この記事は Zenn にも掲載しています。
https://zenn.dev/topsalesai/articles/44468d97c13288
前提
私はエンジニアではありません。今も現場に立っている法人営業です。プログラムは書けません。
それでも Claude Code を毎日使っています。コードを書くためではなく、自分の仕事のファイルをまとめて扱うためです。
この記事は、非エンジニアが Claude Code を業務に入れるときに、どこで詰まって、どう設計したかのメモです。コードは出てきません。
なぜチャットUIではなくClaude Codeなのか
最初の半年はブラウザのチャットだけで使っていました。それで困ったのが次の2点です。
1. 毎回ファイルを貼り直す
商談の議事録を作るたびに、過去の記録を探して、コピーして、貼る。この往復が1件あたり2〜3分かかります。工程が7つあると20分近くになります。
2. 前回の会話を覚えていない
「この会社は前にこう言っていた」を、毎回こちらが思い出して渡す必要があります。思い出せなかった分は、単に使われません。
Claude Code はこれが両方なくなります。指定したフォルダの中を直接読めるからです。
営業/
├── CLAUDE.md # 毎回自動で読まれる指示書
├── 顧客資料/
│ ├── A社.md
│ ├── B社.md
│ └── _テンプレート.md
├── 提案書/
└── .claude/
└── skills/ # 自分用のコマンド
「顧客資料フォルダの全部を読んで、受注した案件と失注した案件の違いを出して」が1行で通ります。チャットUIでこれをやるには、ファイルを全部貼る必要があります。
インストールでつまずいたところ
公式のネイティブインストーラを使うのが速いです。Node.js を先に入れる必要がありません。
macOS / Linux / WSL:
curl -fsSL https://claude.ai/install.sh | bash
Windows (PowerShell):
irm https://claude.ai/install.ps1 | iex
npm で入れる方法もありますが、その場合は Node.js 22 以上が必要です。非エンジニアが最初にやるなら、Node.js を入れる工程が増えるぶん遠回りになります。
確認:
claude --version
私が最初に詰まったのは、インストールではなく「どのフォルダで起動するか」でした。 Claude Code は起動したフォルダを作業対象にします。デスクトップで起動すると、デスクトップの中しか見えません。営業用のフォルダを1つ決めて、そこで起動する。これだけの話なのですが、最初はここが分かりませんでした。
CLAUDE.md は「やること」より「やらないこと」を書く
プロジェクトのルートに CLAUDE.md を置くと、毎回自動的に読まれます。
最初、私はここに「こういうふうに考えてほしい」を長々と書きました。効きませんでした。分量が増えるほど焦点がぼやけます。
効いたのは逆で、禁止事項を短く書くことでした。
- 議事録を要約しない。相手の発言は原文のまま残す
- 確認できていないことは【不明】と書く。推測で埋めない
- 数字を出すときは、単位と期間を必ず添える
- こちらが渡していない情報を補わない
「こうしてほしい」は解釈の幅がありますが、「これをするな」は判定できます。判定できるものだけが、毎回同じように効きます。
繰り返す作業はスキルにする
.claude/skills/<名前>/SKILL.md を置くと、/<名前> で呼び出せます。
私が日常で使っているのは2つだけです。
-
/商談前 〇〇株式会社… 顧客ファイルを読んで、当日確認することを3つまで出す -
/商談後 〇〇株式会社… 音声メモから議事録・お礼メールを作り、顧客ファイルに追記する
大事なのは、手順の中に「ファイルに追記する」を明示的に書くことです。 これを書かないと、出力が画面に出て終わります。画面の内容は翌月には消えています。ファイルに落ちて初めて、翌月の材料になります。
うまくいかなかったこと3つ
1. AIに「良し悪し」を評価させた
「この提案書は良いですか」と聞くと、だいたい褒めてきます。役に立ちません。
評価ではなく差分を出させると、使えるものが返ります。 「受注した案件と失注した案件を全部読んで、違いを箇条書きで」。最初に出てきたのは「失注側は相手の発言の引用が平均1.2回、受注側は4.8回」でした。これは行動に変換できます。
2. 人が確認する場所を増やした
不安なので、工程ごとに確認したくなります。やってみると、止まるたびに集中が切れて、結局前より遅くなりました。
確認する場所は1か所だけにする。 間違いが見つかったら、確認を増やすのではなく、その工程の指示を直します。
3. 渡す情報を増やした
「多く渡せば精度が上がる」は逆でした。AIは渡されたものを重要だと解釈するので、関係ない情報を渡した分だけ焦点がぼやけます。
工程間で受け渡す項目は、増やすのではなく入れ替える。何かを足すなら、何かを外します。
情報の線引きを先に決める
非エンジニアが業務で使う場合、ここを曖昧にしたまま始めると、成果が出るほど後で止められます。
私の場合はこうしています。
- 顧客名簿や見積書をそのまま渡さない
- 調べさせるときに渡すのは会社名だけ。あとは公開情報を集めさせる
- 送信ボタンは必ず自分で押す。自動送信の仕組みは作らない
- 「何のツールを、どこまでの範囲で使っているか」を、聞かれたら5分で説明できる状態にしておく
細かい話は別記事に全部書きました。
結果
AIを使う前と、この形が回り出してからの比較です。私ひとりの数字なので、そのまま誰にでも当てはまるとは思っていません。
- 商談の成約率 20% → 75%
- 平均受注単価 20%アップ
- 失注理由が「価格」だった案件 70% → 20%
速くなったから増えた、ではありません。速くしただけの3か月は、数字が動きませんでした。 空いた時間で訪問件数を増やしたら、成約率はむしろ下がりました。準備の薄い商談を増やしただけだったからです。
戻したのは「1件あたりの準備の深さ」でした。
続き
工程ごとのプロンプト全文と、顧客ファイルのテンプレート、2つのスキルの設定は、noteの連載(全9回)に置いています。第1回は無料です。
エンジニアの方には当たり前の話が多いと思いますが、非エンジニアがこれを業務に入れるときに詰まるのは、技術ではなく設計のほうでした。 同じことをやろうとしている方の参考になれば。