こんばんは。torippy1024です。
TOGAF認定試験の勉強中です。今回はTOGAF用語について頻出な用語をまとめます。
TOGAF用語について
TOGAFの用語は、独特な物が多いです。
それらには、(1)英語ドキュメントに読み慣れている人であれば慣れているであろう、英語圏の独特なニュアンスを含む適切な日本語が見つからないよう用語も含まれているのですが、一部には、(2)本当に独特な用語をTOGAFが定義している場合もあります。(3)両方の原因でより複雑になっている用語もあります。
例えば、ガバナンス(Governance)やプリンシプル(Principle)といった単語であれば、日本語のカタカナ用語として理解できるのですが、TOGAFではエンタープライズ(Enterprise)は単なる単一企業のことを差さず、アーキテクチャを策定する企業・組織群全体を指します。また、エンタープライズ・コンティニューム(Enterprise Continuum)、ビルディングブロック(Building Block)といった、初めて聞く単語の上に意味も理解しづらいという難解な単語も登場します。
個人的に頻出と思っているTOGAF用語一覧
片っ端から辞書順で記載します。(思いついたら追記します)
ABB(Architecture Building Block)
ビルディングブロックの一つ。アーキテクチャー・モデルのコンポーネント。
SBB(Solution Building Block)
ビルディングブロックの一つ。アーキテクチャーの詳細や仕様を表現しているソリューションのコンポーネント。
SMART
Specific(具体的)、Measurable(測定可能)、Actionable(実行可能)、Realistic(実現可能)、Time- bound(期限)の頭文字をとったもの。ビジネスシナリオと要件はSMARTであるべきとされている。
アーキテクチャ・ガバナンス
アーキテクチャ策定作業に関するガバナンスのこと。ADMにおいてはフェーズGにて、アーキテクチャ委員会が実施する。関連するプリンシプル、標準、ロードマップが守り、成果を出すことが目的。
アーキテクチャ・ケイパビリティ
アーキテクチャ・リポジトリの構成要素の一つ。アーキテクチャ・リポジトリの中でガバナンスを支えるパラメータ、構造、プロセスを定義するもの。
アーキテクチャ・コンティニューム
作成されたアーキテクチャに関するアーティファクトの分類のこと。ファウンデーション・アーキテクチャ、共通システム・アーキテクチャ、業種別アーキテクチャ、組織固有アーキテクチャの4つの分類がある。
アーキテクチャ・ドメイン
ADMに沿って作成するアーキテクチャの領域(ドメイン)。ビジネス、データ、アプリケーション、テクノロジーの4つ。BDATと略せる。
アーキテクチャ・ビジョン
ADMのフェーズAのタイトルかつ成果物。策定すべきアーキテクチャ(ターゲット・アーキテクチャ)を概要レベル(意思決定者が数十秒で理解できるレベル)で表したもの。アーキテクチャ策定作業計画書の一部となる。
アーキテクチャ・ビュー
アーキテクチャの見え方。アーキテクチャ・ビューポイントが異なると、同じアーキテクチャでもステークホルダーからどう解釈されるかは変わってくる。この場合、異なるステークホルダーから見たアーキテクチャ・ビューは異なることになる。
アーキテクチャ・ビューポイント
あるアーキテクチャに対し、ステークホルダーが解釈する際の観点のこと。ステークホルダーによってビューポイントが異なるため、同じアーキテクチャであっても解釈(ビュー)は分かれることになる。
アーキテクチャ・プリンシプル
初期フェーズの成果物の一つ。エンタープライズの方向性を踏まえた上で決定されるアーキテクチャが満たすべき指針やガイドライン。SMARTであるべき。
アーキテクチャ・ランドスケープ
アーキテクチャ・リポジトリの構成要素の一つ。ある特定時点でのアーキテクチャを示したもの。また粒度(レベル)について戦略的、セグメント、ケイパビリティの3種類に分けられる。
アーキテクチャ・リポジトリ
アーキテクチャ策定作業に関する生成物を格納する保管庫。
画像引用元:https://pubs.opengroup.org/architecture/togaf9-doc/arch/chap02.html
アーキテクチャ策定作業計画書
フェーズA:アーキテクチャ・ビジョンにおける出力。アーキテクチャ策定作業に関するビジネス要件やパフォーマンス要件、作成期限などを記述し、承認をもらう必要がある。
アーキテクチャ要件リポジトリ
アーキテクチャ・リポジトリの構成要素の一つ。アーキテクチャ委員会からの同意を得たアーキテクチャ要件を格納する。
アプリケーション・アーキテクチャ
情報システムアーキテクチャの一つ。アプリケーションに関するアーキテクチャ。
エンタープライズ
TOGAFによって作成されるアーキテクチャの適用範囲。通常の意味のエンタープライズ(企業や組織)という意味とは異なり、TOGAFでは複数の企業や組織をまとめて扱う可能性があるため、区別する必要がある。
エンタープライズ・コンティニューム
アーキテクチャ・リポジトリのビュー。作成されたアーティファクトについて、どのような観点で作成されたかを区別する4つの分類のこと。
エンタープライズ・コンティニュームは、アーキテクチャ・コンティニュームとソリューション・コンティニュームに分けられ、それぞれが更に4つの分類に分けられる。
具体的にはファウンデーション・アーキテクチャ(ソリューション)、共通システム・アーキテクチャ(ソリューション)、業種別アーキテクチャ(ソリューション)、組織固有アーキテクチャ(ソリューション)の4つの分類を指す。
画像引用元:https://pubs.opengroup.org/architecture/togaf91-doc/arch/chap39.html
ガバナンス・ログ
アーキテクチャ・リポジトリの構成要素の一つ。組織内のガバナンス・アクティビティののログを記録する。
関心事(Concerns)
ステークホルダーが興味を持ったり、気にしたりしていること。要件(Requirement)とは異なり、必ずしも明示されたり数値化されたりしているとは限らない。
ギャップ分析
ADMのフェーズB〜Dにて実施される。ターゲット・アーキテクチャとベースライン・アーキテクチャをビルディングブロック単位で比較し、追加・更新・削除すべきビルディングブロックを抽出すること。
ケイパビリティ・アーキテクチャ
アーキテクチャ・ランドスケープのレベルの一つ。戦略的、セグメント、ケイパビリティの3種類に分けられ、最も細かい粒度がケイパビリティ・アーキテクチャである。特定のビジネス機能を実現するためのアーキテクチャ・ランドスケープと言える。
公式ステークホルダ・レビュー
ADMのフェーズB〜Dにて実施される。作成されたアーキテクチャが、アーキテクチャ策定作業計画書やプロジェクト本来の動機づけと合致しているかをステークホルダとに確認してもらうためのレビュー。
参照モデル
1つの環境におけるエンティティ間の重要な関連を理解するために、また、その環境を支援する一貫した標準や仕様の開発のために用いられる、抽象的フレームワーク。(OASIS出典)ある概念を説明するための抽象的な共通モデルのこと。
参照ライブラリ
アーキテクチャ・リポジトリの構成要素の一つ。ガイドライン、テンプレート、パターンの3つを提供する。
スタンダード・インフォメーション・ベース(SIB)
アーキテクチャ・リポジトリの構成要素の一つ。アーキテクチャが満たすべき標準を記録する。これには業界標準やサプライヤが供給するサービス、組織内に既に配備されているサービスなども含まれる。
ステークホルダ
アーキテクチャ策定プロジェクトの利害関係者。一般的には、本社、エンドユーザー、プロジェクト組織、システム運用者、外部などのカテゴリーがある。
ステークホルダ管理
アーキテクチャ策定プロジェクトを成功させるためのステークホルダーの管理方法。TOGAFでは、フェーズAでステークホルダー分析を行い、随時更新するプロセスとしている。
セグメント・アーキテクチャ
アーキテクチャ・ランドスケープのレベルの一つ。戦略的、セグメント、ケイパビリティの3種類に分けられ、中間の部門・部署(セグメント)単位の粒度がセグメント・アーキテクチャである。
戦略的アーキテクチャ
アーキテクチャ・ランドスケープのレベルの一つ。戦略的、セグメント、ケイパビリティの3種類に分けられ、最も大きなエンラープライズレベルの粒度が戦略的アーキテクチャである。
ソリューション・コンティニューム
作成されたソリューションに関するアーティファクトの分類のこと。アーキテクチャの詳細な仕様をソリューションと言い、アーキテクチャ・コンティニュームに対応してソリューション・コンティニュームが存在する。ファウンデーション・ソリューション、共通システム・ソリューション、業種別ソリューション、組織固有ソリューションの4つの分類。
ソリューション・ランドスケープ
アーキテクチャ・リポジトリの構成要素の一つ。ある特定時点でのソリューション(アーキテクチャの詳細な仕様)を示したもの。
データ・アーキテクチャ
情報システムアーキテクチャの一つ。データに関するアーキテクチャ。
テクノロジ・アーキテクチャ
ADMのフェーズDのタイトルかつ成果物。ハードウェアやソフトウェアなどのテクノロジーに関するアーキテクチャ。
バリュー・ストリーム
エンドユーザーに対する価値に焦点を当て、その価値がどのように運ばれるかという視点で作成される表現。
ビジネス・ケイパビリティ
ビジネス目標を実現するための能力。フェーズAで評価され、アーキテクチャ・ビジョン策定のための入力となる。その組織がどのようなビジネス・ケイパビリティを有しているかによって策定するアーキテクチャは異なってくる。
ビルディングブロック
アーキテクチャやソリューションを構成する再利用可能なコンポーネント。別のアーキテクチャに適用しやすくするため、他のコンポーネントとは疎結合であることが望ましい。
要件(Requirements)
アーキテクチャが満たすべき項目。ビジネスプロセスやステークホルダーのニーズから導き出される。SMARTであるべきとされている。
リスク管理
一般的には、リスクは「発生頻度」と「影響度」を踏まえて評価される。TOGAFではリスクレベルをフェーズAでリスク評価を行った後の「初期リスク・レベル」と、フェーズEで軽減策を実施した後の「残余リスク・レベル」に分けている。これらリスクの管理はADMフェーズG:ガバナンスにて実施される。
ロードマップ・コンポーネント
ADMのフェーズB〜Dにて実施されるギャップ分析の結果を用いて抽出された、ターゲット・アーキテクチャを作成するために必要なビルディングブロックの一覧。フェーズB~Dにおいてはこれらは候補であり、フェーズE:機会とソリューションフェーズにて確定される。