この記事は ひとりCloudflareを使い倒す Advent Calendar 2025 の1日目です
どうも、とれいすあっぷと申します。
始まってしまいました「ひとりCloudflareを使い倒す Advent Calendar 2025」です。
1日目は「Cloudflare は DDoS Protection だけではありません」ということで、去年も同じような記事を書いた記憶があります。
ですが、この記事では本質的に 「Cloudflare は DDoS Protection だけではありません」ということを知っていただくべく、Cloudflare の歴史を見てみましょう、という感じです。
今の Cloudflare
歴史を見る前に、今の Cloudflare の紹介文を見ておきましょう。
Cloudflareには数百万のインターネットプロパティがあり、そのネットワークは毎日数万単位で成長しています。Cloudflareは、数百万のWebサイトのインターネットリクエストを処理し、平均で毎秒8100万のHTTPリクエストを提供しています。
お世話になっております。ほんまに。この毎秒8100万のHTTPリクエストの中に、あなたが見ているこのサイトのリクエストも乗っているのかもしれません。
よく「Cloudflare Workers / Pages」にとりあえず乗っけてホスティングしたり、ドメイン買ってカスタムドメインでやはりホスティングしたりしている光景を見ます。
私のことです。
私事ですが、なんとなくで Cloudflare の Workers Paid を契約し、月額 5 USD (大体 800 円) のお布施をしています。Workers Free 分も使いこなせていません。
▼ プランの違いはこちら
そういうのもありまして、どれだけ使ったら Cloudflare 私的利用の限界が来るのかを試してみたかった所存です。
Cloudflare の歴史
さて、歴史を 0 から辿ってみましょう。
Cloudflare, Inc. の歴史
公式でガッツリ歴史が出ていたので、ありがたく引用しながら見ていきましょう。
Cloudflare は Project Honey Pot がもとになって出来上がったサービスです。
Project Honey Pot って?
2004年、Matthew PrinceとLee Hollowayは、「スパムメールはどこから来るのか?」という根本的な疑問に答える取り組みを始めました。2人はあらゆるWebサイト所有者向けに、スパム業者がメールアドレスを収集する様子を追跡できるシステムを構築しました。プロジェクト「Honey Pot」の誕生です。
公式からの引用です。「スパムメールはどこから来るのか」って着眼点から鋭いと思いますが、起点はスパムメールだったんですね。
Honey Pot はコンピューターセキュリティ的な用語です。
あえて脆弱な環境を置いて、それを監視しておくことで「どこから攻撃されているのか」とか、「どういう攻撃方法を食らっているのか」とか、攻撃に関連する情報をたくさん集める環境のことをハニーポットといいます。
これを文字って、Project Honey Pot の命名はなかなかにシャレオツですね。
ちなみに、まだまだ現役の様子はここからも見えます。
で、このサービスを使うと当然の Feature Request がありますよね。「攻撃止められないのかね」と。
これを受けて、まあなんやかんや ▼ があって
2009年4月、Cloudflareは名誉あるハーバードビジネススクールのビジネスプランコンテストで優勝しました。
Cloudflare Inc. のオフィスがパロアルトに出来て、Cloudflare チームが出来上がりました。
Cloudflare 爆誕
Cloudflare は 2010 年の TechCrunch Disrupt で発表されたサービスです。
2010 年のプレスリリースをまとめてみましょう。
Cloudflare is provisioned as a service through a simple change to a website’s domain settings. Cloudflare works on any platform, regardless of the underlying infrastructure. It does not require any hardware, software, or changes to existing code. Websites keep their existing hosting provider and infrastructure stack. Setup typically takes less than 5 minutes. Once on the Cloudflare network, sites see an average 30% improvement in page load times, a 60% decrease in bandwidth usage, and a 65% decrease in load on their server.
Cloudflare は ウェブサイトのドメイン設定をちょっと変えるだけで、サービスとして提供されます。Cloudflare は動作インフラにかかわらず、どんなプラットフォームでも動作します。ハードウェア、ソフトウェア、既存のコードの変更は一切不要です。既存のホスティングプロバイダー、インフラスタックで動き続けます。設定は通常 5 分もかかりません。1 度 Cloudflare に乗せてしまえば、読み込み時間は平均 30% 改善し、60% の帯域削減、そして 65% のサーバー負荷が軽減できます。 (筆者訳)
今の Cloudflare に通ずるものがたくさんですね。
この裏側として、こんな話もあります。
投資家やアドバイザーの最大の懸念は、本来の目的がWebサイトの保護であるCloudflareのソリューションがレイテンシーを引き起こすのではないかということでした。そこで、チームはシステム内のあらゆる場所におけるレイテンシーを排除することに躍起になりました。2010年6月に、CloudflareはProject Honey Potコミュニティの一部のメンバーに対して、プライベートベータ版を限定公開しました。チーム全体が固唾をのんで見守りました。そこで予期せぬことが起こりました。Cloudflareは、オンラインの脅威から守るだけでなく、サイトの読み込み速度を平均で30%速くするというユーザーからの声が届き始めたのです。Cloudflareのシステムの効率の良さ、静的リソースのキャッシング、Cloudflareがユーザーサイトの多量の不要トラフィックを排除しているという事実は、Cloudflareがセキュリティだけでなくパフォーマンスの向上にも貢献する企業だということを実証したのです。
当たり前ですが、Web ページを提供するサーバーとの間になにかが挟まれば遅くなるのはおよそ世の摂理です。
しかも、Cloudflare は攻撃を防ぐために作られているので、なおさら「攻撃してこないかな?」とか検査するために遅くなるはずです。
ですが、Cloudflare はこの摂理を裏切り、サイトの読み込み速度を 30% も向上させました。
もう何がなんだかわかりませんが、これだけで Cloudflare が如何にとんでもない技術を詰め込んでいるのかがうかがえます。
手広 Cloudflare
Cloudflare は守ります。 (ダサスローガン)
2018 年。 Cloudflare は Cloudflare Access をベータでローンチしました。
Cloudflare Access は、Cloudflare をめっちゃ信頼するという前提の下、認証認可ルーティングその他もろもろを Cloudflare に全部を任せることで、安全に外からサーバーにアクセスできるね!みたいなサービスです。
Cloudflare は守るだけではありません。 (ダサスローガン②)
2018 年 3 月。今日大変有名な Cloudflare Workers が一般公開されました。(ベータ公開は 2017 年)
Cloudflare は世界各地に CDN サーバーを置いています。ということは、その CDN サーバーにコンピューティング能力が載れば、さらに便利になりますよね。
今となってはその理想が現実に、大量のJSフレームワークアプリケーションが動作しています。
ですが、当時は Web Worker API のみ動作していました。一方で、これだけでもキャッシュやA/Bテストなど、多種多様なユースケースがありました。
さらに同年 4 月には超有名 DNS サーバーの 1.1.1.1 をローンチしました。
公開されている DNS サーバーは、Google DNS である 8.8.8.8 などを含めていろんなところにありますが、1.1.1.1 の特筆すべき点はなんといっても「プライバシーを向上させます」と明記していることでしょう。
しかも、やっぱりこれも世界各地に張り巡っている Cloudflare ネットワークで 1.1.1.1 が動作しているので、どこにいても最速でクエリが返ってきます。
そして現在に至るまで、Cloudflare D1, R2, KV, Queue, Streamなどの製品、さらに AI ソリューションとして Agents, AI Gateway, Vectorize, Workers AI などが提供されています。
oh my cloudflare!
Cloudflare はどんどん製品が増えてきています。が、その紹介は、公式開発者ドキュメントと、手前味噌で恐縮ですが「去年の同じような記事を書いた記憶」に譲るとします。
しかしまあ、これだけの製品が無料枠で使えるのですから、この際使い倒したって文句は言われないでしょう。
ということで、ひとりCloudflareを使い倒す Advent Calendar 2025、どうぞお楽しみくださいませ。