DataFrame を Streamlit でキャッシュする方法について質問を受けたので、改めて整理して考えてみました。

今回主に紹介する機能は、Snowpark DataFrame の cache_result() という関数です。2024年5月の Snowpark リリースで追加された機能のようです。

なお、小規模なデータ(~1万行)に対しては、to_pandas()&st.cache_data も有効な手段だと思います。うまく使い分けられると良いですね。

結論

Snowpark DataFrame の cache_result() を簡単に使えるデコレータを作成しておくよ。

全体のコード

準備

本検証においてリザルトキャッシュの影響を受けないよう、パラメータ設定を FALSE に設定します。

USE ROLE ACCOUNTADMIN;
ALTER ACCOUNT SET USE_CACHED_RESULT = FALSE;

このパラメータ設定を TRUE に戻し忘れると無駄なコストがかかる恐れがあるため、トライアルアカウントなどの環境で行うか、本記事の内容を見て満足するようにしてください。

なお、リザルトキャッシュの無効化は、セッションパラメータにより設定することもできますが、今回の Streamlit in Snowflake の環境からは設定できないためこのようにアカウントパラメータにより設定しています。

検証コードの全体(Streamlit in Snowflake)

# Import python packages
import streamlit as st

from snowflake.snowpark.context import get_active_session


# Write directly to the app
st.title("Example Streamlit App :balloon:")

# Get the current credentials
session = get_active_session()


df = session.table("snowflake_sample_data.tpch_sf100.orders")

st.write(f"レコード数:{df.count()}")
st.dataframe(df.limit(10))


st.subheader("Streamlit セッションステート")
if st.toggle("セッションステートの検証を行う"):
    if st.toggle("セッションステートをキャッシュとして使ってみる"):
        if "df2" not in st.session_state:
            st.session_state.df2 = df.group_by("o_custkey").sum("o_totalprice")
    
        st.dataframe(st.session_state.df2.limit(100))
    
    else:
        df2 = df.group_by("o_custkey").sum("o_totalprice")
        st.dataframe(df2.limit(100))


st.subheader("Snowpark キャッシュ")
if st.toggle("キャッシュの検証を行う"):
    if st.toggle("Snowpark のキャッシュ機能を使う"):
        if "df3" not in st.session_state:
            st.session_state.df3 = df.group_by("o_custkey").sum("o_totalprice").cache_result()
        
        st.dataframe(st.session_state.df3.limit(100))
    
    else:
        df3 = df.group_by("o_custkey").sum("o_totalprice")
        st.dataframe(df3.limit(100))


st.button("更新")

if st.button("キャッシュリセット"):
    st.session_state.clear()
    st.write("キュッシュクリアに成功しました。")

なお、上記の検証コードでは、各検証を排他的に実行できるよう st.toggle で検証するかどうかを選択できるようにしています。

また、処理結果がキャッシュされているかどうかの確認のために、"更新" ボタンを用意しています。

検証

それでは、各検証について確認していきましょう。

前提:st.cache_data

まず、上記コードには含んでおりませんが、st.cache_data デコレータでキャッシュできるんでないの?と思われた方もいるかもしれません。

しかし Snowpark DataFrame は、そのオブジェクト自体がデータを持っている訳ではなく処理の記述の履歴を保持しているだけですので、特にキャッシュできるデータの実体がある訳ではありません。

実際に試してみると、次のようなエラーが生じてしまいます。これは、未評価のデータフレームがキャッシュされていることを表します。先述の通り、特にキャッシュできるデータの実体がないということですね。
image.png

コード
@st.cache_data
def get_grouped_data():
    return df.group_by("o_custkey").sum("o_totalprice").cache_result()

df_cached = get_grouped_data()
st.dataframe(df_cached.limit(100))

そのため、本記事で述べるような一工夫が必要となるわけです。

Streamlit の状態管理変数 st.session_state でやってみる

st.cache_data がダメとなれば、まず気になるのが st.session_state です。結論としては、こちらの方法だけでは不適切なのですが、確認していきましょう。

st.subheader("Streamlit セッションステート")
if st.toggle("セッションステートの検証を行う"):
    if st.toggle("セッションステートをキャッシュとして使ってみる"):
        if "df2" not in st.session_state:
            st.session_state.df2 = df.group_by("o_custkey").sum("o_totalprice")
    
        st.dataframe(st.session_state.df2.limit(100))
    
    else:
        df2 = df.group_by("o_custkey").sum("o_totalprice")
        st.dataframe(df2.limit(100))

こちらのコードを実行したときの GIF 動画です。
df_cache_session_state.gif

動画の通り、セッションステートを使っても使わなくても、実行にかかる時間は同じで適切にキャッシュができていないことが分かります。

なお、このときの Snowpark DataFrame によって生成された裏側のクエリは下記のようになっていました。すべての DataFrame 処理が一括で SQL に変換されていることが分かりますね。

SELECT  * 
FROM ( 
    SELECT "O_CUSTKEY", sum("O_TOTALPRICE") AS "SUM(O_TOTALPRICE)" 
    FROM ( 
        SELECT  *  
        FROM snowflake_sample_data.tpch_sf100.orders
    ) 
    GROUP BY "O_CUSTKEY"
) LIMIT 100

Snowpark の キャッシュ機能 cache_result() でやってみる

そうなると、アプリ側で Snowpark DataFrame の処理をキャッシュすることは適切でないのだと理解できました。そこで、Snowpark の機能を使ってキャッシュすることを検討してみましょう。

このために、Snowpark は便利なメソッド cache_result() を用意してくれています。同様に、ソースコードを見てみましょう。

st.subheader("Snowpark キャッシュ")
if st.toggle("キャッシュの検証を行う"):
    if st.toggle("Snowpark のキャッシュ機能を使う"):
        if "df3" not in st.session_state:
            st.session_state.df3 = df.group_by("o_custkey").sum("o_totalprice").cache_result()
        
        st.dataframe(st.session_state.df3.limit(100))
    
    else:
        df3 = df.group_by("o_custkey").sum("o_totalprice")
        st.dataframe(df3.limit(100))

このコードの実行の様子です。最初はキャッシュ機能を使用していないため依然として実行は遅いです。しかし、「Snowpark のキャッシュ機能を使う」トグルスイッチを ON にしてから、二回目以降の実行は高速に表示できていることが分かると思います。
df_cache_result.gif

こちらも、分かりやすいクエリヒストリーが残っていました。初回は下記のように一時テーブルを作成し、結果を挿入しています。

CREATE  SCOPED TEMPORARY  TABLE "SNOWPARK_TEMP_TABLE_H7RT84XGCV"(
    "O_CUSTKEY" BIGINT NOT NULL , 
    "SUM(O_TOTALPRICE)" NUMBER(24, 2)
);

INSERT  INTO "SNOWPARK_TEMP_TABLE_H7RT84XGCV"  
SELECT "O_CUSTKEY", sum("O_TOTALPRICE") AS "SUM(O_TOTALPRICE)" 
FROM ( 
    SELECT  *  
    FROM snowflake_sample_data.tpch_sf100.orders
) GROUP BY "O_CUSTKEY";

しかし、二回目以降は下記のように、先ほど作成した一時テーブルから結果を取得しています。後続に処理があった場合も、この一時テーブルをもとに処理が行われていきます。

SELECT  *  
FROM "SNOWPARK_TEMP_TABLE_H7RT84XGCV" 
LIMIT 100

キャッシュのために毎回セッションステートを張るのが大変

分かります。

そこで、流用可能なデコレータ関数を用意しておこうと思います。このデコレータを、cache_result() したデータフレームに適用すれば良いだけにしておきましょう。

下記のコードを追加します。

st.subheader("Snowpark キャッシュデコレータ")

def cache_sp_data(state_name):
    def decorator(func):
        def wrapper(*args, **kwargs):
            if state_name not in st.session_state:
                st.session_state[state_name] = func(*args, **kwargs)
            return st.session_state[state_name]
        return wrapper
    return decorator


@cache_sp_data(state_name="df4")
def get_grouped_data_decorator():
    return df.group_by("o_custkey").sum("o_totalprice").cache_result()

if st.toggle("Snowpark キャッシュデコレータ の検証を行う"):
    if st.toggle("Snowpark キャッシュデコレータ を使う"):
        df4 = get_grouped_data_decorator()
        st.dataframe(df4.limit(100))
    else:
        df4 = df.group_by("o_custkey").sum("o_totalprice")
        st.dataframe(df4.limit(100))

少し小難しいですが、やることは単純です。cache_sp_data 関数を予め定義しておき、それを下記のように関数定義に被せるだけです。

@cache_sp_data(state_name="df4")
def get_grouped_data_decorator():
    return df.group_by("o_custkey").sum("o_totalprice").cache_result()

あとは、df4 = get_grouped_data_decorator() のように呼び出すだけで、キャッシュ化されたデータフレームを取得することができます。

Snowpark DataFrame におけるキャッシュ機能のまとめ

Snowpark DataFrame には、便利なキャッシュ機能 cache_result() があることをご理解いただけたでしょうか?

特に、Streamlit では、操作のたびに上から下まで再実行するという特徴があり、その度に重たいクエリが走るようではユーザーエクスペリエンスが低下すること間違いなしです。

今回ご紹介した機能以外でも、様々な工夫により快適な Streamlit ライフを楽しみましょう!

ちなみに:Snowflake のリザルトキャッシュを ON にすると・・・?

今回の検証パターンでは、すべてリザルトキャッシュ側がキャッシュをしてくれるようになります。

と言っても、Snowpark 側の cache_result() が刺さるケースも多々あります。特に、後続に処理が続くケースで、処理のベースとして DataFrame 処理を一時保存しておきたいケースなどでしょうか。

また、Snowflake のリザルトキャッシュはクエリが同じでないといけないという特徴がありますが、Snowpark DataFrame は自動生成クエリのためリザルトキャッシュをうまく活用できないケースもあるかもしれません。そうした場合にも非常に有効になりえますね。

このように cache_result() メソッドは Snowpark DataFrame オブジェクトを返してくれ、非常に簡単に活用できます。ぜひ頭の片隅に入れておいていただき、活用できそうな所にぜひ使ってみていただければと思います!

そして、Snowflake の最強リザルトキャッシュにも感謝しましょう!🙇

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