はじめに
道には、二種類あるように思う。
歩いても銭のかからない道と、歩くたびに何がしかを払わねばならない道である。
「さくらのAI Engine」の無償枠は、前者である。月に3,000回、チャット生成を無償で使わせてもらえる。リクエストという単位で数える限り、そこに関所はない。
しかし、道の性質というものは、歩いてみなければわからないところがある。表向きは無料の一本道に見えても、脇には従量課金という、もう一つの道が並んで走っている。もし同じ距離を、その従量課金の道で歩いていたら、いくら払うことになっていたのか。
今回は、それを歩き直してみた話である。
さくらのAI Engineの二本の道
「さくらのAI Engine」には、「基盤モデル無償プラン」と「従量課金プラン」の二つがある。両者は、無償枠の範囲までは同じ道を歩く。チャット生成なら月3,000回、そこまでは無料である。
超過した先で、道は分かれる。無償プランはレート制御という関所にぶつかり、従量課金プランは、歩いた分だけ料金を払って先へ進む。
今回私が知りたかったのは、その分岐点の先、従量課金の道を歩いていたら、自分はどこまで行っていたのか、ということである。
3つの題材を歩かせてみた
私が主力としているCodexには、いつも弾切れがつきまとう。週次の上限は律儀にやってきて、肝心なところで足が止まる。なお、2026/07/19現在はGPT-5.6 Solのリリースを祝すかのように連日週次利用枠がリセットされている。しかし、このお祭り騒ぎはいつまでつづくかわからない。とまれ、だからこそ、もう一本、別の道を持っておきたいと思っていた。「使い切りチャレンジ」という名の通り、無償のうちはまず使い切ってみるつもりだが、この道がそれだけの働きをすると知れば、いずれ従量課金の方へ歩を進めることも、十分にありうる話である。
Claude Codeを、さくらのAI Engine(preview/Kimi-K2.6)へつなぎ、次の3つの題材をともに歩んだ。
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いずれも、道半ばでAPI Errorに何度も呼び止められた。60秒待たされることもあった。それでも、引き返しはしなかった。
コミットへのリンクが、そのまま結果を物語っている――満足の行く結果を得られた。
リクエスト数の裏にあったトークン数
3,000回という数字は、リクエストの回数である。しかし、Claude Codeのようなエージェントハーネスとともに歩くとき、一歩の重さはまちまちである。
コントロールパネルの利用量から、実際の内訳を見てみた。
さくらのAI Engineのコントロールパネルは、利用量のデータが実に見やすい。入力・出力トークンとリクエスト数が一目で分かるので、「3,000回とは実際どれほどの価値なのか」を歩き直すことができた。この見せ方は、とてもよくできている。
実は、まだ3,000回は歩き切っていない。Claude Codeにセットしたpreview/Kimi-K2.6に注目すると、397回使用している。単純計算で、7.56倍使える。
| 項目 | 数 |
|---|---|
| 入力トークン(闘魂)数 | 17,491,779 |
| 出力トークン(闘魂)数 | 260,984 |
1回のリクエストが、思っていたよりずっと重い荷物を運んでいることが、数字になってようやく見えてきた。
従量課金の道では、いくら払っていたか
「さくらのAI Engine」の従量課金プランでの単価は、次の通りである(preview/Kimi-K2.6)。
| 項目 | 単価(税込) |
|---|---|
| 入力 | ¥0.60 / 10,000トークン(闘魂) |
| 出力 | ¥3.00 / 10,000トークン(闘魂) |
17{,}491{,}779 \times \frac{0.60}{10{,}000} = ¥1{,}077
260{,}984 \times \frac{3.00}{10{,}000} = ¥78
ここまでの397回を、3,000回まで引き伸ばすとすれば、その倍率は7.56である。同じ歩調で歩き続けたと見立てれば、勘定はこうなる。
(¥1{,}077 + ¥78) \times 7.56 = ¥8{,}732
3,000回の道を歩き切ったとき、私の場合、その勘定は8,732円であった。
無料だから、と気軽に踏み出した道の先に、これだけの値札がぶら下がっていた。太っ腹とは、こういうことを言うのだろう。
この道は、いつまで無料か
「基盤モデル無償プラン」には、申し込み数に上限がある。さくらインターネットは一般提供開始の発表で、次のように述べている。
なお、「基盤モデル無償プラン」には申し込み数に上限があり、上限に達した場合は新規の申し込み受付を停止いたします。
出典: さくらインターネット、生成AI向け推論API基盤「さくらのAI Engine」を一般提供開始(2025年9月24日)
加えて、今回使ったpreview/Kimi-K2.6は、パブリックプレビューという肩書きである。予告なく提供が終わることもあれば、料金が変わることもあると、公式にはっきり書かれている。
道は、いつまでもそこにあるとは限らない。
余談だが、Kimiというモデルに触れたのは、今回が初めてだった。すでに世に出ているK3は、評判がものすごいと聞く。K2.6はその2世代前にあたるらしい。それでいて、今回の結果には十分満足している。K3を先に触っていた人たちが、なぜあれほど評価していたのか、K2.6を通じてではあるが、少しわかった気がする。
おわりに
3,000リクエストという無償枠は、リクエスト数で見れば相当気前の良い数字である。従量課金の道に置き換えて歩き直してみると、私の場合、それは8,732円分の道のりだった。ただで歩かせてもらいながら、懐からは一銭も出ていない。これほどの気前の良さは、そうそうお目にかかれるものではない。
無償プランには申し込み上限があり、使っているモデルはパブリックプレビューである。この道が、今の広さのまま、いつまでもそこにあるとは、誰にも約束されていない。
歩くなら、今のうちだと思う。
token消化ではなく、$\huge{闘魂昇華}$。
あなたの闘魂昇華をもっと見たい。
(了)

